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丸の内で働く産廃マンこと、株式会社船井総合研究所 廃棄物ビジネスコンサルティンググループ グループマネージャーの貴船です。日常のコンサルティングを通して、そこはかとなく記していきます!

2024年2月28日 10:40 AM

廃棄物処理業の2024年問題④

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 前回のドライバーの早出問題からの続きです。
 今回は大きな課題として未だに残っている稼働日についてです。廃棄物処理業や再生資源業によって、その業態特性とエリア特性によって稼働日は当然変わります。一般廃棄物や古紙回収では、都市圏では360~365日稼働レベルが未だに多く、会社は休みであっても誰かしらが動いているといった状況があります。一方、産廃でも建設系では土曜日回収も減りつつありますが、工場系でも清掃業務を請けていると土日稼働やGWや盆等の大型連休での稼働も増えていきます。一方で汲み取りや浄化槽では土日休みが殆どとなります。そして自社の中間処理があれば、受入として土曜日稼働もあれば、受入はしていなくても300~330日は稼働している焼却施設も多いものです。一方で営業が土曜日に出勤しても、顧客に行くことが出来ない為に事務作業をするしかないようにもなっています。つまり複合型の業態では、会社カレンダーも複数必要となり、勤務体系でさえも変えない限り成り立たなくなっています。中小の廃棄物処理業では、まだその整備が明確化・厳格化されていないことも見られ、就業規則では体裁が整えられていても実態が追いついていない姿も散見されます。
これからの課題はガバナンスとしてのリスクは勿論ですが、最も大きな課題は人についでではないでしょうか。サステナビリティ、つまり永続性について、人の比重は相当に増えていっております。それで人は続くのでしょうか?と考えて欲しいと思います。確かに過去は、各人が寝る間も惜しんでではないですが、少々の無理をして頑張った結果が企業の成長にもなっていた時代もあります。「働けば豊かになる」の発想を基としてきた高度経済成長時代では、確かに好循環を生み出したことも確かです。しかし時代は代わり、GDPが他国に抜かれ続ける日本、そして生産性が上がらない日本では、過去の成功事例から抜け出す必要も出ています。しかし一方で労働集約型でもある廃棄物処理業では、急激な生産性改善は難しく、労働量でカバーする方向に向かうことを止められないままです。課題は、その労働量をカバーできる充分な人を確保できるのかとなるでしょう。
働く目的も多様化しており、給与をたくさん貰うことや年収を上げることが全員の目的ではなく、それよりも家族との時間や趣味等に使える時間の確保を優先する人も増えています。土日は休みたい、残業はしたくない、それなりの給与も欲しいとなると、その労働環境を準備できるかとなっていきます。その労働環境を社内で取り組もうとする際に、業務の歪と人件費負担を危惧することとなることでしょう。
考え方を大きく変える時が来ています。これから先、人を採用できない会社は事業継続できなくなっていくと思います。その際に先ず進めていかねばならないことは離脱防止です。既に競合となる同業他社の大手や物流業や製造業でも、労働条件は急変しており、そこにも奪われていく可能性が高まっています。特に、先の頑張ってくれていた世代がシニア化していく企業では、それを埋めることが難しくなってもいきます。更に採用の際での条件負けでは、採用媒体にコストを掛けていったとしても反応が無いままが続いています。つまり採用力が最低限の要素にもなっており、その上で育成が絶対要素にもなっていくことになります。取引内容を変えないならば、ワークシェアのように人を多く採用していく必要があり、それができないならば取引条件の見直しは不可欠となっていきます。
夜遅くに戻ってくる業務、長距離を走る業務、土日祝業務、それを継続するならば適正な費用を貰わなければ継続できないと考えても良いでしょう。稼働日の課題について、「こういうものだ」の過去の発想も捨てていく必要があります。既に様々な産業において過去のサービスは見直しが進み、宅急便や郵便も然り、小売りにおいても24時間や早朝深夜、また365日も変化をしているのです。
永続性を考えていく時に、この状態は企業として永続性があるのかを再度考えて頂き、稼働日についても見直しを検討して頂ければと思います。