丸の内で働く産廃マンのブログ|産廃WEB|船井総研

丸の内で働く産廃マンこと、株式会社船井総合研究所 廃棄物ビジネスコンサルティンググループ グループマネージャーの貴船です。日常のコンサルティングを通して、そこはかとなく記していきます!

2022年11月25日 9:43 AM

廃棄物処理業の脱炭素経営⑩「脱炭素経営にて組織を変える」

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「脱炭素経営にて組織を変える」の続きです。

(3)脱炭素をパーパスへ
 パーパス経営という言葉が、近年は多く聞かれることになったと思います。「自社は何故存在するのか?」とする存在意義や、自社と社会との関わりについての社会的価値、社会に対する志を明確にして、それを経営の基軸に置くものでもあります。これには経営層と従業員が議論し、結果としての共有と共感が必要となっていきます。そして企業経営においても、これまでステークホルダーに対して、短期的収益性を意識してきた資本の考えから、社会が持続可能性を求める考え方への変化にも繋がってきていると思います。廃棄物処理業においてもパーパス経営が必要となっているのは、従業員の多くが社会的意義を認識しているのに、それが自社で働くことの意義として合致していないことが多く見られるからでもあります。、
 これは会社としての視点だけでなく、拡がる社会不安の中で従業員自身が「何故、この会社で働くのか?」「何の為に働いているのか?」と問い、その答と自社のパーパスが一致させることが、会社の収益性にも繋がっていくこととして、企業価値向上としても重要になっているのでしょう。その人にとって、生きる目的がパーパスならば、会社のパーパスを達成させることを一緒に目指せることで、働くことへの価値が大きく変わり、
 実現したい未来について、個人としての夢を実現する未来は夫々にあると思いますが、実現したい未来の社会となると、今よりもより良い社会であることを望むのではないでしょうか。しかし現実の社会では戦争も起こり、エネルギーの不安定さやサプライチェーンの課題まで浮き彫りになっています。加えて気候変動における影響が現れてきており、未来の社会が現状の延長では今よりも決して良いものにならないことが解ってきています。しかし、その未来について自分自身が何かできるかと考えても遠く大きな問題でもあり、自らでの行動での変革を難しく感じがちです。それを企業活動で変えることが出来、その役割の一部を働くことで担えるならば、新たに働く楽しさや充実感と目的が生まれていくことになります。  
 しかし決して忘れてはならないことは、経営にとって社会性の追求が収益性であり、つまり社会性と収益性を両立させることでもあります。パーパスとして脱炭素は重要なテーマではあるのですが、その達成の為に、如何に企業活動を通して収益を上げていくことが重要な観点です。脱炭素経営の中には、このパーパスが定まっていることが前提であり、そのパーパスを達成する集団が組織にもなっていきます。それ故に未来型組織としては、このパーパスが社内に浸透している組織でもあります。そして大切なことは浸透ではなく、共感している社員で構成されている組織であることです。採用から脱炭素実現訴求で取り組んでいけば、当然入社の段階から思いは一致しやすく、また入社後も周囲が皆同じ考え方の為に深い共感の維持も可能ですが、既存の組織に展開しようとすると当初は捉え方にも差が出てくるものとなります。だからこそ、脱炭素経営に取り組む際にパーパスの社内展開には、時間と工数も掛けて丁寧に行い続ける必要があります。そして当初は小さかった共感の輪が、次第に大きくなることで必ず加速するタイミングも訪れていきます。そうなれば、脱炭素経営を達成できる組織が構成されていき、取組の精度とスピードも上がっていくことでしょう。夫々が指示や命令で動くのではなく、企業と自らのパーパスを達成する為に動くこと、働くことは生産性での変革は勿論、企業文化でさえも変えるものとなっていきます。脱炭素を軸としたパーパス経営に、是非取り組んで欲しいと思います。

2022年10月25日 10:27 AM

特別編「廃棄物・資源・浄化槽ビジネス研究会10月例会振り返りレポート」

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 今回は10月開催の、廃棄物・資源・浄化槽ビジネス研究会の振り返りレポートをお届け致します。当日の講座のなかで、「サーキュラーエコノミー時代での戦い方」について前半部分を抜粋してレポート致します。 
(1)サーキュラーエコノミーとは
①サーキュラーエコノミー(Circular Economy)
・EUが2015年「European Commission」として公表
・日本語訳として「循環型経済」
・2018年経済産業省が線形経済(Linear Economy)から循環経済(Circular Economy)として発表
・2020年EUにて「製品、素材、資源の価値を可能な限り長く保全・維持し、生産と消費における資源の効率的な利用を促進することによって資源利用に伴う環境影響を低減し、廃棄物の発生ならびに有害物質の環境中への放出を最小限にする経済システム。3R対策の優先順位を適用することを含む。」と定義
・従来の3R(リデュース、リユース、リサイクル)の取組に加え、資源投入量・消費量を抑えつつ、ストックを有効活用しながら、サービス化等を通じて付加価値を生み出す経済活動である(経済産業省)
・廃棄製品や原材料などを新たな資源として経済活動の複層段階で循環させる「クローズドループ型」の経済モデルへの転換を目指す動き
・世界市場としては500兆円の経済効果があると言われている
 
 同語については、数年前から既に拡がっていた言葉ではあったものの、私自身が当時は正直ピンときていない部分があったと思います。日本とEUとの法を含めた廃棄物行政、また歴史を含めた廃棄物文化の違いとして、ガラパゴス型進化をした日本にとっては展開の難しい面が多いと感じていたこともあります。そして「循環経済」の言葉は日本でも定着しており、資源の有効利用や3Rの優先度も随分と進化してきたと思っていたからです。 
 しかし、改めて資料を追い続けていくと見えてきたことは、目的が脱炭素化であったことです。既に多くの方は気付いていたことだと思いますが、カーボンニュートラル化が目的であり、その手段としてサーキュラーエコノミー化を必要としていたのです。そして私が思っていた循環経済は線型経済であり、更に視点を変えて小さな輪が生まれ、その中で経済が新たに動いていくことでもあったのです。点で押さえることが多かったリユースやリペア、そしてリサイクル材の活用も、全てが繋がっていくものでもあります。 
 既にご承知の通り、EUでは1975年の「廃棄物枠組み指令」において「廃棄物ヒエラルキー」の考えがあり、逆三角形の底辺に⑤「適正処分・廃棄(Disposal)」が置かれ、もっとも優先度が低いものとなっています。つまり、ただ捨てるだけは最後の手段なのです。その上に、④「回復・他の再生方法(Other Recovery)」⇒③「リサイクル(Recycling)」⇒②「再利用(Preparing for re-use)」と続き、ここまでが廃棄物(waste)のゾーンとなります。その線引きの上に製品(product)としての①「発生抑制(Prevention)」が存在していました。2010年に公表された以降10年間の欧州の成長戦略「Europe 2020」において、3つの柱のひとつ「sustainable growth (持続可能な成長)」と7つのフラッグシップイニシアチブの一つとして、「資源効率(Resource efficiency)」を推進する方針が示されます。2011年「資源効率」を具体化した「資源効率性のあるヨーロッパに向けたロードマップ」が発表され、生態系サービスの見える化や、市場メカニズムの活用、炭素税など税制面でのアプローチなどとともに、リサイクル率の向上が掲げられました。2014年「EU Resource Efficiency Scoreboard 2014」や「Progress Report on the Roadmap to a Resource Efficient Europe」にて進捗評価が発表され、加盟国の資源効率の進捗度を評価する一方で、廃棄物を資源として捉え直すサーキュラーエコノミーへの移行の必要性が記されます。そして2014年から2020年までの「第7次環境行動計画」でもサーキュラーエコノミーへの移行が明確に打ち出されます。2015年12月、欧州委員会は2030年に向けた成長戦略の核として、サーキュラーエコノミーパッケージを承認し、翌年2016年6月には54の具体的行動を策定し、具体的なアクションプランを採択します。2018年5月、欧州委員会は2015年サーキュラーエコノミーパッケージに基づき廃棄物管理とリサイクルに関する新ルールを決定。廃棄物の発生抑制、及び一般廃棄物と包装廃棄物のリサイクルの大幅な改善を図り、埋立てや焼却よりも発生抑制、再使用、再生利用を優先させる「廃棄物ヒエラルキー」の具体的な措置をEU加盟国に義務付けていきます。2020年3月、欧州委員会はEU全域でのサーキュラーエコノミーを加速する為の新計画「新サーキュラーエコノミー行動計画(New Circular Economy Action Plan)
」を公表しました。「規制」「義務付け」「指令の強化」という言葉が並びますが、「2050年にカーボンニュートラルを実現させ、自然環境を守り、競争力を高めるために完全なサーキュラーエコノミーへの転換が要求されている」と述べた通り、行動計画の目的はサステナブルな社会を実現させるとともに、環境負荷と経済成長のデカップリング(分離)を図ることであり、そのための支援強化策も取り揃えています。
 これらEUの取り組みを見ていると、確かに日本でも進めなければならないテーマが存在していることも分かります。しかし、その為には廃掃法が変わるだけでなく、政治的な動きと企業とが連携をしながら障壁を超える必要もあります。
 そしていま、経済産業省と環境省が連携をして、新たな日本での取組が始まりだしているのです。

 今回は抜粋版として前半の導入部分となっていますが、このようなことが学べる、是非廃棄物・再生資源・浄化槽業ビジネス研究会にもご参加いただければ幸いです。。

  

2022年9月26日 9:15 AM

廃棄物処理業の脱炭素経営⑨「脱炭素経営にて組織を変える」

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脱炭素経営が組織を変える
(1)脱炭素経営で企業文化・社風を変える
脱炭素経営への各社取組状況から見た際に、企業の組織体としては一見関係の無いように見えてしまうかもしれません。しかし取組によって、企業文化や社風を変えるチャンスを持っています。既に第1章1「中小企業だから脱炭素経営に取り組むべき」に述べた通り、脱炭素経営を使って長所伸展型組織に変えていくことができます。
 理念やビジョンの浸透に課題を抱える会社は多いものです。皆が暗記をしていても、それが言動の骨格になっていないことや、価値観としてまで統一されていないと感じているからです。自社の社会に対しての役割が明文化されていることも多いものの、社員個々にはそれが遠いものとなっていることが見受けられます。例えば自社の業務に社会性を感じていても、自分の業務を通しては感じられず、単純な作業の視点となっており、とても中長期視点で考えられないといったケースです。また理念だけでなく、SDGsやISOへの取組についても業務と切り離されており、興味も無く手間と感じている姿も散見されます。
 これらの課題の根幹は、理解できない社員が悪いのではなく、経営としての教育面への取組にあると思っています。皆、頭では理解をしていても心では納得していないからでもあります。理念やビジョンが、個々の行動へと具体的になるまで示し、理解ではなく納得させることに注力しなければなりません。その際に手段と目的の逆転化は避けなければなりませんが、この行動までの落とし込み化と理解迄の繰り返しを不得手としていることが多いように思われます。当然ながら業務を優先して、更に生産性や効率性からも時間を掛けることは出来ないとなっていることもあります。そして最大の敵は、諦めでもあります。所謂「仕方がない」病に陥る時です。「皆、業務に忙しいから仕方がない」「ウチの業種(会社)では仕方がない」「彼等に言っても仕方がない」と出来ない理由を言葉で発し始めた時が症状です。「仕方がない」病に陥らない、抜け出す為には強い理念への想いと実行力のみです。その実行力とは、PDCAの実行となるDOこと「D」にフォーカスが当てられますが、むしろ「P」ことPLANが重要となっております。「D」を前提とした「P」になっていない為に、上手くPDCAサイクルがまわっていないのです。その「P」について脱炭素経営を手段として、理念やビジョン達成の為のロードマップとして考えれば、軸は一本化されていきます。全ての行動が脱炭素経営に則り、それを到達されるときこそ、会社と夫々のビジョン達成となることを繰り返し伝え、皆が納得していくことを取組続ける必要があります。
 脱炭素経営を理念やビジョン達成の手段として、統一された社風や文化となることを目指してください。
(2)脱炭素経営で未来型組織へ変える
 脱炭素経営は近い未来への取組でもあり、組織も当然未来型である必要があります。脱炭素経営への取組を契機として、未来型組織に取り組んで欲しいと思います。
その際の最初に取り組むことは、組織の意味についての社員理解となります。これは脱炭素経営に関係無く必要なことなのですが、中小企業ではそのデザインや部署の意味も含めて曖昧になっていることが多いものです。数年前にISOの為に作成したままで実態と違うことや、部署の役割が不明確であること、役職者が兼務だらけになっていること、退職者の名前が残っていることや逆に入社者の名前が無いこと、等々の実態が見受けられます。だからこそ、部署や役職の役割を再定義することが必要となります。
 そして組織のデザインも、現状の組織から昇格者を決める延長型組織構築を止めることも必要となっていきます。昇格者の為に部署をつくるのではなく、理念やビジョンを達成する為にまわしていくことが組織の役割でもあります。
 未来型組織として、脱炭素達成の為に求めるもの、つまり経営戦略に沿った未来の組織図として組織計画を構築していく必要があります。10年後や5年後に思い描く自社の状態に対して、その為に必要な組織があり、現在の姿とのギャップが取り組む為の課題にもなっていきます。そして真の未来型組織に取り組む為に、ティール組織を目指すべきだと思います。脱炭素経営にて、先ずはGREENとなる「価値観の共鳴による統治」となり、そしてTEALとして、組織の目的実現の為にメンバー全員が信頼に基づき変化するような、指示命令系統不要な組織、自律分散型組織となること、組織の存在目的に合わせた持続可能な変化ができることを目指して欲しいと思います。

2022年8月25日 10:09 AM

特別編「廃棄物・資源・浄化槽ビジネス研究会8月例会振り返りレポート」

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今回は8月開催の、廃棄物・資源・浄化槽ビジネス研究会の振り返りレポートをお届け致します。
当日の講座のなかで、廃棄物・資源・浄化槽業の新規事業について、抜粋してレポートさせて頂きます。

 業種の市場において既に決定していることとして、人口減少とエリア集中、既存産業のゲームチェンジ、あらゆる市場の縮小による廃棄物市場の減少、カーボンニュートラル化における廃棄物の在り方等があります。つまり、業種としては①市場の中でのポジショニング②10年後以降の種を撒き、育てることが必要となっているのです。
 新規事業が必要なことは多くの方が理解していることではありますが、その際の事業ドメインは課題となることと思われます。
1.事業ドメイン
(1)事業ドメインとは
・自社が経済活動をする際での事業領域・市場
・間違いやすいドメイン
「廃棄物屋(産廃屋、一廃屋、ごみ屋)」「資源屋(古紙屋、スクラップ屋、屑屋)」「浄化槽屋」は主業ではあるがドメインではない
・広すぎず、狭すぎず、長所伸展可能か
・例えば「廃棄物」とした場合に、拡がりの可能性
・運搬から最終まで、建設から工場から公共、一般家庭まで
・これらを付加していくことを追求して、企業の成長が可能か?
・そもそも、自社が持つ経営資源が活かせるのか?
・経営理念と企業ドメインと混合しないこと
(2)事業ドメイン分析
CTMフレームワーク(Customer (顧客)」「Technology (技術)」「Function(機能))では
市場と顧客) 市場と顧客層を細分化して、自社のサービスの価値が最も発揮できるターゲットを明確化
技術・ノウハウ) 自社が持つ技術やノウハウ、無形の価値(例えば許認可)が競合他社と差別化可能なもの
機能)      どのような役割を担い、何を提供するのか?

これをベースに考えていきます
フレームへの当てはめ方の間違い1
市場と顧客) 県内の住・建設業から出る産廃全般
技術・ノウハウ) 中間処理の受入品目
機能)     収集・中間処理からリサイクルまで一貫して提供
⇒ドメインは結局何か?
⇒事業が拡大可能か?
⇒差別化できているのか?

フレームへの当てはめ方の間違い2
(焼却施設)
市場と顧客) 県内及び隣接30KM内において、住建設は勿論ながら、大手製造業を中心として困っている処理を対応
技術・ノウハウ) 県内での需給バランスにおいて、県外流出が多い、廃油、廃酸、廃アルカリ、特に特管物に対応可能
機能)     清掃業務迄請け負うこと、また近距離への運搬と発電機能にて脱炭素化を目指したい企業への訴求
⇒ドメインが手法となっている
⇒ビジネスチャンスとしての視点は良いが、自社での長所に欠けている
⇒新規事業としての取り組む際でならば、夫々のフレームを達成させるべき方策
 が明確でなければ、事業化への課題解決が見えない

フレームへの当てはめ方例
(県内建設産業の環境保全を支える)
市場と顧客) 県内建設・土木の大手から中堅までの環境意識が高い企業
技術・ノウハウ) 建設・土木から発生する全ての品目について受入可能、リサイクル率も現状よりも上げられる
機能) 解体、地盤改良、土工事、建材、産廃(収集・中間)、資源買取まで一気通貫対応
⇒悪くは無いが、選択と集中面のなかで分散によるリスクと投資効果が不明
⇒今後ドメイン内にて、新規事業を設定時に発展性に疑問
⇒市場における課題が念頭にあるか?時流を前提にしているか?

CTMフレームからの課題整理
・自社の出来ること、業務範囲に固執してしまうと思考が止まる
・社内で議論をしようとしても温度の違いがあり(儲かれば良い、やってみなければ解らない、内部視点のみもしくは視界が狭い、マーケ発想が無い、個人願望、他人事等)
・既存事業の単なる言い換えは何も生み出さない
・ドメインが手法になってはならない
・時流としてビジネスチャンスの視点は必要だが、自社の長所活用が不可欠
・差別化視点は一般的ではなく、比較対象と明確であること
・フレームが願望で終わらず、障壁の整理と解決できる道筋が必要
・分散することでの非効率さとリスクが解決できているか
・事業としての発展性(市場)があるか
・市場での課題をフラットに捉え、自社での解決が見極められているか

2.顧客での視点
(1)既存顧客
①既存顧客からの客単価アップ
・売上の方程式となる、客数X客単価では有効
・既存顧客だけで、どこまで拡大可能か
・既に市場で対応している競合との差別化要素があるか
・廃棄物処理業の場合は、つい品目追加となるが、それは現在も他社が請け負っている為に、価格勝負もしくは同等レベルとなり、以降も価格に踊らされる
・再生資源業でも同様に、廃棄物獲得を目指す際には既にレッドオーシャン化されていることが多く、発展性に限界がある
・当然ながら、真に現在顧客が困っているものでなければならず、需要充足のものには取り組まない
・客単価アップ視点の際は、自社にとって事業検討がしやすく、参入障壁が低いものは(一般的な高低ではなく)、収益性と発展性に欠けることが多い
・既存客数が少ない際は、先ず客数アップを優先すべき
・既存客に同業者比率が高い、小規模事業者が多い場合も客数アップから
(2)新規顧客
①既存顧客と同業種を増やす手段(客数アップ)
・既にレッドオーシャン化している市場において、価格以外の武器として新規開拓する武器として事業展開
・所謂一転突破的視点において、事業を展開することも有効。特に転換点を超えている廃棄物・再生資源業では積極的に取り組んでいきたい視点である
・事業検討の際に自社経営資源を有効化できることは重要であるが、一転突破の視点では検討事業領域に限界が出てしまう為に、市場成長性を優先して、それに自社を近付けることに取り組むこと
②顧客獲得の為に、その上流からのアプローチ
・所謂、「顧客の先の顧客」ゾーンへの参入。現在事業の顧客が望むものを自社が獲得して、顧客へ展開する視点。過去に取り組んだ、解体工事受注から解体業へ発注も同様。新築ハウスメーカー顧客ならば、土地情報等土地オーナー顧客獲得の商品やサービスづくりとなる
・参入難易度も上がり、現状保有の企業資産を活用できるケースは少なくなるが、既存顧客の維持と新規顧客獲得の際には有効な手段となる
・既にライフサイクル上での成熟、衰退、安定期へと突入している事業は避けるべきであり、まだ参入企業が少なく、今後のニーズ拡大が見込まれる事業でなければならない

この後に、「技術」「ノウハウ」の視点、また「機能」の視点における「役割」「商品・サービス」、そして各社の事例からレポートとともに、学んで頂いております。リアルだからこその温度感と情報、そして各社の生の声、これも研究会のメリットと思っております。現在も新規会員を募集しておりますので、ご興味のある方は是非お申しつけください。

2022年8月25日 8:26 AM

特別編「廃棄物処理業のインフレ対策」

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今回は、特別編として「廃棄物処理業のインフレ対策」についてお伝え致します。
1.廃棄物処理業の現状
(1)市場
①産業廃棄物排出量とキーワード
ⅰ)総量
近年減少は進んだものの将来予測推定より下げ止まっている。海外への廃プラ還流、また建設関連の活況が続いていることもあり、市場感として減少感は感じない。製造業も円安と資源高、部材不足の影響が続いており、各種エンドユーザーの生産計画にも支障が出ているが、2022年単年での影響があっても、5年程度のスパンでは大幅減少には繋がらないと見ている
ⅱ)廃プラ
脱プラの方向は続き、商品開発も含め、国としても改善を進めていく意向は強い。しかし廃棄物の特性からも、製造時発生だけでなく廃棄段階まで発生量の減少には時差があり、10~20年程度の緩やかな減少が想定される。
ⅲ)焼却
需要に対する焼却施設不足が2022年現在も続いており、同時に価格高騰も止まっていない。今後の建設見込に対しても、その建設迄の時間軸と施設への障壁からも急激な改善は見込まれていない
ⅳ)最終処分場
管理型最終処分場不足は続いているが、設置量とのバランスによって残余年数に大きな変動は生まれていない。しかし変わらず過多ではなく、需給バランスとしても維持が続くことが見込まれる。それ故に需要側としては価格競争激化を想定して、如何に管理型最終処分場への搬入抑制に努められるかは必要となってくる
ⅴ)サーキュラーエコノミー
循環経済(サーキュラーエコノミー)とは、従来の3Rの取組に加え、資源投入量・消費量を抑えつつ、ストックを有効活用しながら、サービス化等を通じて付加価値を生み出す経済活動であり、資源・製品の価値の最大化、資源消費の最小化、廃棄物の発生抑止等を目指すものである。この考えの広まりは、3R以上に製造過程での減量化が進むことにもなっていく。先ずはプラスチックが主となっていくが、マクロでの減少方向となることを想定しておく必要がある
ⅵ)脱炭素
プライム市場の企業はTCFD賛同をしており、今後もSCOPE3のなかでの廃棄物はテーマとなっていく。その際に①発生抑制②運搬削減の視点があり、運搬では遠方へ運ぶことが懸念点にもなりうる。2030年迄の各社取組には注意が必要となる
②廃棄物処理業
ⅰ)リーディングカンパニー
・これまで業界特性として新たな参入は少なかったが、M&Aを通しての大手参入は続いていくことが見込まれる。
・事業承継難でのM&Aは小規模型が多く、事業者数の減少は緩やかにもなっている。
・大手同士の合併やグループ化も、これまで以上に進み、グループで広範囲をおさえていくことも想定される。
・地域特化型は変わらず強く、他地域からの攻略も上手く進んでいない。この傾向は今後も継続されるが、市場規模縮小されるエリアもあり、今後の事業戦略は注意が必要となる。
ⅱ)設備
・設備投資について、業界上位は各社積極的になっており、売上及び収益向上の為に事業戦略上においても不可欠となっている。
・収益性の高さは施設特性に左右されることは変わらず、また処理方法の大幅な進化が想定し難いことから、今後も水処理、焼却。最終処分場の優位性は高い
・車輛不足が全国的に拡がり、納車待ちは1年を超えることもざらとなっている
ⅲ)組織
・コロナ禍にて、一時的に募集の反応も改善され採用充足感はあったが、再び募集に対する採用難が広がっている。働き方改革から、シフト型や残業対策及び休日の増加にも取り組んできたが人員不足が否めず、仕事の出来る人への負担が増えている
・年齢構成が歪となっていた平均年齢高齢型は悪化が続いている。定年者の再雇用を継続しても、一時的対応であり、変わらず若年層の採用と育成には苦戦が続いている
・この20年程で営業マンとしての活用は定着してきたが、コロナ禍での訪問難や採用難もあり、営業手法も含めて過渡期であることは否めない。新たにABM(Account Based Marketing)にも取り組みが広がりつつあり、時間は掛かるが営業の変化が始まっている
・幹部の力量不足は長く課題であったが、幹部候補の育成への取組を続けた企業では、新卒系の育った会社にて変化も出始めている
・女性活用は、ゆっくりと進んでいるが、現業系では他業界に比べてまだまだ低い状況である。但し、リーディングカンパニーを中心に取り組みは拡がっており、今後に期待
ⅳ)デジタル
・業界全般として遅れていることは否めない。基幹システムも初期設定のままで活用は仕様の半分程度であることや、会計システムとの二重処理やSFAとCRMの活用も苦戦が見られる。マーケティング面でも、WEBマーケやABM等も未成熟である。現業系では、運搬系でのデジタコやドラレコは進んだが、データ分析の活用にはなっていない。中間処理場もIoTが開発と導入も始まりだしているが、その投資コストと効果には今後に期待となっている。
ⅴ)採算性
・焼却を始めとした二次処理費高騰、働き方改革と生産性低下による人件費高騰、燃料費高騰による収取運搬の採算悪化、重油と電気代アップによる中間処理場のコストアップ、そして無理な受注による収益性ダウンと採算性が急激に悪化している
(2)2022年に取り組むべき7つのポイント
①短期的なコスト見直しと改善
②中期的な生産性改善
③営業機会を新たな営業活動で活かす
④DXのバージョンアップ
⑤2022年版採用と育成
⑥事業戦略の再構築
⑦脱炭素経営のスタート

2022年7月19日 4:35 PM

廃棄物処理業の脱炭素経営⑧「廃棄物処理業の脱炭素経営」1

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 これまで、廃棄物処理業の脱炭素経営のポイントを整理してきましたが、根底に時流適応経営があります。一方で、廃棄物処理業が現在直面している課題は、①インフレ対応②労働力不足③二次処理費負担増といったものではないでしょうか。つまり、この直面している時流と今後来るべき時流の2方向で捉える必要があります。①~③を解決しながら、来るべき脱炭素経営に取り組めるかがポイントでもあります。 
  
1.脱炭素経営で儲ける2つの視点 
 脱炭素経営で儲けるには、①マーケティング②コスト削減と2つの視点が必要です。脱炭素市場はルールと規制が目まぐるしく変化し続ける為に情報の整理が必要であり、またGX、技術開発・スピード市場環境の変化はDX同様の高スピード(水素、CCUS等)でもあり、①②ともに必要なものは「情報量」X「質」の乗数となっていきます。その際には、WITHコロナの現在においては過去の常識やルール等当たり前が覆されていきます。脱炭素時代での時流適応のマーケティングとコスト削減が必要な時代へとなり、これまでの常識や当たり前を見直し、これからの時代に備えた「儲け」の仕組みを講じる必要もでてきます。
2.脱炭素マーケティング
(1)顧客が望んでいるもの
 マーケティングにおいては、当然ターゲティングされた顧客について、顕在的及び潜在的に、現在と将来の視点で望んでいるもの、望んでいくものを捉える必要があります。脱炭素において考えていくと、ライフサイクル的には、導入期:一部の環境意識の高い企業からの需要(需要は少ない)⇒成長期:リーディングカンパニーがコストアップしても導入⇒成熟期:脱炭素且つコストダウンされたもの、と進んでいきます。
(2)現在
 顧客の脱炭素への取組も導入期から成長期へとなっております。折しもプライム上場へ移行した1部上場企業はTCFD賛同にて、SCOPE3となるサプライチェーンでの削減検討について考える機会にもなっています。これも時が進めば、スタンダードやグロース企業は勿論、意識の高い企業から取組むものへとなっていくでしょうう。この時が成長期にもなっていくと思います。顧客が今後望んでいくものは、CO2削減となる廃棄物削減と運搬の低減へと繋がっていきます。それ故にビジネスチャンスとして捉えるならば、CN商品やCNサービス開発とともに、地域や業界でのポジショニングをつくること、また、顧客が望む廃棄物のコストダウン提案を実施していく必要があります
(3)廃棄物処理業が取り組む脱炭素マーケティング
①SCOPE3対応
ⅰ)プライム上場顧客
 先の通り、プライム上場顧客では測定と計画に取り組んでいるのですが、まだまだ具体的なものになっていないケースが散見されます。但し各社での温度差も見られ、廃棄物発生量が多い会社とそうでない会社では、当然意識も違います。先ずは顧客へ短期中期的な方向性と取組についてヒアリングを行って頂ければと思います。
ⅱ)脱炭素提案
①SCOPE3対応
 既にSCOPE3の廃棄物におけるCO2削減計画としての数値目標が確定していれば、ご一緒に取り組んで欲しいと思います。これまでも多量排出事業者程、削減には継続的に取り組んできたこともあり、正直ネタ切れと思われている方も多いものです。リサイクルは当たり前となり、リデュースでの取組として取組み、その効果も生まれてきたことと思います。しかし今回は脱炭素視点での廃棄物削減であり、最もシンプルな視点では運搬削減でもあります。また商流の最後まで追いかけていきながら、CO2が発生しない最終までをご一緒に追いかけて欲しいと思います。その際に重要なことは数値化です。恐らく減りますではなく、どれだけCO2が減るのかを具体的になっている必要があります。
 また一方で目指して頂きたいポジションは、顧客にとって環境企業としての位置づけです。情報提供を継続的に続け、脱炭素への相談ならばと問合せが来るほどのポジションを獲得して欲しいと思います。情報発信について営業マンは当たり前ですが、それ以上に会社としての発信の仕組みを持って欲しいと思います。
②顧客への収集運搬脱炭素提案
ⅰ)物流業界で起こっていること
 既に進んでいる物流業界では、脱炭素の取組の中で脱JIT(JUST IN TIME)も議論が進んでいます。世界的にも優れた看板方式ではありますが、一方で物流頻度が増すことも発生しています。これが廃棄物の収集運搬にも波及することも起こりうると思っています。顧客の都合だけでなく、CO2を起点とした効率性への議論がこれから増していくことも予想されます。
ⅱ)頻度と回収方法
 先の通り、究極は運ばないことが脱炭素にもなっていきます。しかしインフレ下の現在、効率化ダウンによるコストアップは到底受け入れられるものではありません。だからこそ、運搬効率向上させることを顧客と一緒に話し合うタイミングになってくると思います。その際に、面倒くさいのは勘弁、今のままで十分とする顧客についてではなく、真剣に取り組もうとする良い顧客と進めて欲しいと思います。
③顧客への処理方法脱炭素提案
ⅰ)再資源化での数値化
 これまで営業マンのクチからは、リサイクルだからとの言い方で終始することも多く、何故リサイクルすべきかまで真の意義まで言及されていなかったことが多く思われます。述べている脱炭素も、安直なCO2削減されます的な言及とならず、またリサイクル=脱炭素では無いことを営業マンが真に理解できていなければなりません。そのうえでの再資源化提案には、CO2排出量比較が具体的に提案できることも大事になっていきます。見積比較となるコスト追求型営業ではなく、真の提案営業が出来るようになって欲しいと思います。提案営業が出来ない廃棄物営業マンは今後、役割が少なくなっていくでしょう
ⅱ)サーマルでの数値化
 サーマル可も同様です。これまで焼却営業では、発電できることで顧客訴求をすることも多くありました。しかし発電だから、サーマルだから脱炭素ではありません。これはRPFでも同様です。RPFだから脱炭素ではなく、他の処理方法と比較してCO2排出量が具体的にどうなるかが重要となっていきます。 

2022年6月24日 7:17 PM

ブログ特別編「廃棄物・資源・浄化槽ビジネス経営研究会」6月例会の振り返りレポート【抜粋】

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前回は4月開催の研究会振り返りレポートでしたが、今回は6月例会についてです。6月は弊社、株式会社船井総合研究所の「第95回経営戦略セミナー 経営研究会全国大会2022(https://conference.funaisoken.co.jp/)」の分科会としての開催となりました。一昨年からリモートでの開催となりましたが、延べ3日間に渡り現役経営者のための現役経営者による戦略提言を目指し、153分科会に分かれて開催されました。今回のテーマ「Re GROWTH -再挑戦-閉塞感を打ち破れ」として、多様なゲスト講師の方々が揃い、5000人を超える会員企業の経営者が一同に会す船井総合研究所を代表する伝統的なイベントとなっております。中堅・中小企業、特に地域で活躍する経営者に主眼を置いて、「時流」と「未来予測」から、向こう3~5年を見越して、中長期の課題解決やテーマをお伝えし、高いモチベーションを抱いていただけることを目指しております。
 それ故に分科会においても時流を踏まえたテーマと提言にて、廃棄物処理業、再生資源業、浄化槽業の皆様に、お届けしてきました。今回のテーマは、脱炭素への取組です。
 インフレ型になっている昨今、脱炭素は自社に遠く感じる廃棄物処理業経営者の方も多いことと存じます。しかし、脱炭素への取組が、その打開策となり、自社の成長戦略についての鍵になっていきます。
 マーケティングとして、時流適応経営は弊社創業者の船井幸雄も多く伝えてきました。いま目の前だけでなく、来るべき時流を見据えて経営と戦略を考える必要があります。中期的に見れば、世界的に脱炭素は避けられない状況であり、導入期から成長期に移行している現在はビジネスチャンスのど真ん中でもあります。今回の例会でもビジネスチャンスの活かし方をお伝えしてきましたが、自社でのスタートするポイントにつきまして、改めてお伝え致します。
 先ずメリットとして、
①脱炭素経営こそ中堅・中小企業のビジネスチャンス
②脱炭素経営は儲からなければいけない
③脱炭素経営が組織を強くする
④脱炭素経営こそマーケティングを意識しなければならない
⑤脱炭素経営こそ地域貢献となる
⑥脱炭素経営が企業ビジョンとなる
となっていきます。
 しかし具体的な取組として、①マーケティング②コスト削減へとなっていきます。その際に時流として押さえていきたいことが、SCOPE3の対応となっていきます。ご承知の通り、プライム上場企業はTCFDへの取組を進め、SCOPE3の削減計画を進めております。そこに廃棄物が存在しております。
 SCOPE3の対応を説明する前に、ここで改めてCO2排出量につきまして、お伝え致します。
 排出量算定には、国際的な温室効果ガス排出量の算定・報告の基準である「温室効果ガスプロトコル(GHGプロトコル)イニシアティブ(The Greenhouse Gas Protocol Initiative)」の中で設けられている排出量の区分となるSCOPE別に算定をしなければなりません。GHGプロトコルは、1998年に世界環境経済人評議会と世界資源研究所によって設立され、事業者、NGO、政府機関といった複数の利害関係者の協力によって作成され、GHG排出量の算定と報告に関する情報元として提供されています。GHGプロトコルでは、1つの企業で排出されたGHG排出量(直接排出)だけではなくサプライチェーン(原材料や部品の調達・製造といった上流の過程から、販売や廃棄などの下流の過程を含めた供給の連鎖)での排出量(間接排出)も重視しており、Scopeという考え方を使用し、Scope1排出量(事業者自らによる温室効果ガスの直接排出(燃料の燃焼、工業プロセス))+Scope2排出量(他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出)+Scope3排出量(Scope1、Scope2以外の間接排出(事業者の活動に関連する他社の排出))をサプライチェーン排出量としています。

出典:環境省 グリーン・バリューチェーンプラットフォーム

 SCOPE3は該当する活動が15のカテゴリに分類されます。
SCOPE3カテゴリー

 こちらの5「事業から出る廃棄物」、12「販売した製品の廃棄」に輸送と処理とのCO2排出量が算定されていくわけです。そうなると廃棄物処理業にとっては、運搬と処理について、如何に脱炭素化すべきかを考える必要が出てきます。収集運搬ならば、当然頻度を減らすことと積載効率、そして遠方への運搬を減らすことが求められていきます。処理も当然、CO2を出さない処理を目指す必要が出てくるわけです。  
 廃棄物処理業も脱炭素の、ど真ん中に入っていく未来が待っております。顧客から求められることを想定していき、自社での取組は進める必要があります。

2022年5月27日 9:41 AM

ブログ特別編「廃棄物・資源・浄化槽ビジネス経営研究会」4月例会の振り返りレポート【抜粋】

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 今回は特別版として4月に開催された、廃棄物・資源・浄化槽ビジネス経営研究会の例会につきまして、振り返りレポートをお届けします。 
 「廃棄物・資源・浄化槽ビジネス経営研究会」は、2006年から開催され17年続く、廃棄物処理業、再生資源業(鉄スクラップ、古紙)、浄化槽業経営者の為の、定期的な勉強会の場となっております。
人口減少に伴い縮小していく市場環境の中で、更なる企業の発展を望む次世代の経営者の方々が入会されており、エリアは全国で規模も中堅・中小と様々となっております
2か月に1回の開催にて東京の弊社丸の内オフィスにて開催されてきました。2020年、2021年は全てリモート開催となりましたが、2022年より、ようやくリアル開催に戻すことができるようになりました。
テーマは毎回異なっており、その時流に合わせた必要な情報を優先しており、戦略面から、運搬や工場の活性化等の現業面、営業やマーケティング面、DXやGX等の活用、組織や採用等の人材マネジメント、事業承継や財務・労務等の経営全般を業界に特化した内容でお届けしています。
ポイントは以下の3つです
1.縮小市場に身を置く企業が更なる発展を遂げるための方法を学ぶ
2.次世代を担う経営者が集まり業界の地位向上を目指す
3.環境に関わるビジネスの最前線の情報を集め、取り入れる

 今回㋃例会は
1.廃棄物市場の最新動向
2.最新採用時流と今取るべき採用戦略
3.最新補助金活用情報
4.ディスカッション「採用改善」
となっております。今回は第一部の「廃棄物市場の最新動向」の抜粋をお届けいたします。

1.廃棄物市場の最新動向
 市場のマクロ数値については、環境省は2022年に発表をした2019年実績を確認している方も多いと思います。御覧になられた方々はご承知の通りですが、正直「この程度か?」と感じたかもしれません。皆さまの記憶にも新しいところで、廃プラの国内還流が発生した当時でもあり、焼却価格も値上がりし始めた時でもありました。一方で逆の見方をすれば、下げ留まりはこの影響でもあり、総量のマイナスは変わらないということかもしれません。一方で数年間減少を続けてきた特管産廃は急増加しており、個別の品目には納得するものの、今後の廃棄物市場を見ていくには減少は当然否めません。そして皆様が一番知りたいのは、この2020年2021年でのコロナ禍の影響ではないでしょうか。これは各処理業者の数値状況から見ていくと、業界環境として経営面ではプラスに働いたことが多くあったと見えてきます。この近年は廃棄物処理業の視点からでは、つまり産廃業が獲得できる産廃の市場では横這い以上の時間であったということです。
 しかし一方将来の産業廃棄物市場で見ると、当社独自の各種データから係数にて導いた結果では今後20年間の減少について、変わらずの数値水準結果となっております。加えて、近年の脱炭素市場加速においては、更なる減少加速も否めないことにもなっていきます。顧客のサプライチェーン変化やゲームチェンジ、そして市場規模としての数値において、物量の減少だけでなく、運搬関連の減少は更に悪化していくことが予想されます。 
 上位企業の経営分析をしていくと更に面白い結果が見えてきました。先ずは商圏の考えにも変化が表れてきております。先ず最低限の売上確保の視点において、廃棄物には発生量としての市場ありきであり、発生面における大商圏立地に存在していることは、戦う為の最低条件となっています。地方部にて一定の上位ポジションを確保している企業では、商圏を大きく拡げ圧倒的なシェアを獲得しています。しかし一方で、当然競争激化となることもあり、収益性をも確保している企業で見ると、それぞれの独自性を持っていることも確かです。上位売上企業を分類していくと、圧倒的に大商圏限定型が強く、且つ関東への集中が目立つ結果となっていました。
 更に分類が幾つかに分かれることが見えてきました。(*企業名はテキスト記載のみ)
A.大商圏限定型:大商圏を主としており、エリア限定しながら展開
B.小商圏拡大商圏型:小商圏を本拠地としながらエリアを他地域に拡大展開(近隣複数県に跨る商圏)
C.大商圏拡大型:大商圏から更に全国的な拡大を目指す
D.地域密着型:一般廃棄物及び収取運搬を主としており、地域密着で安定的な展開
上記に加え、主要顧客分類を総合型、工場型、建設型と分け、また施設種別を焼却、水処理、最終等に分類をしていくと高収益型のモデルが見えてきます。
 更に単体決算だけでなく、グループ企業や大規模資本をバックボーンとしている情報を加えてみたリスト(配布テキストのみ)では、業界関係者の多くが思われた結果となっていると思います。
 特に注目は提携やアライアンスではないでしょうか。この10年程、業界の垣根を越えて、廃棄物と資源大手による合従連衡が続いてきましたが、最近では異業種大手による廃棄物処理業の出資も続いていることです。またインフラファンドの経営参画も続いており、これから数年において業界の地図も変わっていくことが予想されます。そして皆様も幾つか情報が入っている通り、まだまだ設備投資計画を各社(テキスト記載のみ)進めており、これらの稼働によっても収益性や順位も変化をしていくことでしょう。 
 ご承知の通り、売上や収益の限界は施設内容によって定まっており、また商圏の影響が大きい限界でもあります。今後の縮小市場において、そのなかでも勝てる市場に効果的な設備投資を行い、そして集める能力を如何に戦略的に組んでいけるかは大事なポイントになっていくのは間違いありません。

2022年4月26日 10:31 AM

廃棄物処理業の脱炭素経営⑦「ウチの会社には関係ない」の間違い6

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 前回から続く、「ウチの会社には関係ない?」の間違い、についての続きです。
⑥地域に貢献できるのか?の続編で、国内材での木質バイオマス発電の課題についてです。
 国土の2/3が森林(2500万ha)で森林蓄積量は52,4億㎡と30年前から倍増しており、毎年1億㎡増加。人口林(1000万ha)も増加傾向となっております。森を整備する為の伐採した木々等(未利用間伐材)については、木質バイオマスエネルギー材として、木質チップや木質ペレットや薪等の利用が増えているものの、その収集・運搬コストからも林内放置が増えているのが現状となっております。そして未利用間伐材約800万t発生(約2000万㎡相当)中利用率9%程度であり、工場残材約640万t(利用率97%)、建設発生木材(利用率94%)と比べ、大きく下回っています。それ故に、一本の樹から、建材原料等となる製材や集成材、紙の原料となる低資材、ボイラー等の燃料となる木質バイオマス等にて、最後まで使い切る「カスケード利用」が求められています。 
(1)国内材活用の課題
【コスト低減】発電コストの7割を占める燃料コストの低減と、燃料材が重要な収益機会になりつつある林業者の森林経営の安定化を両立し、FIT制度に基づく買取期間終了後の関係者共倒れリスクを回避するために、森林の管理手法の変革が求められています。特に現状、建材向けに最適化されている木材の運搬・加工システムのエネルギー利用向けの最適化や、広葉樹や早生樹の利活用などを含め、どのような取組が考えられるか
【持続可能なバイオマス発電の為の実態把握】木質バイオマス利用を拡大する上で、持続可能性は確保しつつ、どのようにバイオマス燃料のコスト低減・供給量拡大を進めていくべきかを考えていかねばなりません。特に、ライフサイクルGHG排出量の抑制の観点から、チップ・ペレットの加工方法及び輸送距離の影響が大きいことを踏まえ、適正な木材の流通・利用範囲の検証、そして森林から発電所までの実態把握の仕組みが必要となっております 
(2)コスト低減課題 
【林業】林家数林業経営数及び同保有山林面積が2015から2020の5年間だけでも大幅な減少が続いています(林業数は828,972戸から690,047戸、山林面積は5,174,793haから4,590,521ha。経営体では87284が34001と半減以下となり、内訳として森林組合77692が22776、民間事業体4028が2015)。林業(及び林業政策)は、取り扱いが容易で建材など付加価値の高い用途で利用できる針葉樹の育成・管理・利用をメインに展開されています。このため、燃料用に用いられるのは、間伐材や林地残材など、建材用途などに利用できなかった木材の副次的利用が中心となっています。一方、燃料用途の木材が副次的な位置づけ(Ⅽ材 枝等曲がり材等)であるために、建材需要動向に左右され供給量の見通しが立たないこと、針葉樹建材向けに形成された生産・輸送システムが燃料向けには過剰で非効率等の課題があります。こうした背景のもと、特に大規模発電事業者では高くても量が安定する輸入木材を活用するような動きも見られることから、国内で活用可能な森林由来の木質バイオマス資源を如何に安定的に供給するかが課題となっています。
【広葉樹・早生樹(コウヨウザン)の活用等】
広葉樹は、日本の森林蓄積の約3割を占めるながら、搬出の難しさと曲がって育つ性質があることから建材としての利用は不向きでした。しかしその性質を生かして一部の木工製品向けや製紙チップ向けに活用されている現状があります。早生樹は、成長が早く、萌芽更新するものもあることより、地拵/植栽/下刈作業が低減可能となり、育林作業量の減少が期待されています。当初から燃料用途の森(エネルギーの森)を目指し、計画的に広葉樹・早生樹の育成を行った場合、建材価値を高める枝打ちや間伐を行うコストが削減(労務費・育林費・生産費等が2/3)、早成樹は成長が早く出荷までの期間が短くて済む(期間減少分の維持費削減)との効果が見込まれています。林業者にとっては広葉樹・早生樹の商業利用化による新たな収入源の確保収穫サイクル向上による収益向上に寄与し得るなど、林業と発電事業の持続可能な共生の構築も期待されています。
【燃料品質の問題】
燃料品質にばらつきがあると、バイオマス燃焼炉内の温度が安定せず、結果として設備利用率が低下するなどの支障が生じたり、燃料品質を調整するための手間が発生したりといった問題につながります。このため、発電事業者としては品質が安定したバイオマス燃料を調達できることが望ましいが、現状では、バイオマス燃料は、発電所が長期契約により、燃料品質(水分量等)によらず一定の購入価格で取引されている場合が多いものです。木材業者からしても、木材の搬出工程における天日干しによる乾燥や屋根付き保管場所の確保等により、燃料品質を向上させることにより差別化を図れるようになり、林業者の持続可能な経営に貢献できる可能性もある。一方、現状では、燃料品質を統一的に評価する仕組みが存在しないことから、木材業者の努力にも関わらず、市場において適正な評価を受けることが難しいとなっております。
【バイオマス燃料の流通・利用範囲における課題】
木質バイオマス燃料木材を、栽培、加工、輸送等する過程において化石燃料の使用量が大きいと、結果としてライフサイクルでの温室効果ガスの排出が看過できないほど大きくなる可能性も存在しています。また、燃料用途での木材利用が進むことで、既存の木材利用との競合(エネルギー以外の用途での原料需給逼迫)が発生する懸念も存在しています。現状は林野庁ガイドライン「木材・木材製品の合法性、持続可能性証明のためのガイドライン(平成18年2月)」に基づき、サプライチェーン上の由来証明を行っていますが、市場流通量などに関する情報が公開されておらず、その実態が不明瞭でもあります。持続可能性の確保に向け、ライフサイクルでの温室効果ガスの排出の動向や、木材利用の競合の状況を把握する観点からは、森林から発電所までの実態把握の仕組みが構築される必要があります。

2022年3月6日 3:39 PM

廃棄物処理業の脱炭素経営⑥「ウチの会社には関係ない」の間違い5

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 前回から続く、「ウチの会社には関係ない?」の間違い、についての続きです。
⑥地域に貢献できるのか?の続編で、輸入原材料の課題についてです。
 近年はバイオマス木質専焼、バイオマス石炭混焼の実例が近年増加しており、またFIT法に基づき、50MW、75MW、112MW 等の比較的大規模なバイオマス専焼プラントが数多くなり、大型になるに従い熱効率が30%台半ばと高まり必要燃料量が低減しております。また、これらの例では国産材に加え、輸入PKSや輸入木質ペレットを長期調達しているケースも増えております。しかし木質バイオマスの輸入も課題が多くあることも事実です。 
 2017年の段階で需要は1,400万トン強で、輸出国の1位はアメリカ(500万t)、2位はカナダ(220万t)、3位はベトナム(160万t)となっています。輸入国では、1位イギリス(680万t)、2位韓国(240万t)、3位デンマーク (230万t)、日本も50万tと5位となっています。2027年予想の世界需要は3,600万tとなり、1位イギリス(1050万t)、2位日本(900万t)、3位韓国(820万t)と、特に木質系バイオマス発電に補助金のある日本や韓国での需要増大にて、アメリカのペレット増加が見込ま
れています。アメリカやカナダ、ロシア、ベトナムをはじめとする東南アジア、オーストラリアなどからの輸出が急速に拡大する見込みです。アメリカでは世界最大の木質ペレット供給会社であるEnvivaが南東部で生産を行っていますが、原料の80%は全木を使ったもので、その半分以上が炭素貯留能力の高い湿地林から伐採されている旨を発表されています。同社は、2030年までに操業からの排出ネット・ゼロを達成するとの目標を提示しています。アメリカ産ペレットの多くを輸入しているイギリスDrax社は、自社の石炭火力発電所の燃料を木質バイオマスに転換することにより、年間10億ドル以上の補助金を受け取っています。カナダの木質ペレットはその約80%がブリティッシュコロンビア州から輸出されており、主たる輸出先はイギリスと日本ですが、パルプ産業や輸出用の燃料ペレット生産で温帯雨林が減少してもいます。ペレット需要の拡大により全木からのペレット生産が増えているため、グリーンカーボン貯留源が失われている上に、絶滅が危惧されているマウンテンカリブーの生息地や先住民族の生活圏が脅かされるなど、生物多様性や地域住民へもネガティブな影響にも及んでいるようです。一方EUでは、2018年に改正のEU再生可能エネルギー指令(EU RED2)により、森林由来の木質バイオマスについて、持続可能性基準への適合が義務化されました。①化石燃料使用時に比べて十分にGHGが削減されているのか(栽培・加工・輸送・燃焼の各プロセス及び発電プラントの効率も考慮に入れた基準値との比較)、②土地利用に関して、炭素蓄積を減少させず、生態系や生物多様性を維持し、持続可能な生産が行われているか、③原料について、記録を遡ることが可能で、正しい管理がなされているかのトレーサビリティがある等が盛り込まれています。固体バイオマスについてのGHG削減基準では、2021年以降稼働の発電施設を対象に、化石燃料比で70%の削減義務付されています。そして2021年7月14日、EUは2030年に温室効果ガス55%削減を実現するための政策パッケージ「Fit for 55」を公表。2030年の再生可能エネルギーの目標は、最終エネルギー消費ベースで40%に引き上げられ、排出権取引制度の対象業種拡大、国境炭素調整措置の導入、そして2035年までに新車の排出ゼロ化が示されました。2018年に改正された再生可能エネルギー指令(以下、REDⅡ)7月から完全施行を迎えるというタイミングで、早くも次の改定案(以下、REDⅢ)が示されたのです。改正案(RED3)にて、2025年以前に稼働した全ての施設にこの基準が適用されることになっており規制は段階的に厳しくなっています。森林からのバイオマス燃料の供給については、廃棄物ヒエラルキー4およびカスケード原則を考慮して、製材用・合板用丸太のエネルギー利用を支援してはならないとされました。・日本でも経産省にて、先行制度(EURED2)にならって、発電事業者等からライフサイクルGHG試算結果等を収集の上、更に検討を進めている現状でもあります。 
 近年の木材需要も需給バランスに影響が出ています。アメリカの住宅着工戸数(戸建て計)は、コロナ禍による在宅需要の増加と住宅ローンの低金利により、2020年5月から急増しています。また2021年3月に 173 万戸(年率換算)を記録し、同7月は、前月比▲7%減の 153 万戸となりました。2020 年末から、アメリカでの輸入急増とコロナ禍に伴う港湾処理能力の低下等により、北米にコンテナが滞留して、アジアでコンテナが不足。海上輸送運賃が急激に値上がり。本年7月は、欧州発が横ばいとなる一方、米国発は依然として上昇しています。EU では、コロナ禍により、昨年春に建設活動が急落したが、夏以降は回復して、以後は堅調に推移しており、中国では、木材需要の増加が継続。過去 10 年で、針葉樹丸太輸入量は 1.8 倍に増加。世界各地から、木材を買い集めています。 
 世界的にも木質チップの需要が増加のなかで、安定的に安価で国内材を活用できるならば、それを求めている事業者は多いものです。安価に安定的に国内材供給について、次回に続きます。