丸の内で働く産廃マンのブログ|産廃WEB|船井総研

丸の内で働く産廃マンこと、株式会社船井総合研究所 廃棄物ビジネスコンサルティンググループ グループマネージャーの貴船です。日常のコンサルティングを通して、そこはかとなく記していきます!

2024年9月23日 2:39 PM

廃棄物処理業の事業可能性調査(Feasibility Study)②

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前回に続く、廃棄物処理業の事業可能性調査についてです。
 
 マクロ的に考えれば、人口減少の日本において、廃棄物の絶対量は減少していきます。現在の出生率から見ても2050年9500万人程度の日本においては、0.75掛けの経済が待っています。これから26年後なので、まだまだ時間の猶予はありますが、真綿に絞められていくようにジリジリと経済が減っていくのが日本です。しかし全てが0.75掛けになることはなく、業界によっては消滅するようなものもあり、また企業数は半分以下となっていくことも想定されます。
廃棄物も同様です。総量で捉えられることは多いのですが、一方で産廃業者が市場として見ることが出来る市場は、例えば現在の3.7億tは発生量であり、経済的な市場規模とは異なっております。所謂カテゴリーとして、産業廃棄物になるものの総量であり、マーケットではありません。委託量として外部に出ているものが産業廃棄物市場であり、そのなかで将来の数量と市場規模を予測する必要もあります。
 発生している品目の中身、また発生している業種を見ていくと、更に数量は厳しく見る必要もあります。電力や水道業は人口減少との比例が想定されますが、農業での減少幅も無視できません。建設土木も同様で、人口比と比例する市場が生まれることも困難であり、戸建てでさえも人口比例と異なっていくでしょう。製造業であっても、勝ち組と負け組が明確になりつつある日本のものづくりにおいては、同様の発生が期待できません。
 更に地方市場では、この変数は較差が広がっていき、国内平均との比例には何も意味をなさないものとなっていくでしょう。今後も地域の較差は広がっていき、都道府県別将来人口予測の通り、厳しく見ざるを得ないマーケットが存在しております。許認可業であるからこそ、この考え方が必要です。
 つまり将来市場には、かなり厳格な市場予測が必要となっております。前回にも少し触れましたが、勝てる市場で勝てる商品でいることが不可欠です。産廃市場においてのマーケティングは、過去より許認可に左右されることによって、エリア戦略が阻害要因にもなっておりました。それ故に限定された商圏での戦い方が戦略ストーリーに欠かせなかったと思います。商圏内での発生量と競合状況、そこでの獲得ストーリー。しかし今は、そうではありません。過去の成功事例が通じなくなっています。
自社商圏内で、今後10~15年の市場を見極めることがスタートでもあると思っています。つまり過去にあったような新たなリサイクル施設を検討しようとしても、市場としての条件が揃わないことが多くなっていくことでしょう。外部環境の変化について、相当に厳しく見ていなければ楽観ストーリーでさえも難しくなっていくことになっていきます。
 つまり廃棄物処理業にとって、何を新たに始めるかではなく、自社の市場がどうなっていくのかが、これからの大事な経営戦略にもなっていくことでしょう。事業可能性調査において、先ずはマクロマーケットの考え方も重要な位置づけとなってきております

2024年8月27日 8:54 AM

廃棄物処理業の事業可能性調査(Feasibility Study)①

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 この7年程度は、新規中間処理施設についての事業可能性調査、所謂FS(Feasibility Study)業務が多かったと思います。私が廃棄物処理業のコンサルティングに携わり出したのは2001年ですが、この23年を振り返ってみても案件が多かったと感じます。 
装置産業でもあり、また許可業として、規模の成長においては新施設をつくることが不可欠でもあります。それ故に、次の施設検討において事業可能性調査を進めるということは当然のことでもあり、またそれが必要な大規模投資であったということにもなります。それが増えていた、この数年は成長意欲の高い廃棄物処理業が増えていた結果と見ても良いでしょう。
しかし一方で、二極化が進んでいることも間違いありません。特に上位100社の顔触れと数値の推移を見ていても、その傾向が顕著です。2018年2019年と一時期的な発生量増加があったものの、コロナ禍を経ての廃棄物減少からも絶対量が減っており、上位層が施設の拡充やM&Aを進めるなかで、中堅以下の層は鈍化していることは想定されます。そして、この7年程の投資計画から実行に移した企業の設置許可が下りるタイミングからは、これから数年も更にその動きが加速されることでしょう。
この数年の事業可能性調査においての論点も、当然そこにあります。廃棄物の絶対量が減少していくなかで、新たな施設が出来てもモノが集まるのか?これは疑念を持って当然のことと思います。需給バランスで考えれば既に国内全体では充足しており、エリア限定ではプラスマイナスがあっても、不足の為の施設で無ければ、誰かが請けているものを奪うこととなってしまいます。奪うとなれば、価格が下がる恐れも多分にある為に、営業戦略も含めた事業可能性調査が重要にもなっていきます。
過去15~20年近く前は、設置許可さえ下りれば儲かることが出来た施設種別もありました。しかし時代は変わり、施設充足の今は何の施設をつくることで、どのような顧客から、この価格帯で安定的に確保が出来る等の確度が必要となって参りました。事業計画が綺麗にできた作文ではなく、戦略的発想、マーケティング発想が必要となっております。勿論、計画についての初期段階は不確実性で止む無しと思います。しかし、その確率が10%なのか50%なのかで捉え方も変わると思います。
 それが本来の事業可能性調査であると思っています。勿論、集める力だけではありません。オペレーション、つまりそれを成し遂げる体制を構築できるかも重要なテーマとなっていきます。リサイクル技術が発展している新規手法ならば技術的要素も大きいのですが、既に確立した事業の際はソフト面の妥当性が多くを占めていきます。
 事業可能性調査を如何に捉えていくか、更に次回以降へ細分化していきたいと思います。
 

2024年7月29日 9:04 AM

廃棄物処理業の2024年問題⑨(最終回)

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廃棄物処理業の2024年問題の最終回となります。

廃棄物処理業にとって、ドライバー不足となってから、それなりの年数が経っています。2024年問題と言われても、皆様にとって今更感があるのでは無いでしょうか。ドライバー募集をすると直ぐに2桁が集まるような人余りと言われた時代もあったのですが、既にそのような時代は来ないことを皆が認識しています。そもそも、ドライバーになりたいと思うような人達の母数が減少しています。過去に稼げることや、車好き運転好きとのことで働いてきた動脈物流でさえも、とうの昔に不人気となっています。稼げない、肉体労働が嫌、そもそも車を運転することもリスク等とも捉えられており、加えて若年層の減少が続いていくことは出生数からも明確となっております。
ならば、2024年問題だけでなく、廃棄物処理業は収集運搬を如何に捉えていくべきなのでしょうか。ポイントは、人を集められる会社になることです。むしろ、人が集まらない会社の永続性はありません。社員が定着しない会社は、当然採用できない会社になっていくのです。働く人にとって魅力のある会社になること、賃金レベルは勿論ですが、また労働バランスも適正であり、何よりも会社のことが好きになっていることです。先ずはその労働条件でもあるのですが、それだけではある一定レベルにて限界があります。しかし会社好きだけは、自社の努力だけで伸ばし続けることが可能です。
労働条件を一定レベルまで引き上げるには、儲からない業務を止めることです。採算レベルを厳格化していき、限りある人の資源を有効化していかなければ儲からず、そしてドライバーへの還元も出来なくなってしまいます。そして負荷が大きい業務も同様で、いくら儲かっていても永続性の無いものにもなっていきます。儲かる仕事を見極めていくことが、ドライバーファーストにもなっていくようになります。
そして会社好きについては、これまでも多くお伝えさせて頂きましたが、何かをやれば直ぐに出来ることではなく、全ての積み重ねとなっていきます。特効薬は無いものの、一方で枝葉のような福利厚生的なものから進むことはなく、幹の部分にフォーカスを当てて欲しいと思います。この会社で働き続けたい、尊敬できる仲間ばかりである、仕事も楽しい、社長が好き、会社のビジョンが好きで一緒に成し遂げたい。このような感情になれれば、当然会社が好きになっていきます。更に多様性は拡がっており、様々な価値観の人達が増えてくることは間違いもなく、その多様性を受け容れられる器も重要になっていくことでしょう。残業は嫌で定時で帰りたい、逆に残業してでも稼ぎたい、慣れた仕事から離れたくない、逆に変化のある仕事をしていきたい、管理者にはなりたくないと様々な考えのなかで、戦力化の考えを柔軟にしていく必要だってあります。
収集運搬は無くなりません。サーキュラーエコノミー時代になっても、運ぶことはインフラとして必要としており、今後も重要な役割を担うことになるでしょう。そのなかで廃棄物処理業の永続性について重要なミッションは、人が入る会社になることだと思っております。是非、会社好きへの取組みを進めて頂ければと思います。

2024年6月25日 11:10 AM

廃棄物処理業の2024年問題⑧

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 本題の最後のテーマは、「顧客事情」となります。

顧客事情には、①時間指定、②置き場等の顧客事情、③顧客のミスが存在していると思います。それらによって、イレギュラーも発生もしますし、効率も落ちることになり、また配車マンの頭を悩ますものにもなっていきます。    
 ①の時間指定については、様々な顧客事情でもあり、可能な限りの対応も止む無しの面もあります。他の入出荷業者との兼ね合いもあれば、現場状況の変化も常時発生することから、その対応が出来ることによって顧客から選ばれているケースもあります。しかし一方で、「あそこは時間指定だから」と何年も理由も不明になりながら、放置されているケースがあります。先方に確認をすると、時間指定は必要ながら変更も可能なケースや、過去の経緯のなかで、こちらが要望した時間であったこともありました。特に2024年問題のさなか、脱JIT(JUST IN TIME)も議論されているなかで、顧客側の物流管理も変わろうとしております。時間指定も企業努力にて負担無く対応可能な会社は良いのですが、あらゆるコスト増やドライバーの負担を無くそうとすれば、負担が無い会社は少ないのではないでしょうか。
また、②置き場等の顧客事情も然りです。置き場が小さい、スペースが取れないから回収頻度を上げて欲しい事情も当然理解できます。しかしもし2回を1回に、3回を2回に変えることによって、コストダウンが可能となれば、それを選ぶ顧客だっているのではないでしょうか。多くの企業が原価低減を望んでおり、更に廃棄物に掛ける費用となれば尚更にもなっています。自動車産業を主とした原価低減の考えは、値下げ要求ではなく原価低減出来る方法を、VAやVEはとして一緒に考えるものです。根拠の無い値下げ要望は余裕のある時代ならばともかく、むしろ不採算を見極めようとしている会社にとっては、到底飲めるものではなくなってしまいます。
 最も問題なものは、顧客のミスによって配車効率が落ちることです。手配漏れもあれば、依頼したものと実物が違うこと、また現物が無いことまであります。人だからミスがある、間違いがある、と受け入れることも大事かもしれません。しかし軽微なミスもあれば、重いミスも存在しています。例えば、顧客が製造業ならば不良品が流通すると重大ミスと捉えられますが、廃棄物処理業者への依頼ミスは軽微なミスとして流されている場合も多くあるのでしょう。先方のミスによる補償を払って欲しいのではなく、ビジネスの相手として廃棄物処理業をしっかりと見て欲しいと思います。勿論、協力会社として、パートナーとして捉えて頂ける顧客もたくさんいます。一緒になってヒューマンエラーのゼロ化にも取り組んでくれる顧客だっています。これが本当のサプライチェーンでの関係ではないでしょうか。
これらの顧客事情について、やはり対話ありきだということが鮮明になってきます。サプライチェーンを構築するパートナーとして捉える顧客が増えれば、廃棄物処理業の2024年問題も片付いていくのではないでしょうか。自社努力は重要ですが、一方で素晴らしい顧客とお付き合いできることを目指して欲しいと思います。

2024年5月27日 11:56 AM

廃棄物処理業の2024年問題⑦

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 廃棄物処理業の2024年問題につきまして、今回は「配車マンのスキル」となります。

先ず、配車担当者の課題は尽きず、過去から解決できていないと言っても良いでしょう。
ひと昔前は、「収まればOK」的にオーダーをこなすことが重要視されてきました。儲かっていた時代は、それが良い配車マンにもなっていたものです。ただ、そのぶんメンタル不調に陥る人も多く見られました。多少でも強引に配車を組んで、ドライバーを言い聞かせることも必要とされました。しかし負担が偏ることや、仕事に追われることについて文句や反論する人もいて、それを受け続けることもつらいものです。特に、元は同じドライバーであることが多く、それまでの仲間感から外れたようにも感じやすくなってしまいます。更に顧客との直接のやりとりがある場合、また営業や上層部との要望について間も挟まれることもあれば、また台数が少ない会社では走りながら配車もすることがありますので、それも尚更のことだったと思います。つまり資質としてメンタル面が重要視されたのが、これまでの配車マンだったわけです。しかし一方、本来求めなければいけない資質が、曖昧なものとなっていました。それが配車効率性です。
配車の目的は顧客からの注文を捌くことではなく、収益性の最大化でもあります。その収益性の最大化には、車輛という資産について最大化した稼働と、運送による原価を1円でも下げることでもあります。
 つい忘れがちになるのですが、処理施設同様に投下資本から幾らの収益を生み出すかが問われる一種の装置産業でもあります。装置産業は全て、常に稼働最大化を目指しており、製造業などでは大きく停止の「ドカ停」の防止だけでなく、小さな停止の「チョコ停」を求めています。これを車輛に置き換えた場合、如何でしょうか。先ず、物流業との違いがこの稼働率であり、車輛数よりも人員数が多い物流業と違い、廃棄物処理業では車輛の方が多いことも散見されます。結果、稼働率を総台数から見ていくと50%を超えるようなことでさえもありません。24時間のなかで、せいぜい8~16時間程度しか動かせないこともあり、その時点で半分になってしまうことも理由のひとつです。しかし、それ以上に余分に仕事の種類にて稼働が少ない車輛も必要とすることや、使い勝手の悪い車輛が残っていることもあります。特に老朽化した車両では修繕費ばかりが増えていっており、更に使わなくなっていることも多いものです。
原価を1円でも下げることについて、これは配車マンが最大限目指すものにもなります。過去からの歴史によって、また営業が受注してきたものでは不採算のものもあります。走るだけで赤字となるものがあり、これは配車マンの責任ではありません。しかし全ての顧客の1件の仕事において、原価を下げられる力量こそ配車マンの能力だと思います。その為にルートを組むことや、顧客との調整をすること、またドライバー力量の見極めもあるでしょう。ただこれは、可視化しなければ判断ができません。頑張っている、結果オーライ型では、いつまで経っても成果は不明のままでしょう。最近ではDXにて運搬データも簡単に取れることも増えていますが、まだまだ上手く活用できていないようにも感じます。KPI化が正しくない場合もあれば、また数値自体にエラーがあることもあります。これでは配車マンが幾ら頑張っていても報われません。可能な限り最短で、その効率性を見極めることが出来るようになること、少なくとも翌日朝には判断が出来るようになることで、必ず運搬効率は改善されます。
 配車マンのスキルが、今後更に重要性を増すなかで、是非その可視化追求には取り組んで頂ければと存じます。

2024年4月22日 1:40 PM

廃棄物処理業の2024年問題⑥

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 廃棄物処理業の2024年問題につきまして。前回のドライバー技量に続き、今回は二次処理先についての課題です。

中間処理場としては、あくまで減容であることからも、最終処分や二次処理への出荷が発生致します。リサイクルとしての出荷も同様に存在します。可能な限り近場への出荷を皆が願っていても、管理型や安定型最終処分場の価格と受入基準によっては、遠方にならざるを得ないことが多くなるものです。更に処理困難物となると、数百キロの運搬が変わらず続いています。つまり、その長距離運搬を、これまで社員が担っていたわけですが、これも止めるタイミングになっているのかもしれません。冗談のような話ですが、それを担うドライバー間ではドル箱路線とまで言われることがあります。その捉え方には様々あると思いますが、言う人にとっては楽ということです。運転を苦にしない人にとっては、長時間であっても高速移動もそこまで辛くないとも言われます。ハンドル握っているだけと自虐的に言う人もいますが、日常の手積や作業があることと比較した場合に、比べると楽だということでした。勿論、その全ての言葉が正しいわけではなく、責任感や体力でもたいへんだと思います。しかし廃棄物処理業の2024年問題としては、この課題について見直しの時が来ていると思います。

課題は機会の損失です。インターバル勤務を考えると連続走行が、そもそも出来ない状況となっております。片道8時間以上の距離になってくると、2人制もしくはドライバー交替も考えざるを得なくなっていきます。しかし、それ以上に勿体無いことは、社員がすべき重要な業務、レベルの高い業務が失われることではないでしょうか。大事な顧客、また顧客とのコミュニケーションげ必要なもの、また待たせている運搬の顧客対応も出来たのではないでしょうか。労働者人口推移からもドライバー不足は今後も暫く続き、劇的な変化は望めません。そのような時代においての適材適所とは、有効な人員配置でもあり、それが最大の生産性を生み出せるか否かにもなっていくことでしょう。そうなれば、自社のドライバーで全て完結することが表面的な採算性でよく見えていても、それによって失われた機会にて比較すると、決して良かったとは見えてこなくなってきます。二次処理には、それを得意とする会社に任せていくことも必要な判断にもなっていく筈です。
 
 今後の二次処理運搬や最終処分場運搬につきまして、失われた機会の視点で見極めていって欲しいと思います。

2024年3月25日 7:51 AM

廃棄物処理業の2024年問題⑤

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 これまでの早出、稼働日の課題に続いて、今回はドライバー技量の問題です。
先ずドライバーの生産性が出来る人と出来ない人で2倍になることはございません。これは製造業でも同様ですが、物理的制限がある業務は当然とも言えることです。道路事情、客先事情、積込時間等々と標準化を固定できない要素が多く含まれております。勿論、コツや効率での工夫は差があるものの、それはむしろベテランだから備わるものではなく、その人の持つ能力に左右されます。しかし1.2~1.3倍倍はあっても1.5倍迄に平均との差がつくことは難しいでしょう。 
しかし2024年問題での課題は、出来ない人や任せられる業務が少ない人と、先のように効率的に動ける人との差の問題です。この差について何かしらの答を会社が持っていないと、出来る人出来ない人にとっても会社にとっても不幸だと思います。出来る人にとっては同じ1時間や1日でもあり、もし評価が同じならば不平等を感じるのではないでしょうか。真面目に効率を追求していくことが馬鹿らしくなっていくことも考えられます。出来ない人には単純なルートや顧客や業務でしか渡せられず、また乗れる車輛も限定されてしまいます。しかし出来る人には、困難な業務を渡していくことが多くあります。任せられる信用に頼ってしまうことでは当然ではないでしょうか。特に失敗で終わらせることが出来ず、顧客に迷惑が掛かるリスクを考えると判断はそうせざるを得ません。 
ここで先ず必要なことはドライバーへの適正な評価となるでしょう。ドライバー不足の時流下において、最終戦は採用推進ではなく、離脱防止です。特に優秀なドライバーが抜けることは最も避けたいことではないでしょうか。だからこそ生産性の可視化や技量による業務遂行も評価していく必要があるのです。免許の種類も同様です。最近の支援先での傾向にて、若年層が大型免許の取得について及び腰になるケースが散見されます。手当があっても、免許取得補助があっても同様で、そこに価値を感じていないわけです。むしろリスクが大きくなることを嫌い、幅を拡げることを避けてしまっています。ユニックでも同様であり、たいへんなことをしたくないとも思っているようです。だからこそ、明確な評価が必要となっているのでしょう。 
そのような新規ドライバーに、技量をつけさせていき、一人前の仕事をして貰いたいとなっても進まないことが多くなります。そもそも成長意欲が無いなかでの教育は、空回りになりがちです。目的の無い勉強は習熟度が上がらず、その目的と教育が連動して初めて機能していくことでしょう。つまり未熟なドライバーの技量を上げるには、先ず徹底した動機付けが必要となっていきます。働く人達の目的も多様化するなかで、お金優先だけでなく時間優先の考えは今後も増えていきます。そこで一方的に根性論や精神論を振りかざすのではなく、適正な評価を遣って動機付けをして貰いたいと思います。
 また、ひとつ妨げになっているのは、古い感覚でもあります。ドライバーは皆稼ぎたい、大型に乗れると喜ぶだろう、免許は一生もの等での自己の体験を押し過ぎず、多様性受入からがスタートでもあります。根性のあるドライバーが欲しい、気合の入ったドライバーを求めても、そのような人は今の会社も辞めず、出会えなと思って頂くことも大切でしょう。

2024年2月28日 10:40 AM

廃棄物処理業の2024年問題④

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 前回のドライバーの早出問題からの続きです。
 今回は大きな課題として未だに残っている稼働日についてです。廃棄物処理業や再生資源業によって、その業態特性とエリア特性によって稼働日は当然変わります。一般廃棄物や古紙回収では、都市圏では360~365日稼働レベルが未だに多く、会社は休みであっても誰かしらが動いているといった状況があります。一方、産廃でも建設系では土曜日回収も減りつつありますが、工場系でも清掃業務を請けていると土日稼働やGWや盆等の大型連休での稼働も増えていきます。一方で汲み取りや浄化槽では土日休みが殆どとなります。そして自社の中間処理があれば、受入として土曜日稼働もあれば、受入はしていなくても300~330日は稼働している焼却施設も多いものです。一方で営業が土曜日に出勤しても、顧客に行くことが出来ない為に事務作業をするしかないようにもなっています。つまり複合型の業態では、会社カレンダーも複数必要となり、勤務体系でさえも変えない限り成り立たなくなっています。中小の廃棄物処理業では、まだその整備が明確化・厳格化されていないことも見られ、就業規則では体裁が整えられていても実態が追いついていない姿も散見されます。
これからの課題はガバナンスとしてのリスクは勿論ですが、最も大きな課題は人についでではないでしょうか。サステナビリティ、つまり永続性について、人の比重は相当に増えていっております。それで人は続くのでしょうか?と考えて欲しいと思います。確かに過去は、各人が寝る間も惜しんでではないですが、少々の無理をして頑張った結果が企業の成長にもなっていた時代もあります。「働けば豊かになる」の発想を基としてきた高度経済成長時代では、確かに好循環を生み出したことも確かです。しかし時代は代わり、GDPが他国に抜かれ続ける日本、そして生産性が上がらない日本では、過去の成功事例から抜け出す必要も出ています。しかし一方で労働集約型でもある廃棄物処理業では、急激な生産性改善は難しく、労働量でカバーする方向に向かうことを止められないままです。課題は、その労働量をカバーできる充分な人を確保できるのかとなるでしょう。
働く目的も多様化しており、給与をたくさん貰うことや年収を上げることが全員の目的ではなく、それよりも家族との時間や趣味等に使える時間の確保を優先する人も増えています。土日は休みたい、残業はしたくない、それなりの給与も欲しいとなると、その労働環境を準備できるかとなっていきます。その労働環境を社内で取り組もうとする際に、業務の歪と人件費負担を危惧することとなることでしょう。
考え方を大きく変える時が来ています。これから先、人を採用できない会社は事業継続できなくなっていくと思います。その際に先ず進めていかねばならないことは離脱防止です。既に競合となる同業他社の大手や物流業や製造業でも、労働条件は急変しており、そこにも奪われていく可能性が高まっています。特に、先の頑張ってくれていた世代がシニア化していく企業では、それを埋めることが難しくなってもいきます。更に採用の際での条件負けでは、採用媒体にコストを掛けていったとしても反応が無いままが続いています。つまり採用力が最低限の要素にもなっており、その上で育成が絶対要素にもなっていくことになります。取引内容を変えないならば、ワークシェアのように人を多く採用していく必要があり、それができないならば取引条件の見直しは不可欠となっていきます。
夜遅くに戻ってくる業務、長距離を走る業務、土日祝業務、それを継続するならば適正な費用を貰わなければ継続できないと考えても良いでしょう。稼働日の課題について、「こういうものだ」の過去の発想も捨てていく必要があります。既に様々な産業において過去のサービスは見直しが進み、宅急便や郵便も然り、小売りにおいても24時間や早朝深夜、また365日も変化をしているのです。
永続性を考えていく時に、この状態は企業として永続性があるのかを再度考えて頂き、稼働日についても見直しを検討して頂ければと思います。

2024年1月18日 12:21 PM

廃棄物処理業の2024年問題③

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前回の顧客原価の見直しからの続きとなります。

 今回はドライバーの早出の問題についてです。都市部の一般廃棄物等での深夜や夜間回収は別として、産廃回収での早出の問題は2種類あると思っています。ひとつは8時回収の為ながら遠方故に早朝スタートしなければならないケース、もうひとつは混雑を避ける為に、またドライバー自身の精神的ゆとりの為に早朝出発するケースです。
 
 前者については、その業務をやり続けることでの永続性の課題です。単価が良いから、他の割りの良い仕事もあるので断れない等様々な理由はあると思います。しかし本当に自社がやるべきなのか?と考えなければならない局面に来ています。早出を苦にしないドライバーは勿論います。早出の手当がつけばと考える方もいます。しかし一方で、やはり通常と異なるイレギュラーは全ての人が受け入れられるものではありません。家庭の事情にて対応できない際に誰も走る人がいなくなり、配車マンが走る、管理職が走る、最悪は営業マンが走るケースも見られます。これに永続性はあるのでしょうか?対応可能な人がいる属人的要素で成り立っていると言わざるを得ません。加えて合理的に考えても、もしもっと近くに対応できる会社がいれば、そこが対応できることが顧客にもその会社の負担度からもベストではあるでしょう。距離を走らない分は、その分を価格に転嫁することもでき、顧客側も助かり、新たに対応する会社の負担も大きくないなかで適正価格を頂けることでしょう。カーボンニュートラルの潮流のなかで、現在のエネルギー源で走行すればする程に悪とみなされていきます。SCOPE3におけるCO2増加になるだけとなります。それ故に、先ずはプライム企業からサプライチェーンに対するSCOP3削減を進める中で遠方への運搬は減らされていく可能性は高いのです。その上で、遠方回収については永続性を見直して欲しいと思います。

 後者の、自らの判断についての早出も大きな改題です。確かに7時台の通勤ラッシュにあたってしまうと、早朝の2倍3倍の時間も掛かり、時間が読めない、送れる可能性、そして何よりもドライバーのストレスになることも確かです。しかし1時間以上も前に到着して休憩している間も、労働時間カウントされていく会社は多いものです。拘束されており、待機時間カウントをしていなければ、当然そうなることでしょう。時間管理ツールと就業規則として明記されておらず、労働契約に合致していなければ残業代の対象であり、更に4時台のスタートであれば深夜割増も必要となっていきます。だからこそ、先ずは早出のルールを見直して欲しいと思います。個人の判断ではなく適正な出発時間の指示、そして待機時間と労働時間のエビデンスをGPS打刻やドラレコ等も活用しながら管理できる体制を構築頂ければと思います。誤解頂きたくないのは、労働には適正に支払うべきであり、残業代を惜しむのではないことです。大切なことは管理をすることです。まだまだ早出の残業手当もついていないケースも散見されますが、問題が発生していないから良いのではなく、永続性が無いことは止めるしかありません。
早出の見直しについても、是非進めていただければと思います。

2023年12月18日 12:01 PM

廃棄物処理業の2024年問題②

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前回からの続きとなります。 

 ところで顕在化している働き方改革法案での残業規制において、収集運搬ドライバーの残業問題では、①早出 ②稼働日 ③ドライバーの技量 ④二次先への運搬 ⑤配車マンのスキル ⑥顧客事情等が挙げられます。全てに改善を進める必要があるのですが、最も大きな問題は適正価格についてではないでしょうか。所謂積み上げ式算定ではなく、先に受注価格ありきであり、それが処理費と混みの価格であることも多いと思います。会社として月次や年次で締めて、最後に儲かっていた時代は気にならなかったことですが、先の通りに利益率も減少している現在では厳格化を必要とされています。私自身がコンサルティング現場で原価分析をして、初めて明らかになることが殆どでもありました。まだ1社毎の細かなものを見極められていないというのが殆どでした。ただ、積み上げが全て正しいわけではございません。必ず競合がいるわけですので、他社に勝てる原価構成を目指す必要が当然あります。しかし現在の原価による収益性の見極めが先ず最低限必要です。残業を減らすならば、先ず儲かっていない業務を見極めることは不可欠です。その業務が赤字であるならば、それを黒字化できないならば、顧客とも価格交渉が必要となっていきます。「顧客を切る」と言う乱暴な言葉を使ってはならず、やはり顧客との価格交渉です。顧客がパートナーとして自社を見てくれていれば、必ずその相談にも乗ってくれることでしょう。しかし、あくまで価格だけでしか見ていない、「いち業者」視点であった場合は、「ならば、他社を探す」ともなってしまうかもしれません。誠に残念な結果ですが、止むを得ないことでもあるでしょう。過去からの経緯で、間違いを修正できなかった結果ですので止むを得ないでしょう。顧客とは契約で成り立っており、簡単にこちらから商売を終わらせることなどは当然できません。自社事情での取引停止は、余程のことが無ければ出来ないもので、それが企業姿勢でもあり責任でもあります。顧客との価格交渉が上手くいかない場合でも、その責務を他に担う他社がいなければ、対応を続けるしかありません。しかし赤字を、どこまで許容すべきかは決めておかなければ、会社自体の永続性が無くなってしまいます。期限を区切り、顧客とも話を進め、赤字を最小に留められなければ継続自体ができなくなっていきます。何よりも、従業員の方が、汗水かいて顧客の為にと動いていても、それが赤字の仕事と知ったならばやり切れない思いにもなってしまいます。
 誤解頂きたくないことは、赤字の商売は商売ではないというこおTです。商売は利潤を追いかけていくものであり、利益を出さないことは悪であるということです。 
 収集運搬の2024年問題について、最初のステップではシンプルながら、顧客原価の見直しでもあります。