丸の内で働く産廃マンのブログ|産廃WEB|船井総研

丸の内で働く産廃マンこと、株式会社船井総合研究所 廃棄物ビジネスコンサルティンググループ グループマネージャーの貴船です。日常のコンサルティングを通して、そこはかとなく記していきます!

2024年6月25日 11:10 AM

廃棄物処理業の2024年問題⑧

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 本題の最後のテーマは、「顧客事情」となります。

顧客事情には、①時間指定、②置き場等の顧客事情、③顧客のミスが存在していると思います。それらによって、イレギュラーも発生もしますし、効率も落ちることになり、また配車マンの頭を悩ますものにもなっていきます。    
 ①の時間指定については、様々な顧客事情でもあり、可能な限りの対応も止む無しの面もあります。他の入出荷業者との兼ね合いもあれば、現場状況の変化も常時発生することから、その対応が出来ることによって顧客から選ばれているケースもあります。しかし一方で、「あそこは時間指定だから」と何年も理由も不明になりながら、放置されているケースがあります。先方に確認をすると、時間指定は必要ながら変更も可能なケースや、過去の経緯のなかで、こちらが要望した時間であったこともありました。特に2024年問題のさなか、脱JIT(JUST IN TIME)も議論されているなかで、顧客側の物流管理も変わろうとしております。時間指定も企業努力にて負担無く対応可能な会社は良いのですが、あらゆるコスト増やドライバーの負担を無くそうとすれば、負担が無い会社は少ないのではないでしょうか。
また、②置き場等の顧客事情も然りです。置き場が小さい、スペースが取れないから回収頻度を上げて欲しい事情も当然理解できます。しかしもし2回を1回に、3回を2回に変えることによって、コストダウンが可能となれば、それを選ぶ顧客だっているのではないでしょうか。多くの企業が原価低減を望んでおり、更に廃棄物に掛ける費用となれば尚更にもなっています。自動車産業を主とした原価低減の考えは、値下げ要求ではなく原価低減出来る方法を、VAやVEはとして一緒に考えるものです。根拠の無い値下げ要望は余裕のある時代ならばともかく、むしろ不採算を見極めようとしている会社にとっては、到底飲めるものではなくなってしまいます。
 最も問題なものは、顧客のミスによって配車効率が落ちることです。手配漏れもあれば、依頼したものと実物が違うこと、また現物が無いことまであります。人だからミスがある、間違いがある、と受け入れることも大事かもしれません。しかし軽微なミスもあれば、重いミスも存在しています。例えば、顧客が製造業ならば不良品が流通すると重大ミスと捉えられますが、廃棄物処理業者への依頼ミスは軽微なミスとして流されている場合も多くあるのでしょう。先方のミスによる補償を払って欲しいのではなく、ビジネスの相手として廃棄物処理業をしっかりと見て欲しいと思います。勿論、協力会社として、パートナーとして捉えて頂ける顧客もたくさんいます。一緒になってヒューマンエラーのゼロ化にも取り組んでくれる顧客だっています。これが本当のサプライチェーンでの関係ではないでしょうか。
これらの顧客事情について、やはり対話ありきだということが鮮明になってきます。サプライチェーンを構築するパートナーとして捉える顧客が増えれば、廃棄物処理業の2024年問題も片付いていくのではないでしょうか。自社努力は重要ですが、一方で素晴らしい顧客とお付き合いできることを目指して欲しいと思います。

2024年5月27日 11:56 AM

廃棄物処理業の2024年問題⑦

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 廃棄物処理業の2024年問題につきまして、今回は「配車マンのスキル」となります。

先ず、配車担当者の課題は尽きず、過去から解決できていないと言っても良いでしょう。
ひと昔前は、「収まればOK」的にオーダーをこなすことが重要視されてきました。儲かっていた時代は、それが良い配車マンにもなっていたものです。ただ、そのぶんメンタル不調に陥る人も多く見られました。多少でも強引に配車を組んで、ドライバーを言い聞かせることも必要とされました。しかし負担が偏ることや、仕事に追われることについて文句や反論する人もいて、それを受け続けることもつらいものです。特に、元は同じドライバーであることが多く、それまでの仲間感から外れたようにも感じやすくなってしまいます。更に顧客との直接のやりとりがある場合、また営業や上層部との要望について間も挟まれることもあれば、また台数が少ない会社では走りながら配車もすることがありますので、それも尚更のことだったと思います。つまり資質としてメンタル面が重要視されたのが、これまでの配車マンだったわけです。しかし一方、本来求めなければいけない資質が、曖昧なものとなっていました。それが配車効率性です。
配車の目的は顧客からの注文を捌くことではなく、収益性の最大化でもあります。その収益性の最大化には、車輛という資産について最大化した稼働と、運送による原価を1円でも下げることでもあります。
 つい忘れがちになるのですが、処理施設同様に投下資本から幾らの収益を生み出すかが問われる一種の装置産業でもあります。装置産業は全て、常に稼働最大化を目指しており、製造業などでは大きく停止の「ドカ停」の防止だけでなく、小さな停止の「チョコ停」を求めています。これを車輛に置き換えた場合、如何でしょうか。先ず、物流業との違いがこの稼働率であり、車輛数よりも人員数が多い物流業と違い、廃棄物処理業では車輛の方が多いことも散見されます。結果、稼働率を総台数から見ていくと50%を超えるようなことでさえもありません。24時間のなかで、せいぜい8~16時間程度しか動かせないこともあり、その時点で半分になってしまうことも理由のひとつです。しかし、それ以上に余分に仕事の種類にて稼働が少ない車輛も必要とすることや、使い勝手の悪い車輛が残っていることもあります。特に老朽化した車両では修繕費ばかりが増えていっており、更に使わなくなっていることも多いものです。
原価を1円でも下げることについて、これは配車マンが最大限目指すものにもなります。過去からの歴史によって、また営業が受注してきたものでは不採算のものもあります。走るだけで赤字となるものがあり、これは配車マンの責任ではありません。しかし全ての顧客の1件の仕事において、原価を下げられる力量こそ配車マンの能力だと思います。その為にルートを組むことや、顧客との調整をすること、またドライバー力量の見極めもあるでしょう。ただこれは、可視化しなければ判断ができません。頑張っている、結果オーライ型では、いつまで経っても成果は不明のままでしょう。最近ではDXにて運搬データも簡単に取れることも増えていますが、まだまだ上手く活用できていないようにも感じます。KPI化が正しくない場合もあれば、また数値自体にエラーがあることもあります。これでは配車マンが幾ら頑張っていても報われません。可能な限り最短で、その効率性を見極めることが出来るようになること、少なくとも翌日朝には判断が出来るようになることで、必ず運搬効率は改善されます。
 配車マンのスキルが、今後更に重要性を増すなかで、是非その可視化追求には取り組んで頂ければと存じます。

2024年4月22日 1:40 PM

廃棄物処理業の2024年問題⑥

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 廃棄物処理業の2024年問題につきまして。前回のドライバー技量に続き、今回は二次処理先についての課題です。

中間処理場としては、あくまで減容であることからも、最終処分や二次処理への出荷が発生致します。リサイクルとしての出荷も同様に存在します。可能な限り近場への出荷を皆が願っていても、管理型や安定型最終処分場の価格と受入基準によっては、遠方にならざるを得ないことが多くなるものです。更に処理困難物となると、数百キロの運搬が変わらず続いています。つまり、その長距離運搬を、これまで社員が担っていたわけですが、これも止めるタイミングになっているのかもしれません。冗談のような話ですが、それを担うドライバー間ではドル箱路線とまで言われることがあります。その捉え方には様々あると思いますが、言う人にとっては楽ということです。運転を苦にしない人にとっては、長時間であっても高速移動もそこまで辛くないとも言われます。ハンドル握っているだけと自虐的に言う人もいますが、日常の手積や作業があることと比較した場合に、比べると楽だということでした。勿論、その全ての言葉が正しいわけではなく、責任感や体力でもたいへんだと思います。しかし廃棄物処理業の2024年問題としては、この課題について見直しの時が来ていると思います。

課題は機会の損失です。インターバル勤務を考えると連続走行が、そもそも出来ない状況となっております。片道8時間以上の距離になってくると、2人制もしくはドライバー交替も考えざるを得なくなっていきます。しかし、それ以上に勿体無いことは、社員がすべき重要な業務、レベルの高い業務が失われることではないでしょうか。大事な顧客、また顧客とのコミュニケーションげ必要なもの、また待たせている運搬の顧客対応も出来たのではないでしょうか。労働者人口推移からもドライバー不足は今後も暫く続き、劇的な変化は望めません。そのような時代においての適材適所とは、有効な人員配置でもあり、それが最大の生産性を生み出せるか否かにもなっていくことでしょう。そうなれば、自社のドライバーで全て完結することが表面的な採算性でよく見えていても、それによって失われた機会にて比較すると、決して良かったとは見えてこなくなってきます。二次処理には、それを得意とする会社に任せていくことも必要な判断にもなっていく筈です。
 
 今後の二次処理運搬や最終処分場運搬につきまして、失われた機会の視点で見極めていって欲しいと思います。

2024年3月25日 7:51 AM

廃棄物処理業の2024年問題⑤

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 これまでの早出、稼働日の課題に続いて、今回はドライバー技量の問題です。
先ずドライバーの生産性が出来る人と出来ない人で2倍になることはございません。これは製造業でも同様ですが、物理的制限がある業務は当然とも言えることです。道路事情、客先事情、積込時間等々と標準化を固定できない要素が多く含まれております。勿論、コツや効率での工夫は差があるものの、それはむしろベテランだから備わるものではなく、その人の持つ能力に左右されます。しかし1.2~1.3倍倍はあっても1.5倍迄に平均との差がつくことは難しいでしょう。 
しかし2024年問題での課題は、出来ない人や任せられる業務が少ない人と、先のように効率的に動ける人との差の問題です。この差について何かしらの答を会社が持っていないと、出来る人出来ない人にとっても会社にとっても不幸だと思います。出来る人にとっては同じ1時間や1日でもあり、もし評価が同じならば不平等を感じるのではないでしょうか。真面目に効率を追求していくことが馬鹿らしくなっていくことも考えられます。出来ない人には単純なルートや顧客や業務でしか渡せられず、また乗れる車輛も限定されてしまいます。しかし出来る人には、困難な業務を渡していくことが多くあります。任せられる信用に頼ってしまうことでは当然ではないでしょうか。特に失敗で終わらせることが出来ず、顧客に迷惑が掛かるリスクを考えると判断はそうせざるを得ません。 
ここで先ず必要なことはドライバーへの適正な評価となるでしょう。ドライバー不足の時流下において、最終戦は採用推進ではなく、離脱防止です。特に優秀なドライバーが抜けることは最も避けたいことではないでしょうか。だからこそ生産性の可視化や技量による業務遂行も評価していく必要があるのです。免許の種類も同様です。最近の支援先での傾向にて、若年層が大型免許の取得について及び腰になるケースが散見されます。手当があっても、免許取得補助があっても同様で、そこに価値を感じていないわけです。むしろリスクが大きくなることを嫌い、幅を拡げることを避けてしまっています。ユニックでも同様であり、たいへんなことをしたくないとも思っているようです。だからこそ、明確な評価が必要となっているのでしょう。 
そのような新規ドライバーに、技量をつけさせていき、一人前の仕事をして貰いたいとなっても進まないことが多くなります。そもそも成長意欲が無いなかでの教育は、空回りになりがちです。目的の無い勉強は習熟度が上がらず、その目的と教育が連動して初めて機能していくことでしょう。つまり未熟なドライバーの技量を上げるには、先ず徹底した動機付けが必要となっていきます。働く人達の目的も多様化するなかで、お金優先だけでなく時間優先の考えは今後も増えていきます。そこで一方的に根性論や精神論を振りかざすのではなく、適正な評価を遣って動機付けをして貰いたいと思います。
 また、ひとつ妨げになっているのは、古い感覚でもあります。ドライバーは皆稼ぎたい、大型に乗れると喜ぶだろう、免許は一生もの等での自己の体験を押し過ぎず、多様性受入からがスタートでもあります。根性のあるドライバーが欲しい、気合の入ったドライバーを求めても、そのような人は今の会社も辞めず、出会えなと思って頂くことも大切でしょう。

2024年2月28日 10:40 AM

廃棄物処理業の2024年問題④

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 前回のドライバーの早出問題からの続きです。
 今回は大きな課題として未だに残っている稼働日についてです。廃棄物処理業や再生資源業によって、その業態特性とエリア特性によって稼働日は当然変わります。一般廃棄物や古紙回収では、都市圏では360~365日稼働レベルが未だに多く、会社は休みであっても誰かしらが動いているといった状況があります。一方、産廃でも建設系では土曜日回収も減りつつありますが、工場系でも清掃業務を請けていると土日稼働やGWや盆等の大型連休での稼働も増えていきます。一方で汲み取りや浄化槽では土日休みが殆どとなります。そして自社の中間処理があれば、受入として土曜日稼働もあれば、受入はしていなくても300~330日は稼働している焼却施設も多いものです。一方で営業が土曜日に出勤しても、顧客に行くことが出来ない為に事務作業をするしかないようにもなっています。つまり複合型の業態では、会社カレンダーも複数必要となり、勤務体系でさえも変えない限り成り立たなくなっています。中小の廃棄物処理業では、まだその整備が明確化・厳格化されていないことも見られ、就業規則では体裁が整えられていても実態が追いついていない姿も散見されます。
これからの課題はガバナンスとしてのリスクは勿論ですが、最も大きな課題は人についでではないでしょうか。サステナビリティ、つまり永続性について、人の比重は相当に増えていっております。それで人は続くのでしょうか?と考えて欲しいと思います。確かに過去は、各人が寝る間も惜しんでではないですが、少々の無理をして頑張った結果が企業の成長にもなっていた時代もあります。「働けば豊かになる」の発想を基としてきた高度経済成長時代では、確かに好循環を生み出したことも確かです。しかし時代は代わり、GDPが他国に抜かれ続ける日本、そして生産性が上がらない日本では、過去の成功事例から抜け出す必要も出ています。しかし一方で労働集約型でもある廃棄物処理業では、急激な生産性改善は難しく、労働量でカバーする方向に向かうことを止められないままです。課題は、その労働量をカバーできる充分な人を確保できるのかとなるでしょう。
働く目的も多様化しており、給与をたくさん貰うことや年収を上げることが全員の目的ではなく、それよりも家族との時間や趣味等に使える時間の確保を優先する人も増えています。土日は休みたい、残業はしたくない、それなりの給与も欲しいとなると、その労働環境を準備できるかとなっていきます。その労働環境を社内で取り組もうとする際に、業務の歪と人件費負担を危惧することとなることでしょう。
考え方を大きく変える時が来ています。これから先、人を採用できない会社は事業継続できなくなっていくと思います。その際に先ず進めていかねばならないことは離脱防止です。既に競合となる同業他社の大手や物流業や製造業でも、労働条件は急変しており、そこにも奪われていく可能性が高まっています。特に、先の頑張ってくれていた世代がシニア化していく企業では、それを埋めることが難しくなってもいきます。更に採用の際での条件負けでは、採用媒体にコストを掛けていったとしても反応が無いままが続いています。つまり採用力が最低限の要素にもなっており、その上で育成が絶対要素にもなっていくことになります。取引内容を変えないならば、ワークシェアのように人を多く採用していく必要があり、それができないならば取引条件の見直しは不可欠となっていきます。
夜遅くに戻ってくる業務、長距離を走る業務、土日祝業務、それを継続するならば適正な費用を貰わなければ継続できないと考えても良いでしょう。稼働日の課題について、「こういうものだ」の過去の発想も捨てていく必要があります。既に様々な産業において過去のサービスは見直しが進み、宅急便や郵便も然り、小売りにおいても24時間や早朝深夜、また365日も変化をしているのです。
永続性を考えていく時に、この状態は企業として永続性があるのかを再度考えて頂き、稼働日についても見直しを検討して頂ければと思います。

2024年1月18日 12:21 PM

廃棄物処理業の2024年問題③

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前回の顧客原価の見直しからの続きとなります。

 今回はドライバーの早出の問題についてです。都市部の一般廃棄物等での深夜や夜間回収は別として、産廃回収での早出の問題は2種類あると思っています。ひとつは8時回収の為ながら遠方故に早朝スタートしなければならないケース、もうひとつは混雑を避ける為に、またドライバー自身の精神的ゆとりの為に早朝出発するケースです。
 
 前者については、その業務をやり続けることでの永続性の課題です。単価が良いから、他の割りの良い仕事もあるので断れない等様々な理由はあると思います。しかし本当に自社がやるべきなのか?と考えなければならない局面に来ています。早出を苦にしないドライバーは勿論います。早出の手当がつけばと考える方もいます。しかし一方で、やはり通常と異なるイレギュラーは全ての人が受け入れられるものではありません。家庭の事情にて対応できない際に誰も走る人がいなくなり、配車マンが走る、管理職が走る、最悪は営業マンが走るケースも見られます。これに永続性はあるのでしょうか?対応可能な人がいる属人的要素で成り立っていると言わざるを得ません。加えて合理的に考えても、もしもっと近くに対応できる会社がいれば、そこが対応できることが顧客にもその会社の負担度からもベストではあるでしょう。距離を走らない分は、その分を価格に転嫁することもでき、顧客側も助かり、新たに対応する会社の負担も大きくないなかで適正価格を頂けることでしょう。カーボンニュートラルの潮流のなかで、現在のエネルギー源で走行すればする程に悪とみなされていきます。SCOPE3におけるCO2増加になるだけとなります。それ故に、先ずはプライム企業からサプライチェーンに対するSCOP3削減を進める中で遠方への運搬は減らされていく可能性は高いのです。その上で、遠方回収については永続性を見直して欲しいと思います。

 後者の、自らの判断についての早出も大きな改題です。確かに7時台の通勤ラッシュにあたってしまうと、早朝の2倍3倍の時間も掛かり、時間が読めない、送れる可能性、そして何よりもドライバーのストレスになることも確かです。しかし1時間以上も前に到着して休憩している間も、労働時間カウントされていく会社は多いものです。拘束されており、待機時間カウントをしていなければ、当然そうなることでしょう。時間管理ツールと就業規則として明記されておらず、労働契約に合致していなければ残業代の対象であり、更に4時台のスタートであれば深夜割増も必要となっていきます。だからこそ、先ずは早出のルールを見直して欲しいと思います。個人の判断ではなく適正な出発時間の指示、そして待機時間と労働時間のエビデンスをGPS打刻やドラレコ等も活用しながら管理できる体制を構築頂ければと思います。誤解頂きたくないのは、労働には適正に支払うべきであり、残業代を惜しむのではないことです。大切なことは管理をすることです。まだまだ早出の残業手当もついていないケースも散見されますが、問題が発生していないから良いのではなく、永続性が無いことは止めるしかありません。
早出の見直しについても、是非進めていただければと思います。

2023年12月18日 12:01 PM

廃棄物処理業の2024年問題②

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前回からの続きとなります。 

 ところで顕在化している働き方改革法案での残業規制において、収集運搬ドライバーの残業問題では、①早出 ②稼働日 ③ドライバーの技量 ④二次先への運搬 ⑤配車マンのスキル ⑥顧客事情等が挙げられます。全てに改善を進める必要があるのですが、最も大きな問題は適正価格についてではないでしょうか。所謂積み上げ式算定ではなく、先に受注価格ありきであり、それが処理費と混みの価格であることも多いと思います。会社として月次や年次で締めて、最後に儲かっていた時代は気にならなかったことですが、先の通りに利益率も減少している現在では厳格化を必要とされています。私自身がコンサルティング現場で原価分析をして、初めて明らかになることが殆どでもありました。まだ1社毎の細かなものを見極められていないというのが殆どでした。ただ、積み上げが全て正しいわけではございません。必ず競合がいるわけですので、他社に勝てる原価構成を目指す必要が当然あります。しかし現在の原価による収益性の見極めが先ず最低限必要です。残業を減らすならば、先ず儲かっていない業務を見極めることは不可欠です。その業務が赤字であるならば、それを黒字化できないならば、顧客とも価格交渉が必要となっていきます。「顧客を切る」と言う乱暴な言葉を使ってはならず、やはり顧客との価格交渉です。顧客がパートナーとして自社を見てくれていれば、必ずその相談にも乗ってくれることでしょう。しかし、あくまで価格だけでしか見ていない、「いち業者」視点であった場合は、「ならば、他社を探す」ともなってしまうかもしれません。誠に残念な結果ですが、止むを得ないことでもあるでしょう。過去からの経緯で、間違いを修正できなかった結果ですので止むを得ないでしょう。顧客とは契約で成り立っており、簡単にこちらから商売を終わらせることなどは当然できません。自社事情での取引停止は、余程のことが無ければ出来ないもので、それが企業姿勢でもあり責任でもあります。顧客との価格交渉が上手くいかない場合でも、その責務を他に担う他社がいなければ、対応を続けるしかありません。しかし赤字を、どこまで許容すべきかは決めておかなければ、会社自体の永続性が無くなってしまいます。期限を区切り、顧客とも話を進め、赤字を最小に留められなければ継続自体ができなくなっていきます。何よりも、従業員の方が、汗水かいて顧客の為にと動いていても、それが赤字の仕事と知ったならばやり切れない思いにもなってしまいます。
 誤解頂きたくないことは、赤字の商売は商売ではないというこおTです。商売は利潤を追いかけていくものであり、利益を出さないことは悪であるということです。 
 収集運搬の2024年問題について、最初のステップではシンプルながら、顧客原価の見直しでもあります。

2023年11月24日 12:16 PM

廃棄物処理業の2024年問題①

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建設業、物流業では2024年問題がクローズアップされて久しいですが、廃棄物処理業でも収集運搬業も同様の課題を抱えていることはご承知の通りです。
ただ、前述の2業種とは背景が異なっていることも事実です。
建設産業では残業制限は勿論課題ではあるものの、高齢化による技術者不足が大きな課題となっており、残業を制限することや採用難だけではありません。CCUS(建設キャリアアップシステム)の導入もあり、人工の頭数を揃えることが大事でもなく、またインボイス制度の導入にて一人親方の減少もありますが、やはり熟練工の課題が大きくなっております。国交省もi-Constructionも進め、その熟練工不足を補おうとしていますが、エリア差はあるものの人手不足は顕著であり、人工代も高騰していっております。更に中小企業での過大は施工管理者不足も抱えており、中途採用市場は高騰しており、加えて職長不足からも現場を回せられない課題も抱えています。
物流業は収集運搬業と似ていながらも一番の違いは、稼働率では無いでしょうか。車輛と人員数のバランスとして、物流業では車両数が人員数を上回りますが、廃棄物処理業ではその逆となります。更に24時間稼働を目指すのに対して、廃棄物処理業では半分以下となってしまいます。そして何よりも廃掃法によって、物流業のような3PLや倉庫活用やモーダルシフトの検討もできません。
但しドライバー採用の視点では同様の採用難となっている為に、人材採用の面では競合となっていることも事実です。
廃棄物処理業の2024年問題は建設・物流業と分けて考えていく必要があります。採用が難しいことで共通のように思われますが、それは顕在的な課題であり潜在的な課題はそれぞれ異なっております。
廃棄物処理業では、目指すべき形が収拾運搬の最適化になると思っております。これはルートの最適化ではなく、業種としての最適化を指していきます。
近年、都市部では一般廃棄物や医療系廃棄物でも、この最適化として各社のバーターも進んできました。つまり運搬効率が悪い、運賃が合わない等は同業他社や競合に引き渡すことも続いてきました。拡大戦略の際は、競合に負けずに新規顧客を獲得し続けることを進めてきましたが、それは点を面にする為であり、面にならなかった点が運搬効率での重しになっていきました。その為だけで走ること、燃料代も人件費も上がる中でな当然儲かる筈などなく、荷を引き取るだけで運搬費としては赤字が確定していくものでした。中間処理場として運搬は荷を確保する為のサービスと割り切り、荷が集まれば良いとした過去もありましたが、顧客別や物件別に紐解いていくと、処理費が安く設定されているものでは赤字になっていることもあります。全社収益に余裕がある際は気にならなかったことも、先の通り原価が上がっているなかでは、とても目を瞑るようなことも出来なくなっています。
廃棄物処理業の収集運搬の最適化とは、自らのビジネスモデルを否定することから始まります。
これは既に先を行く、物流業でも同様のことが始まっております。カーボンニュートラル化が進む中では、走れば走るだけCO2を排出していきます。製造業を中心にSCOPE3削減についても具体的に動き出した企業では、既に物流の最適化が始まっております。これは所謂看板方式の脱JIT(JUST IN TIME)も念頭にしなければならなくなっており、更にCFP(Carbon Footprint of Products)を求めていく企業では、細部にまで入っていくことも想定されます。
SCOPE3には上流下流ともに廃棄物も含まれており、他人事では無くなっています。廃棄物処理業の2024年問題は人材採用や残業制限だけに囚われず、ビジネスモデルの変革から取り組む必要が出ているのです。

次回へ続く

2023年5月26日 11:42 AM

廃棄物処理業 2023年の時流⑤ 2023年に実践頂きたいこと

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2023年の時流についての最終回です。今回は2023年に実践頂きたいことです。

1.サーキュラーエコノミー市場で捉える
廃棄物減少時代において、「循環性の高いビジネスモデルへの転換」「市場・社会からの適正な評価」「レジリエントな循環システムの早期構築」を読み解き、SX(サステナビリティ・トランスフォーメーション)市場での自社を位置づける。必要とされるリサイクル事業を自社の経営資源が活用可能か、運搬業務で如何に携われるかを決めること。サーキュラーエコノミーの追求が脱炭素化でもある

2.短期的なコスト見直しと改善
(1)取り組みの背景
・顧客からの値下げ要請、また顧客からの選別が始まる準備をしなければならない
・人件費とエネルギーコスト、原材料関連等各種販管費増は継続される為に収益性は圧迫していく
・攻める機会は新たに生まれる為に、その為の戦える準備が必要
(2)取り組みの方向性
・不採算顧客の洗い出しと見極めを早期に完了
・運搬関係は燃料価格も下がらないことから、負担も大きくなることが想定され、運搬可能エリアと運搬効率改善交渉を顧客と早期にスタート
・二次処理先の新たな選定
・運搬業務の分離・バーターも検討
・少額のコストダウンは一旦先送りして、インパクトの高いものに集中をすること

3.中期的な生産性改善
(1)取り組みの背景
・業態転換について、業界的にも多くは変わっておらず小幅変更のみとなっている。それもハードに頼ることと、属人性に頼ることによって変化が発生もしていない
・人時生産性を追求していくと、手法の変更では難しくなる為に、新業態の足掛かりを2023年は同時に進めていかねばならない
(2)取り組みの方向性
・人時生産性を全体で算出して追いかけていることは大前提であり、部門別までは最低限管理できるようにしておく
・業態は新規事業発想で捉え、時流適応の市場を捉えること。例えばGXや脱炭素市場と確実に伸びる市場があり、その市場内を冷静にSWOTで見極め、参入判断ができる一年として欲しい。業態は廃棄物や資源業から、例えば原料業に変換するレベルで検討を進めたい

4.営業のバージョンアップ
(1)取り組みの背景
・価格要請が増えること、需要量が増える時は、新たなサプライヤーを顧客が探す時でもある。自社にとっても脅威ではあるが、攻めの視点では機会でもある
・顧客のニーズもサプライヤー探しも変化をしており、訪問されたくない、必要な情報を的確に得たいとなっている
・過去からの新規開拓手法から脱するタイミングでもある
(2)取り組みの方向性
・先ずはターゲット選定とキーマンへの接触を試みる
・一点突破となる提案内容を設定
・ABMにて継続的な情報発信による接触と反応確認
・効果的なリアル接触(現地確認、現品確認、来社、自社工場見学、クロージング)
・訪問営業不要な仕組みを営業部門で実践する

5.DXのバージョンアップ
(1)取り組みの背景
・コロナ禍で、遅れていた企業のデジタル化は加速していき、この1年間だけでもコストダウンとアプリ間の連携も進歩している
・過去にシステム見積をすると高額であったものも、アプリで気軽に手早く安く導入できるようになっている
・IoT関連も進化しており、安く高性能化しており、過去に出来なかったことも可能になったことも増えている
(2)取り組みの方向性
・視点は生産性を上げることにて、「システムとしてやりたいこと」を明確にする
・アプリとして探してみて、基幹システムとの連携をカスタマイズできる会社(人)を探す
・IoT関連も進化しており、自社の「やりたいこと」からエンジニア会社に打診
・とにかく開発にコストと時間をかけず、直ぐに始めることができて、直ぐに変更できるものに軸を置く
・100点を構築しようとせず、70点をカバーできる範囲で考える(費用対効果)

6.採用と育成
(1)取り組みの背景
・人手不足感と採用難に再び戻り、ドライバー不足は慢性化していく
・若年層採用をしたいが、中型免許問題は続き、また働き方改革対応は迫っている為に、多少の余裕を持たせたドライバー人員体制でなければ対応できなくなる
・工場で、且つ残業の多い3K職場には人が集まらなくなっていく
・採用枠が増えることで異業種転職も増えていく
・ベテラン達の定年退職も続き、若手や勤続年数の短い人の育成が急務になる
・新卒系が会社に求めることも変化しており、対応は迫られる
(2)取り組みの方向性
・積極的な採用活動の再開にて、早期に欲しい層を獲得
・媒体も変化しており、費用対効果は見極めること(成果が出ないものは直ぐ止める)
・新卒採用は毎年ながら、有効な手法が変化しており時流適応は絶対である
・自社が欲しい技能職層(有資格者等)であっても新卒市場からの育成が、最も早く有効な手段にもなっていく・
・自社の育成システムを構築できた会社が中期的成長を可能にさせる

7.事業戦略の再構築
(1)取り組みの背景
・コロナ禍で人々の動きも変わっており、また脱炭素市場でルールとプレイヤーはゲームチェンジが見えつつある
・時流適応経営として、過去に囚われることなく事業戦略を再構築しなければならない
(2)取り組みの方向性
・自社本業のこれから10年について見直してみる。10年間で起こりうる機会や脅威に対して戦い方を改めて定める
・新規市場を伸びるブルーオーシャン市場で定める
・脱炭素市場は最低限でも取組を始める

2023年4月25日 11:25 AM

廃棄物処理業 2023年の時流④

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Ⅰ.2023年の考え方
2.廃棄物処理業経営
(1)リーディングカンパニー
 ・これまで業界特性として新たな参入は少なかったが、M&Aを通しての大手参入は続いていくことが見込まれる。
 ・事業承継難でのM&Aは小規模型が多く、事業者数の減少は緩やかにもなっている。
 ・大手同士の合併やグループ化も、これまで以上に進み、グループで広範囲をおさえていくことも想定される。
 ・地域特化型は変わらず強く、他地域からの攻略も上手く進んでいない。この傾向は今後も継続されるが、市場
  規模が縮小されるエリアもあり、今後の事業戦略は注意が必要となっている。
(2)設備投資
 ・設備投資について、業界上位は各社積極的になっており、事業戦略上においても不可欠となっている。
 ・収益性の高さは施設特性に左右されることは変わらず、また処理方法の大幅な進化が想定し難いことから、今後も水処理、焼却。最終処分場の優位性は高い
 ・既存事業の収益性からも、新規リサイクルへの取り組み意欲は各社高く、具体的に進める企業も増えてくる
 ・中堅以上でのエリア拡大は続く
(3)施設
 ・中間処理単体での事業別採算では多くがダウンとなっていく
 ・中堅以上での施設管理は人と手法ともにレベルアップを追求していく
 ・残業制限と人手不足、二次処理費上昇による採算性の悪化が各社ともに課題となり続ける
 ・エリアによっては中期的にも減少が想定される為に、老朽化によってメンテナンスコストが増加する設備では、新たな投資への懸念が拡がっていく
 ・資源売却益はプラスとなっているが施設の実力値では無い為に注意が必要である
(4)運搬
 ・ドライバー2024年問題への取り組みが急激に進み、不採算の運搬業務が精査されていき、他社とのバーターや顧客への値上げが拡がる
 ・採用難は23年だけでなく中期的に続く為に、雇用環境を整えることを前提として、採用にもコストを掛けて若手の早期育成が必要となる
 ・運搬業務志望者の減少と若年層の中型免許問題もあり、脱属人化とドライバー育成の定型化も必要となってくる
 ・配車の脱属人化によっての効率化とKPIによる管理の追求が必要となっていく
(5)DX
 ・業界に特化したデジタルツールも急激に増えず、進んでいる業界のものを転換していく必要がある
 ・人材不足と若年層増とベテラン退社によって、業務の効率化としてのデジタル活用の必要性が増していく
 ・デジタル活用での廃棄物新規事業開発には未だ時間が掛かる
(6)組織
 ・組織と人材に注力してきた会社は、そうでない会社と明確な差が生まれていく。管理者が育ち、若手が離職も少なく育成もできていることで、未来を描けるになっている
 ・離職者が増える傾向もあり、会社としての防止への環境整備(業務改善、休暇、賃金等)が必要となる
 ・今後の人材市場からも採用力と育成力は規模問わず不可欠であり、事業成長の実現性での成否にも関わり、そこへの時間と費用の投資が必要となる
Ⅱ.新たな取り組みの考え方
1.サーキュラーエコノミー
循環経済(サーキュラーエコノミー)とは、従来の3Rの取組に加え、資源投入量・消費量を抑えつつ、ストックを有効活用しながら、サービス化等を通じて付加価値を生み出す経済活動であり、資源・製品の価値の最大化、資源消費の最小化、廃棄物の発生抑止等を目指すものである。この考えの広まりは、3R以上に製造過程での減量化が進むことにもなっていく。先ずはプラスチックが主となっていくが、マクロでの減少方向となることを想定しておく必要がある
2.脱炭素
プライム市場の企業はTCFD賛同をしており、今後もSCOPE3のなかでの廃棄物はテーマとなっていく。その際に①発生抑制②運搬削減の視点があり、運搬では遠方へ運ぶことが懸念点にもなりうる。2030年迄の各社取組には注意が必要となる