丸の内で働く産廃マンのブログ|産廃WEB|船井総研

丸の内で働く産廃マンこと、株式会社船井総合研究所 廃棄物ビジネスコンサルティンググループ グループマネージャーの貴船です。日常のコンサルティングを通して、そこはかとなく記していきます!

2022年3月6日 3:39 PM

廃棄物処理業の脱炭素経営⑥「ウチの会社には関係ない」の間違い5

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 前回から続く、「ウチの会社には関係ない?」の間違い、についての続きです。
⑥地域に貢献できるのか?の続編で、輸入原材料の課題についてです。
 近年はバイオマス木質専焼、バイオマス石炭混焼の実例が近年増加しており、またFIT法に基づき、50MW、75MW、112MW 等の比較的大規模なバイオマス専焼プラントが数多くなり、大型になるに従い熱効率が30%台半ばと高まり必要燃料量が低減しております。また、これらの例では国産材に加え、輸入PKSや輸入木質ペレットを長期調達しているケースも増えております。しかし木質バイオマスの輸入も課題が多くあることも事実です。 
 2017年の段階で需要は1,400万トン強で、輸出国の1位はアメリカ(500万t)、2位はカナダ(220万t)、3位はベトナム(160万t)となっています。輸入国では、1位イギリス(680万t)、2位韓国(240万t)、3位デンマーク (230万t)、日本も50万tと5位となっています。2027年予想の世界需要は3,600万tとなり、1位イギリス(1050万t)、2位日本(900万t)、3位韓国(820万t)と、特に木質系バイオマス発電に補助金のある日本や韓国での需要増大にて、アメリカのペレット増加が見込ま
れています。アメリカやカナダ、ロシア、ベトナムをはじめとする東南アジア、オーストラリアなどからの輸出が急速に拡大する見込みです。アメリカでは世界最大の木質ペレット供給会社であるEnvivaが南東部で生産を行っていますが、原料の80%は全木を使ったもので、その半分以上が炭素貯留能力の高い湿地林から伐採されている旨を発表されています。同社は、2030年までに操業からの排出ネット・ゼロを達成するとの目標を提示しています。アメリカ産ペレットの多くを輸入しているイギリスDrax社は、自社の石炭火力発電所の燃料を木質バイオマスに転換することにより、年間10億ドル以上の補助金を受け取っています。カナダの木質ペレットはその約80%がブリティッシュコロンビア州から輸出されており、主たる輸出先はイギリスと日本ですが、パルプ産業や輸出用の燃料ペレット生産で温帯雨林が減少してもいます。ペレット需要の拡大により全木からのペレット生産が増えているため、グリーンカーボン貯留源が失われている上に、絶滅が危惧されているマウンテンカリブーの生息地や先住民族の生活圏が脅かされるなど、生物多様性や地域住民へもネガティブな影響にも及んでいるようです。一方EUでは、2018年に改正のEU再生可能エネルギー指令(EU RED2)により、森林由来の木質バイオマスについて、持続可能性基準への適合が義務化されました。①化石燃料使用時に比べて十分にGHGが削減されているのか(栽培・加工・輸送・燃焼の各プロセス及び発電プラントの効率も考慮に入れた基準値との比較)、②土地利用に関して、炭素蓄積を減少させず、生態系や生物多様性を維持し、持続可能な生産が行われているか、③原料について、記録を遡ることが可能で、正しい管理がなされているかのトレーサビリティがある等が盛り込まれています。固体バイオマスについてのGHG削減基準では、2021年以降稼働の発電施設を対象に、化石燃料比で70%の削減義務付されています。そして2021年7月14日、EUは2030年に温室効果ガス55%削減を実現するための政策パッケージ「Fit for 55」を公表。2030年の再生可能エネルギーの目標は、最終エネルギー消費ベースで40%に引き上げられ、排出権取引制度の対象業種拡大、国境炭素調整措置の導入、そして2035年までに新車の排出ゼロ化が示されました。2018年に改正された再生可能エネルギー指令(以下、REDⅡ)7月から完全施行を迎えるというタイミングで、早くも次の改定案(以下、REDⅢ)が示されたのです。改正案(RED3)にて、2025年以前に稼働した全ての施設にこの基準が適用されることになっており規制は段階的に厳しくなっています。森林からのバイオマス燃料の供給については、廃棄物ヒエラルキー4およびカスケード原則を考慮して、製材用・合板用丸太のエネルギー利用を支援してはならないとされました。・日本でも経産省にて、先行制度(EURED2)にならって、発電事業者等からライフサイクルGHG試算結果等を収集の上、更に検討を進めている現状でもあります。 
 近年の木材需要も需給バランスに影響が出ています。アメリカの住宅着工戸数(戸建て計)は、コロナ禍による在宅需要の増加と住宅ローンの低金利により、2020年5月から急増しています。また2021年3月に 173 万戸(年率換算)を記録し、同7月は、前月比▲7%減の 153 万戸となりました。2020 年末から、アメリカでの輸入急増とコロナ禍に伴う港湾処理能力の低下等により、北米にコンテナが滞留して、アジアでコンテナが不足。海上輸送運賃が急激に値上がり。本年7月は、欧州発が横ばいとなる一方、米国発は依然として上昇しています。EU では、コロナ禍により、昨年春に建設活動が急落したが、夏以降は回復して、以後は堅調に推移しており、中国では、木材需要の増加が継続。過去 10 年で、針葉樹丸太輸入量は 1.8 倍に増加。世界各地から、木材を買い集めています。 
 世界的にも木質チップの需要が増加のなかで、安定的に安価で国内材を活用できるならば、それを求めている事業者は多いものです。安価に安定的に国内材供給について、次回に続きます。

2022年2月23日 4:44 PM

廃棄物処理業の脱炭素経営⑤「ウチの会社には関係ない」の間違い4

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前回から続く、「ウチの会社には関係ない?」の間違い、についての続きです。
⑤地域に貢献できるのか?の続編で、コスト課題と取り組みの方向性についてです。
 バイオマス市場の国内展開ではFIT制度導入抜きでは語れません。日本では地球温暖化対策として再生可能エネルギー(再エネ)の普及を促進するため、2012年に固定価格買取制度(FIT)が導入されました。当初は電力の買取価格が高い太陽光発電の導入が加速度的に進んだのですが、買取価格が下がると、相対的に買取価格が高くなったバイオマス発電事業計画が増加していきました。

出典:資源エネルギー庁「持続可能な木質バイオマス発電 (2020/07/20)
・2017年の一般木質バイオマス発電における買取価格引き下げの直前には、駆け込み申請によりバイオマス発電全体の認定容量が前年の約3倍(1,241万kW)と急増
・その後、認定条件が厳格化されたこともあり、2020年9月時点での認定容量は822万kW(709か所)で、稼働済のバイオマス発電所の容量は244万kW(446か所)となる
・稼働容量の6割強、認定容量の9割弱が主に輸入バイオマスを燃料とするもので、アブラヤシ核殻(PKS)や木質ペレットの輸入が急増
 現状はFIT頼りが浮き彫りになっているのですが、その背景に調達価格の低減が進んでいないことに現れています。2020年7月の経産省データでは、FIT制度の定期報告データ(実績)によると、大規模一般木材等で23円/kwhで小規模未利用材は43円/kwh程度と記されています。更に同データ内において、未利用材(2000kw以下)の資本費平均値はは135.5万円/kwとなり、同規模と建築資材廃棄物対象を除く大規模型では平均値45.2万円/kwとなっており、運転維持費も前者(未利用材2000kw未満)の平均値が8.4万円/kw/年、後者で平均値4.9万円/kw/年と報告されております。燃料費となると未利用材2000kw未満の平均値が834円/GZ、2000KW以上1097円/GZ、一般木材831円/GZ、建設資材廃棄物315円/GZと報告されています。結果としてFIT制度に頼らざるを得なくなるわけですが、その国民負担額は2019年3.6兆円の内に0.4兆円がバイオマス発電となっております(太陽光は2.5兆円)。しかし2022年4月からは一定規模未満(10000KW未満)は、レジリエンス強化・エネルギー地産地消を目指し地域一体型にFIT適用となっていきます。地域一体型とは① 災害時に再エネ発電設備で発電された電気を活用することを、自治体の防災計画等に位置付け② 災害時に再エネ発電設備で産出された熱を活用することを、自治体の防災計画等に位置付け③ 自治体が自ら事業を実施するもの、又は自治体が事業に直接出資するもの、となります。現在も小規模の地産地消モデルは増えつつあり、森林組合や地域企業が自治体と組み、事業として成り立つ形を目指しております。
 木質バイオマスの安定供給と持続可能性の課題において、国内木質燃料の間伐材は「森林・林業基本計画」により利用に限りがあること、一般木材等・バイオマス液体燃料においては原料の7割以上がパーム油やPKSといった輸入材を活用しており国外への依存が顕著となっています。
 資源エネルギー庁にて木質バイオマス発電所の原価構成例(5700KW)として示されているものでは、燃料費68%、減価償却費11%、人件費6%、保守点検費9%、他とされており、圧倒的に燃料費の負担が重くなっています。その木質チップ製造費(tあたりの平均値)では、原料搬出費68%(3823円)、原料運搬費25%(2761円)、チップ加工費16%(1812円)、チップ運搬費25%(2793円)と報告されています。木質バイオマス発電は、よく「合わない」「儲からない」と表現されることが多かったのですが、それがこのコスト構造なのです。発電コストの7割が燃料費となると、初期投資の課題よりもランニングでの課題になっています。しかも、既に燃料材を収益としている林業者にとってはFIT制度が終了してしまうと事業の先行きが見えなくなってしまいます。
 燃料コストを低減させる為の課題として、先ず生産の課題があります。林業(及び林業政策)は、取り扱いが容易で建材など付加価値の高い用途で利用できる針葉樹の育成・管理・利用を主として展開されています。燃料用には間伐材・林地残材等建材用途などに利用できない木材の副次的利用が中心となっています。燃料用途の木材が副次的な位置づけであるために、建材需要動向に左右され供給量の見通しが立たないこと、針葉樹建材向けに形成された生産・輸送システムが燃料向けには過剰で非効率等の課題があります。結果、特に大規模発電事業者では、国内材に比べ1.5倍近い23000円/Tと高くても量が安定する輸入木材を活用ぜざるをえないようにもなっています。国内で活用可能な森林由来の木質バイオマス資源を如何に安定的に供給することは重要になっているのです。また生産面において、燃料品質の安定化も課題です。品質のばらつきは、バイオマス燃焼炉内の温度が安定しない為に、設備利用率が低下、また燃料品質を調整するための手間が発生したりといった問題につながっています。しかし現状はバイオマス燃料について、発電所が長期契約により燃料品質(水分量等)によらず一定の購入価格で取引されている場合が多くなっています。木材業者からしても、木材の搬出工程における天日干しによる乾燥や屋根付き保管場所の確保等燃料品質を向上の取組も見られています。しかし一方、現状は燃料品質を統一的に評価する仕組みが存在しないことから、木材業者の努力にも関わらず、市場において適正な評価を受けることは困難となっています。木質バイオマス証明ガイドラインでは、素材生産業者は、証明の連鎖の始まりとなる根拠書類と木質バイオマス由来証明書を、原則として輸送の都度、加工・流通業者に交付しています。 加工・流通業者は、川上からの証明書を確認の上、証明書を作成して川下の事業者に交付します。 証明書には、川上側の書類の添付までは求めていないが、必要に応じて伐採箇所までさかのぼれるよう書類整備が必要となっています。 しかし一方証明書がなければ、建設資材廃棄物と同じ区分となります。
 一方で大規模型では安定的な供給の為に輸入材の活用は大きく増えております。しかし、この輸入材にも課題が多く含まれております。
 長くなりましたので、次回に続きます。

2022年1月27日 9:16 AM

廃棄物処理業の脱炭素経営④「ウチの会社には関係ない」の間違い3

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前回から続く、「ウチの会社には関係ない?」の間違い、についての続きです。
⑤地域に貢献できるのか?
 廃棄物処理業は地域に貢献あってこそと思っています。地域のインフラを支える、エッセンシャルワーカーとしての役割を担ってきました。先ず地域にとって、貢献できたか、もっと地域に貢献にできないかと廃棄物処理業経営者の皆様は考えてきたと思います。
 脱炭素経営こそ地域密着となっていきます。全国の地方自治体はゼロカーボンを迫られており、2050年ゼロカーボン宣言自治体の数は2021年9月30日現在で40都道府県、278市、10特例区、114町、22村となり、表明自治体総人口約1億1157万人となっております。
 政府の「国・地方脱炭素実現会議」2021年6月に、2050年の脱炭素社会実現に向けた工程表をまとめ、今後5年間に政策を総動員し、人材や資金、技術、情報面から自治体を積極的に支援し、2030年度までに少なくとも100カ所の「脱炭素先行地域」をつくる方針を打ち出しました。地域の脱炭素工程表で、国は地域に根差した再生可能エネルギーの導入推進を重点対策に選定し、様々な支援メニューも用意しています。
 既に先行している地域では、企業と地域の有力企業と連携して、地域での地産地消電源の導入等民間活用の事例が多く見受けられます。各自治体ともに多く見受けられることは、民間活用の視点であり、地域に根差す為のゼロカーボン自治体となる為に連携を求めています。国主導だけでなく、各自治体が目指すべき形を模索しているなかで、民間の経営資源は必ず役に立っていくものとなることでしょう。脱炭素こそ各自治体を無視することは出来ず、むしろ地域貢献がビジネス性においても大いに役立つものとなっていきます。
 では具体的に、どのように地域に貢献しながらもビジネスとしても成り立たせていくのかとなった際に、先ず自社が位置する自治体の環境ビジョンを確認して欲しいと思います。先のゼロカーボンシティは勿論、具体的な戦略も構築が進んでいることでしょう。先ずは、そこでの自社の役割、そしてむしろ市町村にとっても脱炭素達成すべき提案をすべきなのが廃棄物処理業でもあると思っています。具体的に進んでいるテーマで代表的なものではバイオマス系があります。平成21年9月に施行されたバイオマス活用推進基本法(平成21年法律第52号)に基づき、平成28年9月に新たなバイオマス活用推進基本計画が閣議決定され、2025年における目標、バイオマス活用推進に関する施策の基本方針、技術開発の方向性等が定められました。都道府県及び市町村は、バイオマス活用推進基本計画等を勘案し、それぞれの地域のバイオマス活用推進計画の策定に努めることとされています。なお、バイオマス産業都市構想の認定を受けている市町村は、この構想をバイオマス活用推進計画として位置づけることができます。農林水産省の「バイオマス産業都市選定地域」では2021年7月現在で94市町村が選定されており、「木質バイオマス」「家畜排せつ物」「食品廃棄物」「下水汚泥の4分野」に分けられ、特に多いものが木質バイオマスとなっております。その中でもバイオガスを除く木質系を抽出するだけでも以下の地域が取り組んでおり、様々な地域の特色を活かしてビジネス性としてもモデルエリアも生まれております。 


 
 しかし一方で課題も多いことも確かです。1997年12月に京都で開催された地球温暖化防止京都会議(COP3)で採択され、2005年2月16日に発効した京都議定書では、バイオマス発電は二酸化炭素を新たに排出しないエネルギーとしての位置づけで、木や植物は光合成により二酸化炭素を吸収し酸素を排出することで、エ
ネルギーを取り出すために木材を燃焼しても、それまでに産出した酸素と相殺されるクリーンエネルギーとされてきました。火力発電に比べ、小規模の地域密着型が多く、更に地域活性として、地域での廃棄物活用等にて自治体でも取り組まれてきました。一方で課題はコストでもあり、そのバイオマス資源の運搬や管理コストからも大規模が難しく、結果としての発電量が小さくなる課題にもなっています。農林水産省ではH24/9に「バイオマス事業化戦略の木質系」として、以下を掲げてきました。
①出口戦略(需要の創出・拡大)
  ・固定価格買取制度の積極的な活用
  ・投資家・事業者の参入を促すバイオマス関連税制の推進
  ・各種クレジット制度の積極的活用による温室効果ガス削減の推進
  ・バイオマス活用施設の適切な立地と販路の確保
  ・高付加価値の製品の創出による事業化の推進
②入口戦略(原料調達)
  ・バイオマス活用と一体となった川上の農林業の体制整備(未利用間伐材等の効率的な収集・運搬システムの構築等)
  ・広く薄く存在するバイオマスの効率的な収集・運搬システム構築(バイオマス発電燃料の廃棄物該当性判断の際の輸送費取扱等の明確化等)
  ・ 高バイオマス量・易分解性等の資源用作物・植物の開発
  ・多様なバイオマス資源の混合利用と廃棄物系の徹底利用
③木質系の重点戦略
  ・FIT制度も活用しつつ、未利用間伐材等の効率的な収集・運搬システム構築と木質発電所等でのエネルギー利用を一体的・重点的に推進
  ・製材工場等残材、建設発生木材の製紙原料、ボード原料やエネルギー等への再生利用を推進
④総合支援戦略
  ・地域のバイオマスを活用したグリーン産業の創出と地域循環型エネルギーシステムの構築に向けたバイオマス産業都市の構築(バイオマスタウンの発展・高度化)
  ・原料生産から収集・運搬、製造・利用までの事業者の連携による事業化の取組を推進する制度の検討(農林漁業バイオ燃料法の見直し)
  ・プラント・エンジニアリングメーカーの事業運営の参画による事業化推進

 課題解決の為に、方向性を定め取り組んできましたが、やはり大きな課題はコストについてとなってきます。次回は、コスト課題と取り組みの方向性について、お伝えさせて頂きます。

2022年1月12日 4:37 PM

廃棄物処理業の脱炭素経営③「ウチの会社には関係ない」の間違い2

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前回から続く、「ウチの会社には関係ない?」の間違い、について続きです。

④収益に貢献するの?
 脱炭素経営こそ儲けなければなりません。儲からない脱炭素経営をしてはなりません。
 脱炭素経営においては、収益性に多くの方が疑問を持つと思います。工数や手間を踏まえてもコストアップであり、収益ではマイナスであるとも感じているのではないでしょうか。しかし前述の通り、マーケティング面での収益性向上のチャンスとともに、内部コスト削減も脱炭素経営にはあります。
 企業原価の中で業種の違いはあれど、エネルギーコストは無視できないものではあると思います。そのエネルギーコストを低減させることも、脱炭素経営には含まれております。
 再生可能エネルギー使用はコストアップかとなれば、必ずしもそうではないと言えます。電気の使用頻度や使用量に応じて、その効果は違いますがコストダウンの事例も多く生まれているのが事実です。
 SCOPE3の削減全般で考えても、自社エネルギーコストだけに留まらず、広くコスト削減は可能なものです。
 高度経済成長期において、大量生産大量消費での経済ではあったと思います。しかし脱炭素時代は適量生産適量消費となり、無駄が無くなる経済では確実にコストダウンにもなっていくものです。これまでの原価低減手法の考えに生産性や効率性での無駄排除ではありましたが、それに脱炭素が加わっていくことは間違いありません。その際にもコストダウン思考は変わりません。
 このように内的要素とマーケティング面での外的要素によって、脱炭素経営こそ儲かるものへとなっていくことでしょう。
⑤事業機会として廃棄物処理業も関係あるの?
 GXとしての事業機会は既に政府の方針にもある通りで、2020年12月に示された「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」にも明記されています。報告書では「温暖化への対応を、経済成長の制約やコストとする時代は終わり、国際的にも、成長の時代ととらえる時代に突入したのである」という問題意識のもとで「経済と環境の好循環」を作っていく産業政策が、グリーン成長戦略である」と定義しています。「成長が期待される産業14分野において高い目標を設定し、あらゆる政策を総動員する」として、2030年経済効果で年140兆円、2050年290兆円となり、雇用創出850万人を目指していくものとなっております。成長が期待される産業として、1.エネルギー
(1)洋上風力・太陽光・地熱(2)水素・燃料アンモニア(3)次世代熱エネルギー(4)原子力 2.輸送・製造(5)自動車・蓄電池(6)半導体・情報通信(7)船舶 (8)物流・人流・土木インフラ(9)食料・農林水産(10)航空機(11)カーボンリサイクル・マテリアル 3.家庭・オフィス(12)住宅・建築物 次世代電力マネジメント(13)資源循環(14)ライフスタイルがあげられています。廃棄物処理業界にとっては、(13)の資源循環が当然気になりますが、リデュース、リユース、リサイクル、リニューアブルは勿論、廃棄物発電・熱利用、バイオガス利用がテーマとして挙げられております。リニューアブルに関しては、バイオマス化と再生利用材を中心に、化石資源由来のプラスチックの再生可能なバイオマスプラスチック・紙等への代替を推進しています。またグリーン購入法等により、化石資源由来のプラスチックからバイオマスプラスチックへの代替を促進されていきます。特に「バイオプラスチック導入ロードマップ」(2021 年1月策定)を踏まえ、バイオプラスチックの導入に当たっては、製品領域ごとの導入に適したバイオプラスチックに関する技術開発が進んでいくでしょう。リユース・リサイクルでは、「循環型社会形成推進基本法」及び同基本計画・各種リサイクル法等により取組を推進するとともに、グリーン購入法によりリサイクル製品の調達拡大を推進している。また、国内での再生利用に向けたリサイクル技術の実証、設備の導入補助を実施しています。焼却施設排ガス等の活用については、ごみ焼却施設において CCU プラントが既に稼働しており、加えて廃棄物の焼却・ガス化に伴う排ガス等からメタンやエタノール等を生成する実証事業も実施されています。
 事業機会によるビジネス拡大の可能性もあれば、逆にビジネスに影響を与えるマイナス要素もあるものです。大切なことは、この時流を知り、この両面での準備を進めていくことでもあると思います。是非、事業機会を上手く活用して頂ければと思います。

2021年12月8日 3:14 PM

廃棄物処理業の脱炭素経営②「「ウチの会社には関係ない」の間違い」

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①大手企業の取組?
日増しに「脱炭素」のキーワードが、企業の取り組みにおいても報道を賑わすことが増えてきました。国内企業でも目にする多くは世界的企業群であり、ESGの視点にて環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)への取り組みがクローズアップされ、廃棄物処理業の中堅中小企業では程遠いように思われているのではないでしょうか。先ずそれよりも、取り組むべき重要なことが多くあるとしている経営者も多いかもしれません。
先ず、認識頂きたいこととして、中堅・中小企業であっても取り組みが不可欠になっていくことです。
弊社創業者の舩井幸雄は、企業の3つの使命として、「社会性の追求」「教育性の追求」「収益性の追求」を唱えてきました。これは順番も重要であり、先ず「社会性」ありきであり、そして「教育性」を追求していけば、収益性がついてくるとするものです。原理原則であり、一方その社会性とは、当然時代とともに求められていくものも変化をしていきます。世の中の広く社会に貢献することは、各社皆様が日々の経営においても取り組まれていること
ではあると思いますが、その優先度を上げなければならないテーマが脱炭素です。
大き過ぎるテーマのように感じるかもしれませんが、社会性の追求として求められていることであり、全ての企業が取り組むべきテーマなのです。そしてその追求が、企業価値として必ず向上されていき、求められる企業へとなっていきます。だからこそ、更に選ばれる廃棄物処理業になりたい、の中堅・中小企業こそ脱炭素経営に取り組んで欲しいと思います。
②事業や商売に影響する?
 「脱炭素」の取り組みを進めはじめても、余計な工数や手間が増えていくイメージが強く、とてもそこまで手が回らないとも思ってしまうかもしれません。場合によってはISO14001での取り組みイメージが強く、認証取得を目的化したイベント的なものとなっており、経営の仕組みとして機能していないこともあると、余計に億劫になっていることもあるでしょう。どうしても企業力向上と一致しないように思え、目に見える効果を直ぐに求めようとしてしまいがちです。
脱炭素経営には、内部としての取り組みとともに、自社のマーケティング面にも存在しております。商品開発やサービス開発では、新たな経営軸にある「DX」とともに脚光を浴びている「GX(グリーントランスフォーメーション)」が、正にビジネスチャンスの視点です。加えて、既存顧客や新規顧客との出会いや差別化においても、サプライチェーンへの削減要請にもなるSCOPE3対応にて、選ばれるサプライヤーにならなければなりません。
SWOT分析で考えればシンプルであり、機会 (Opportunities)と脅威 (Threats) が自社の置かれた環境下において、表面化されているものと潜んでいるものがある筈です。
経営戦略において外部環境の変化は全ての企業に関係しており、これまでの戦略についても転換が避けられなくなっていきます。全ての企業の事業や商売だけでなく、経営全般に影響すると言っても良いでしょう。
③取り組みが社内組織に影響を及ぼすのか?
前述の通り、取り組みが社内と社員にとっての負担となることを懸念される経営者の方も多いと思われます。「また何かやらされる」「また仕事が増える」「儲からないことをする」とネガティブな意見を想定され、二の足を踏んでしまうこともあるかもしれません。しかしマイナスの意見やネガティブ発想を気にして、本当に良い企業になれるのでしょうか。「自社は、まだそのレベルなので」と肯定することは言い訳でしかならず、創業者舩井幸雄が唱えた成功の3条件「素直」「プラス発想」「勉強好き」のひとつである「プラス発想」とは程遠いものです。
 先ず自社のネガティブ思考に目をとられず、プラス発想の人達に目を当ててください。どのような企業でも組織でも必ず一人はいる筈です。経営者が先ず、最低1名としてその先頭にいます。いなければ継続をしていないからです。そして、他にもそのような素直・プラス発想・勉強好きの社員がいれば、もっとそのような社員が増えることを望んでいると思います。
 それが脱炭素経営です。
 働く価値として、スタートはマズローの欲求階層からも「生理的欲求」としてからとなることでしょう。食べる為に働かねばならない、所謂「生活の為」に働くとなっているでしょう。そして、「安全」「所属」「尊敬」「自己実現」と昇華していく際には、自らの自己実現が会社の自己実現と一体化していくタイミングが存在しています。社会の中で、他とは違う企業でありたい、価値ある存在として認められ求められる企業でありたい、その一員でいたいと、自己実現が会社の自己実現になっていくのです。ぞれを願う社員と一緒に会社を前に進めることが出来れば、どれだけ楽しいことでしょうか。目指したい会社に近付ける為にも脱炭素経営に取り組む必要があります。
 

2021年11月11日 3:31 PM

廃棄物処理業の脱炭素経営①「廃棄物処理業こそGXに取組まねばならない」

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 DXとGXが全ての企業にとって経営には不可欠となりつつあります。そのようになる未来とともに、既に2つの本取組を進めている企業は増えつつあり、その差が企業力としての差を大きくさせつつもあります。本ブログでもDXは多くお伝えしてきましたが、GX(グリーントランスフォーメーション)については、お伝えできておりませんでした。所謂「緑転」となるわけですが、温室効果ガスを発生させず最新技術にて転換させて産業構造や社会経済を変換させてていくものです。それはビジネスチャンスは勿論のこと、企業価値向上の為に、また企業の責任として脱炭素を軸とした経営転換を迫られています。 
 では、廃棄物処理業がGXを如何にビジネスチャンスとして活用していくべきかとなると、具体的な取組にクエスチョンマークがつく方も多いことと思われます。環境保全企業として常に地域と社会貢献に取組んでこられてきましたが、いざカーボンニュートラルや脱炭素のキーワードを聞いても、自らの企業活動とも遠いように感じているかもしれません。上場企業や大企業のゾーンであり、自社とは程遠いとも思っているのではないでしょうか。しかし廃棄物処理業こそ、GXに取組んでいかねばなりません。今から20年程前に環境ビジネスが注目を浴び始めた頃を思い出している方もいるかもしれませんが、あの当時よりもその潮流は深く広範囲へと、そしてライフサイクルにおいても導入期から成長期へと向かいつつあり、ビジネスチャンスとしては無視できないものへとなっております。そしてその転換点までが2050年近くまで続くことが想定されており、ポジショニングを創る数年間になっているのです。 
 廃棄物処理業は既に転換点を過ぎて時間も経ております。思いかえしてみると、3Rを謳っていた時には、それが出来ていなかったからでもあるのです。しかし、リサイクルもリユースも進み、リデュースは当たり前のように取り組まれて10年以上も経ています。ライフサイクルで言えば、過去の大量生産大量消費の後始末をつけてきた成長期から、人々の意識が変わることで発生抑制が進むことで転換点を過ぎていきました。マクロ的にも産業廃棄物の減少量から見れば、その結果は一目瞭然でもあります。業界内でもトップ企業群の合従連衡も進み、各種の層が明確に分かれつつあります。本業を続けていきながらも、新たな軸の準備は不可欠となっており、そのトップ層でさえも取組スピードが加速していることを感じます。第二本業が迫られているのは、いかなる業界でも同じことではあるのですが、経営資源の有効化からは、その上流と下流もしくはその横の市場であることが望ましいのですが、加えてブルーオーシャン且つ伸びていく市場でなければなりません。だからこそ、GXについては無視できない市場でもあり、そして自社が勝ちにいけるポジション参入は不可欠でもあるのです。 
 GXは流行りだから取組むのではなく、廃棄物処理業こそ絶対に取組むテーマであると思っています。一方、廃棄物処理業がGXへの取組むに当たっては、市場環境と今後の動向を冷静に見極めていかねばなりません。脱炭素の市場環境と動向とともに、自社の経営資源を活かせる戦略を持たねばなりません。 
 先ず一つ目に自社としての脱炭素経営、そしてビジネスとしてのGXと分けて考えていきたいと思います。 
 今回、おさえて頂きたいことは、廃棄物処理業はGXのど真ん中にいて、そしてそれを今後の廃棄物処理業経営に活かしていかねばならないことです。決して遠い話ではなく、直ぐ目の前にいる潮流であることを再度認識して頂ければと思います。

2021年10月20日 4:04 PM

収集運搬のDX⑦最終回「DXで勝ち残る収集運搬」

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 これまで6回と続いてきた収集運搬のDXについて、最終回となります。今回は「DXで勝ち残る収集運搬」となります。
 遡ること十五年以上前の時に、私は「収集運搬のみでは生き残れる会社は数少ない」とまで、断言していました。今更ながら、私が間違っていた面は多いにあったと思います。申し訳ございませんでした。言葉に付け足さなくてはならなかったことは、「儲かる収集運搬にならなければならない」ということでした。
 当時から産廃の収集運搬は儲からなくなっていました。中間処理が主の会社にとっては、収集は中間処理に入れる為の手段であり、顧客サービスのひとつとして捉えることも多かったものです。結果として、見積内でも本当に分割した積上げではなく、合算して幾ら残るかが設定金額にもなっていたものです。それ故に独立採算で管理をし始めると、収集運搬が別の会社ならば赤字会社になる程でした。一般廃棄物のケースは少し違いますが、グロスで儲かっているか否かでしか見れておらず、しかし月極料金の恩恵にて利益が出ているといなることが続いていました。勿論、その一般廃棄物の収集もルート管理が進み、原価管理も可視化とともに不採算ルートの改善も出来るようになっています。しかし過去は、売上が上がれば利益が上がる時代もあり、結果としての売上至上主義にもなることも散見されました。とにかく売上が増えればと遠方でも収集に行くことや、赤字が見えていても受注して稼働を優先することでさえもあったものです。これが収集運搬の問題でもあったのですが、更に言えば進んでいた物流業との比較にもあります。当時から物流業もギリギリの採算で戦っており、倉庫活用や3PL等の業態転換も進み、管理手法も進化をしたものです。しかし、相次ぐ顧客獲得競争が響き、また顧客からの原価低減要望からも採算改善は常に経営課題にもなり続けています。近年は同業界も値上げが進み、多少は改善されているものの、人手不足とともに撤退や縮小も増えていることも確かです。廃棄物の収集運搬も同様に、経営課題としての改善は不可欠なのです。
 儲かる収集運搬」を目指す為のDX活用とは、これまでの各回を纏めていくと可視化の手段が鍵になってます。当たり前のことではあるのですが、やり切っていないことではないでしょうか。基幹システム導入の際に可能なことを実装されていても、導入当初の移行時からデータ入力がされていなかったり、1~2ヶ月程度の数値把握をしても、その工数からも多忙になると続かなかったり、何よりも経営者の興味が薄れている時が問題でもありました。これではDXを導入しても同様のことが想定されてしまいます。先のように継続できない理由が、手間や工数であるものを継続させる為にDXにて効率化をしていても、経営者の意識が薄れていけばそこで終わってしまいます。「やり切る」というよりも、本来の目的から目をそらさず、ゴールの為に改善を進めることが可視化の目的でもあります。そうなってくると、以前の回でもお伝えしました通り、トップ自らがデジタルから逃げず、むしろ敏感にアンテナを伸ばし続けることが必要なのでしょう。私のご支援先の経営者で、自らも一緒にBIやRPAを学び、最低限の使いこなしまでは出来るように取り組んでいる方もいます。勿論、その道のエキスパートになる必要もなく、ましてや社内No1の使い手になる必要はありません。しかし、この経営者の方は自らが使えることによって、更に改善を考えられるようになり、そしてまた新たに誕生するツールを見極めるようになりたいとも仰っています。 
 経営戦略にDXがひとつの軸となり、マネジメント戦略やマーケティング戦略と同様に考えなければならない時代でもあります。収集運搬の改善も中間処理場改善同様に廃棄物処理業にとっては、当然重要なテーマでもあります。収集運搬の改善に終わりはなく、そしてそれは新たなツールを探し続けるべきであり、現在はDXが有効になっているだけです。儲かる収集運搬業、諦めず追い掛けるからこそ、上手くDX活用にて改善に取組んで頂ければと思います。

2021年10月5日 6:34 PM

収集運搬のDX化⑥「収集運搬のKPIと見える化」

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 前回から続く、収集運搬のDX化についてです。今回は「収集運搬のKPIと見える化」となります。 

 収集運搬の効率化を図りたい方にとって、何をKPI(Key Performance Indicator)化すべきかは考えてきたことだと思います。  
 過去から数値化は課題ではあったのですが、デジタコやドラレコ、そして各種端末の導入にて数値が取れるようにもなってきました。しかし、その数値が活かされていないことが散見されます。数値化は進んでいるものの、日常に忙殺されて改善が進んでいないことは多いのではないでしょうか。
以前の当ブログ(2020年3月1日「収集運搬費の改善について2」)でもお伝えさせて頂きました通り、先ずは時間当りの原単位を押さえて欲しいと思います。時間当り原価の感覚を持ち、時間当り粗利の月次と顧客別のチェックが必要となっていきます。この数値を分析していきながら、何を変えていくべきかを見つけ、更に言えば配車マンの通信簿にもなっていくと思います。数値の可視化は必ず効果を生み出すもので、今までの曖昧さから脱することで改善は進むものです。しかし一方、各社で展開をしていると現場からは、この数値反映や分析に莫大な時間と工数が掛かり、堪らないとの声もありました。効率化の為に進めていることなのに、それが別の業務として負荷が掛かると本末転倒にもなりかねません。その為にもDX化させる必要があるのでしょう。
 この改善には、RPA(Robotic Process Automation)とBIツール(Business Intelligence tools)を上手く組み合わせて頂くことをお薦めします。BIツールについては、各社も導入が始まっていますが、まだまだ現状のシステムから引っ張ってくるケースが多いように思います。または本来押さえるべきKPI数値でないものが引っ張られており、見てくれは格好良いものの、そこから導かれるものが解決されていないことも見られます。BIはツールであるのに、目的化している際に生まれてしまうことなのでしょう。またKPIは重要業績評価指標の筈なのに、それが間違ったKPIになっていれば、結果は生み出されません。収集運搬でのKPIを経営者がリアルタイムで押さえる為に、どのように可視化させるBIとなって貰えればと思います。そうなると経営側と配車マンや運搬部門の責任者では、おさえるべき視点も変わっていくことにもなっていきます。
 経営側として、要は「儲かっているか」です。正直不効率に見えることも多く、夕方に遊んでいる社員を見ると過去に比べた違和感しか感じないものです。収集運搬の独立採算を実施しているならば問題無いのですが、それが見えていなければ収集運搬の非効率化を疑ってしまうかもしれません。各人の細かい稼働状況については不要です。今日の回収は儲かっているのか?今月の累計は?昨年に比べ、5年前に比べて儲かっているのか?その欲しい数値がBI化される数値となっていきます。しかし一廃の月極やハウスメーカーの㎡単価では、リアルタイムでの採算性の可視化ができません。だからこそ先ずは大きな視点での原単位確認となります。毎日見ていくことで、必ず数値は答を導くものです。
 配車担当も同様に原単位を毎日見るべきです。しかしそれは短期的な安心でしかならず、やはり月次で最終的に見ていくべきでしょう。配車を調整した結果は一日で見ることは出来ず、その積み重ねを見るべきとも思います。
 しかし、この原単位確認に時間を取られていてはなりません。その為のRPA活用にもなっていきます。ドラレコデータやデジタコデータをスプレッドシート等に入れれば、後はRPAに任せることが出来れば良いだけとなります。この程度のRPAは簡単に出来ますので、是非取り組んで欲しいと思います。RPAについては難しく考えがちですが、触れてみると簡単なことに気付きます。これまでシステム会社にプログラミングを依頼して、そこそこの費用が掛かったものが、驚くほどの安価で組み立てることができます。そしてこのRPA活用にて抽出されたデータを同様にBIにて確認できれば、直ぐに課題発見と取組確認も早まる筈です。 
 繰り返しますが、RPAやBIはツールです。大切なことは必要となるKPIであり、そこから答を導き改善を進めることが目的です。しかし、それに時間を掛けていてはデジタルによる効率化と逆方向に向いてしまいます。その為のRPA活用でもあるのです。上手くデジタルツールを活用して、収集運搬の効率化を目指して欲しいと思います。

2021年9月21日 11:02 AM

収集運搬のDX化⑤「ドライバー育成のデジタル活用」

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 前回から続く、収集運搬のDX化についてです。今回は「ドライバー育成のデジタル活用」となります。 

 先ず誤解を生んではいけませんので最初にお伝えしますが、デジタル活用でドライバーが育成されるというわけではありません。最優先は安全であることは変わらず、安全教育が育成の第一でもあります。ドラレコ導入もデジタルと言えばデジタルですが、導入による効果は間違いありませんので、未だ導入していない会社は是非ともと思います。また技能というものも、勿論経験が主にはなりますが、その方本人が持つ反射神経や空間認識、更に所謂運動神経と呼ばれるものや、体力等各種身体能力にも左右されていきます。そして性格も影響されていくものです。
 ドライバー育成においてのデジタル活用としては、一人前達成させることをデジタルで管理していくことに取り組んで貰えればと思っています。以前の回で配車効率化の話をしましたが、配車マンの悩みのひとつに配置の問題があります。全ての人が、どこでも回収に行っても問題も無く、更に効率も変わらなければ、どんなに楽でしょうか。「ここは、あの人しかいけない」「あの人では任せられない」「あの車輛を遣える人が少ない」等によって、任せられる人には負荷が掛かり、危ない人には楽な仕事しか任せられない等の不公平も生まれていきます。全ての人とは言いませんが、そのどのような仕事も可能となる一人前のドライバーが全体の何人となるかが配車効率向上も可能とさせていくことでしょう。つまり、ドライバーの一人前化が収集運搬の収益化では大きな鍵を握っていると言っても構わないと思います。前回の顧客情報管理も一人前を早期化させるひとつのツールであり、覚えられない、解らないではなく、解るようにする仕組でもありました。ドライバーの早期一人前化は廃棄物収集運搬業では避けて通れない経営の重要課題であり、それを可能にすることにはチャレンジしていかねばなりません。
 その為には、先ず自社のドライバーの一人前基準を明確にすることとなります。しかし、この「一人前」が難しいものです。それぞれの会社で基準は違うと思いますが、理想的なドライバーを捉える会社もあれば、今は出来ていないものの将来目指したいカタチを考える会社、そして現在いる自社ドライバーの優れている人を基準にする場合もあります。ここでは、経営戦略に基づき、自社が目指すドライバーの姿と現実のギャップを冷静に見つけなければなりません。あまりにもかけ離れていれば、2段階3段階でのカタチを明確にしていくべきでしょう。そして、その最初の到達点に向けての各項目についての計測と可視化をデジタル活用していって欲しいと思います。例えば、業務知識と言っても幅広いと思います。廃掃法の知識だけでも、マニフェスト等ドライバーとして最低限求める同法の知識もあれば、品目も自社搬入物から禁忌品までと拡がっていくと思います。それが、どこまで理解しているかテスト等も実施していき、各人の到達点を一目瞭然にしていくべきでしょう。そこで活用していくのが、BI(Business Intelligence)ツールにもなっていきます。既に経営指標をBI管理にて進めている企業も多いと思いますが、HR(Human Resources)テックとしても有効です。これも一種の評価制度の一種かもしれませんが、大きな違いは完全オープン化で全員が見えるようになることです。ドライバー同士が誰が優れている、自分は何が不足している等が見えることで、またその上長も本人の伸ばさなければならない要素も見えていきます。そして評価と違い、頻度はリアルタイムでチャレンジさせたい、チャレンジしたい人にはどんどん取組むことができます。所謂仕組化ですが、先の通り育成の骨格が基礎にあり、それを導入だけでなく目的を達成させる為でのツールとなっていきます。つまり、一人前のドライバーを早期に多数作ることが目的ならば、如何に各人が取り組めるかが重要になっていきます。制度があることが重要なのではなく、制度が如何に効果を発揮するかの手段も忘れてはなりません。それ故に、デジタルツールを使わざるとも早期育成が制度だけで効果が発揮できる会社には不要でしょうが、しかし工数を考えてもデジタルを上手く活用することは有効でもあると思います。 
 育成には目的が重要で、それを実現させる制度と活用の為のツールをデジタルでも実現させていって頂ければと思います。

2021年9月8日 9:23 AM

収集運搬のDX化④「ドライバーの顧客情報管理」

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前回から続く、収集運搬のDX化についてです。 

今回は「ドライバーの顧客情報管理」となります。
 産廃でも一廃でもドライバーが収集運搬に伴う顧客情報に関して、過去から情報活用は各社取り組まれてきました。一般廃棄物ではルート回収のなかでコース設定されてしまうと、その担当者以外では顧客ルールの継承が難しいことも多かったものです。時間指定だけでなく細かいところでは、サイン有無、声掛け有無、倉庫の鍵、伝票のサイン、車輛停車位置、スーパーでの計量や伝票発行、等々と個別ルールがあるものです。更に言えば、月極として設定している重量も各社にあり、その重量違いは採算面の生命線でもあります。結果、複数ルートを走れる人が重宝されるものの、一方で大都市圏での夜間回収等では、その特殊性からも代替され難く固定化しがちとなります。そういったルート別の顧客情報を搭載したソフトもあったのですが、先の配車システム等との連動が悪く、また端末も含め煩雑になりがちでした。
 産業廃棄物では、箱の設置等では情報の一元化し易かったのですが、液モノやスポット等での注意事項は多岐に渡り、また数年に一度の仕事等ではその情報を遡ることも煩雑になることも発生しています。また、地図情報も欲しいのは、構内での案内や目的地近隣での地図が必要であり、営業が取得した地図では不十分であること、ドライバーが替わる度に調べなすことや周囲の人に確認をすることも多いものです。
これらの顧客情報が紙やドライバー間でのやり取りで行われていること、これも隠れたリスクでもあると思います。

 先ず、これらの対応するソフト環境が大きく変わっていることを認識して欲しいと思います。
これまでは、展示会等や業界誌での情報や同業他社情報等でしか知らなかった、運搬関連のソフトですが、DX化によって、それがもっと身軽に安価なものへと変わっています。専門のソフトでしか検討できず、また新たに構築を依頼すると莫大な費用となっていたものが、既存の組み合わせだけでも出来るようになっています。解り易く言えば、スマートフォンのアプリ同様に、既存のERPやCRM、SFA等パッケージに幾つかのアプリと無料ツールを組み合わせるだけでも、前述の一廃や産廃のドライバーが使う顧客情報管理も入れることが可能になりました。勿論最後の遣い易さのみは、そのアプリメーカーを得意とするベンダーに開発を依頼すべきですが、それでも僅かな価格で構築ができてしまいます。 
 また、どれだけの精度を求めるかの視点も重要となっていきます。あれも欲しいこれも欲しい、これがあると便利等が浮かぶことは良いことなのですが、それをソフト会社に依頼すれば「できます」の返事とともに高額の見積が上がってくるでしょう。場合によっては、更に便利な付加機能も提案してくれるかもしれません。この精度の深さは再考して頂きたい部分でもあります。苦労をして時間を掛けて作り込んだものが、このIT技術スピードは恐ろしく早く陳腐化してきたものです。数年も経たずに既存のフリーソフトやアプリでも可能になることが増えており、一方でソフト会社と自社構築したものは手間の掛かるものへと変わっていることが散見されます。そして保守料と更新の費用と見えない工数が、却ってコスト増になることもあります。だからこそ、100%を求めないで欲しいと思います。今の市場にある技術を遣い、開発面を極力少なくして出来る方法を見つけることが重要でしょう。ハードも同様で、例えば過去は専用端末をドライバーに持たせるケースが多かったのですが、ご承知の通り今はスマホや市販のタブレット活用が主流となっております。これによって、バージョンは直ぐに更新も出来て、情報管理やセキュリティ面でも容易となっていきました。ソフト面でも無料のgooglemapだけでも進化しており、過去に出来なかった活用が容易になっていることも増えています。いまの技術で求めたいことにどれだけ近づけるかが重要となっていくでしょう。費用を掛けずとも、何もしないことよりも大きな改善が生まれることも認識ください。 
 一方で取り組みには、注意が必要となります。これはデジタル化の大原則でもあるのですが、既存の「やり方」をベースに構築をしないことです。デジタルは業務改善の手法でもあり、業務改善を進めるなかでのツールでもあるのです。それ故にドライバーの顧客情報管理には、本来不要な取り決めやルールの見直しが大前提となっていきます。取引開始の際には必要であったが不要になっていること、いつの間にかルール化されていることもあるのではないでしょうか。配車の時と同様に、その見直しが最優先となります。業務を改善する為での取組であり、それによる費用対効果が当然求められます。その際にドライバーの引継のし易さや、経験年数の浅いドライバーでも早期に対応できることは大きなメリットではありますが、仕事のやり方が変わっていなければ、まだまだ無理が潜んでいるものです。究極は顧客情報がゼロでも可能にすることであり、その過程での最低限の情報に絞り込むことが目指すことでもあるでしょう。顧客との取り決めだから変えられない、は瞬間に思考を失う恐れもあります。何故それが必要であったのか?今でもそれが本当に必要か?代替する方法は無いのか?営業だけが考えるのではなく、顧客と確認しながら改善を考えねばなりません。それが収益を生み出すものになっていき、また競合との差にもなっていくことでしょう。  
 ドライバーが知るべき顧客情報管理について、費用を掛けずともデジタルでの改善が可能です。是非、取り組んで頂きたいと思います。