収集運搬の効率化については、この数年各社取り組んできたことだと思います。非効率な回収について顧客との交渉、難しい場合に他社への移管やバーター、そして運賃の値上げも進めてきました。再生資源業では、運賃請求も増えております。物流業界ではこの数年で、宅配業者は勿論、一般物流でも運賃値上げは当たり前にもなっています。値上げは勿論最終手段かもしれません。しかし、この数年間での最低賃金の上昇は、どうしても自社で負担できなくなっています。折しも2021年の最低賃金は全国平均で28円引き上げの930円になろうとしています。最も低い県での792円は820円となりますが、20年前の2001年は663円と28.7%アップ、2011年は737円と20.7%アップとなります。では、これが価格に転嫁されているのでしょうか?余程、多く貰い過ぎていた会社でもない限り、この数値は吸収できていない筈です。更に燃料コストも下がり続けているとは、とても言えません。過去から言われてきたように、サーチャージ的なベースが必要になっているとも思えます。
一方でやはり無理な仕事の獲得は、皆が限界を感じた数年でもあったのでしょう。粗利が出ている時は仕事を増やせば利益となる時でしたが、収益が落ち始めて過ちに気付く時になったのです。
いよいよ収集運搬のビジネスモデルについて、転換の時はきているのかもしれません。それは顧客の注文での配車では無くなる時、また一般廃棄物では月極回収も無くなることを前提にする必要もあるのでしょう。
コロナ禍において、様々なビジネスモデルは変化しました。既存のビジネスモデル型が苦境に追いやられ、新たな業態が成長を進めています。解り易いところでは、各種小売りはネット企業に引き離され、飲食も食べに行くことからテイクアウトや配達されるものにも変化しているのです。営業であっても、リアル営業からインサイドセールス化していき、リアルの必要性が限定されつつあります。
リモート格差としての現業系は、この1年で少しも変えられなかった時でもあったと思います。先の進化した業界と格差が広がったことも確かです。我々の仕事は仕方がない、リモートできないではなく、リモートすることは目的ではありません。運ぶことの事業が今後どのようになっていくべきか、あらゆる想像力も働かせて考え、そしてその後にきたる世界を前提に備えなければならない時ともなっています。
だからこそ過去の成功モデルの否定ともに、抜本的なビジネスモデルの改善に取り組む時にもなっているのでしょう。そして直面している、DX時代の収集運搬を更に高速化すべき時となっているのでしょう。究極は自らのビジネスモデルを否定するところから始まるものです。
例えば製造業で言えば、検査や品質管理は不要な業務であるものです。究極の業務改善は自社の部門を無くすこと、つまり検査や品質管理不要となる「ものづくり」となることでもあります。運搬の究極は運ばないことかもしれません。運ばない収集運搬、つまり自らを否定するカタチがゴールとなるのかもしれません。しかしそれは最終型であり、それを埋める為のものがサービス業でもあると思います。運搬というものが、無駄かサービス付加なのかの議論を最終型として念頭に置きながら、自らの業務を見直すこともスタートであると思っています。最終形を念頭に置けば、必要な要素や段階的なステップも見えやすくなるものです。短期的に取組むこと、しかし中長期的には縮小しながらも本来目指すべきカタチに持っていくこと、忘れてはなりません。
脱収集運搬、しかし先ずは効率化が最初のステップにもなっていきます。
上記を念頭に、収集運搬のDX化について、幾つかのポイントを纏めていきます。
次回に続く
- 2021年7月16日「廃棄物処理業の事業可能性調査(Feasibility Study)②」
- 2021年7月16日「廃棄物処理業の事業可能性調査(Feasibility Study)①」
- 2021年7月16日「廃棄物処理業の2024年問題⑨(最終回)」
- 2021年7月16日「廃棄物処理業の2024年問題⑧」
- 2021年7月16日「廃棄物処理業の2024年問題⑦」