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丸の内で働く産廃マンこと、株式会社船井総合研究所 廃棄物ビジネスコンサルティンググループ グループマネージャーの貴船です。日常のコンサルティングを通して、そこはかとなく記していきます!

2021年8月16日 9:20 PM

収集運搬のDX化③「配車のデジタル化の可能性」

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前回から続く、収集運搬のDX化についてです。
今回は「配車のデジタル化の可能性」となります。
配車システムの可能性については、これまで私も何度か追い掛けてきたものの、その難しさを痛感してきました。その生み出す効率性の結果からも、また費用対効果からも独自開発とせず、既存パッケージでのカスタマイズを考えてきました。
 進んできた物流業界からのソフト転換を検討しても上手くいきませんでした。その理由は明確で、配車のシステム化を必要とする規模での廃棄物処理業各社は、小さく業態が分かれているからでした。例えば①一般廃棄物の定期(更に可燃や不燃、瓶缶ペット)②建廃(コンテナ回収、box回収、袋回収)③工場系(建廃同様にboxやコンテナだけでなくドラム、液モノの際の引き抜き作業や清掃もあり)④感染性(エリアによる違いがあれど保冷車等車輛指定や、ペールでの積載容量あり)、更にこれに発生頻度や時間指定、顧客毎のシステム活用での発注ルール、また処分場での待ち時間もルール化し難くなっている原因でもあります。
先の物流業界では3PL(Third(3rd)Party Logistics)が脚光を浴びた際にも、静脈型3PLを模索したもの廃掃法の縛りはどうしても上手くいきません。運搬の効率化では積載効率は不可欠な要因ながら、自社独自で組み立てざるを得ないことも課題ではあったのです。
 しかし振返ってみると、経営者にとって大きな問題としてきた収集運搬効率の課題は、緊急性では小さな問題となっており、後送りしてきたことも確かでした。結果、小さな課題は時間軸とともに蓄積されて見逃せない課題となり、採算という面で大きな経営課題にもなっています。
 今の収集運搬はベストなのだろうか?その際に先ず配車の適正さに疑問が浮かびます。配車マンは一生懸命やっている、それを責められないと解っていても、適正性を検証する術も無いままになっていることは多いものです。検証方法は以前の本ブログでも記してきましたが、配車のデジタル化については可能性が拡がりつつあります。そのキッカケはAIです。今までの配車システムでは一定条件をINPUTすることで適正さを導いていましたが、現在は学習する機能が廃棄物処理業各社の①~⑤の幾つかを解決できるようになってきました。所謂機械学習では、各社の条件が学習され、蓄積されていきます。①の一般廃棄物は定期の為に、AIでの活用よりも他の新規や閉店情報でのルート最適化を一定タイミングで見ることとなりますが、②~④までは全てではないものの幾つかの配車効率改善が可能となってきています。顧客特性、つまり発生頻度の予測は大きな進歩だと感じます。数百件程度ならばExcelレベルでも可能でしたが、課題を抱える企業は数千件の顧客を抱えているからでもあります。目で全て追いかけること、また一元管理にし難いからこそ、配車効率が必要なのです。それを様々な条件を加味して管理するには、もしExcel管理でするにはそのデータ量からも処理速度も落ちてしまい、使い難いものになってしまいます。その各種条件をシステムで組んできたのが、自社独自の運行管理システムでもあるのですが、それに数千万円以上を掛けるよりも簡単に出来るようになったことが、AIならではと思っています。 
 しかしAIが進歩したからと言って、それだけで簡易に安価に出来るわけではありません。例えば運用の際にGooglemap活用にてとなれば、都心部等の道路が複雑な際はエラーが続出する筈でしょう。解り易く言えば、大型車両専用のナビソフトが存在していること同様に、道路付は大きな障壁でもあります。地図上では近い地点でありながら往復6車線の道路で交通法規上で行けば随分と遠回りになる場合もあります。また車幅と車長に交通法規を加味すれば、通れない道も多く発生するものです。だからこそ、それを踏まえて開発が進んできた、物流業界のベンダーと構築していくことが無駄も無いでしょう。積載の特性となる容量設定も可能であり、且つ道路はその車輛設定にも準じていきます。既存にあるものを使い、容易に安価に進めることが可能になってきたことを先ずは知って頂ければと思います。そして何よりも重要なことは、100%を組み上げるのではなく、80%~90%が組みあがることを目指し、更に言えば前述したあらゆる配車形態を網羅しようとせず、可能なものから運用することからが重要となるでしょう。システム会社の「できます」は「費用を掛ければできます」の場合もあり、むしろ一番簡単に安価に、そして要望の80%が出来るようなことを提案してくれることが常ではありません。要望を伝えるだけでなく、自らがシステム構想を持って話をすることも重要となっていくでしょう。 
 皆様には、配車システムの可能性が数年前よりも大きく進化していることは知って欲しいと思います。過去の上手くいかなかった時から大きく変わっているのです。是非、諦めずに取り組んで頂ければと思います。    

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