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丸の内で働く産廃マンこと、株式会社船井総合研究所 廃棄物ビジネスコンサルティンググループ グループマネージャーの貴船です。日常のコンサルティングを通して、そこはかとなく記していきます!

2022年1月27日 9:16 AM

廃棄物処理業の脱炭素経営④「ウチの会社には関係ない」の間違い3

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前回から続く、「ウチの会社には関係ない?」の間違い、についての続きです。
⑤地域に貢献できるのか?
 廃棄物処理業は地域に貢献あってこそと思っています。地域のインフラを支える、エッセンシャルワーカーとしての役割を担ってきました。先ず地域にとって、貢献できたか、もっと地域に貢献にできないかと廃棄物処理業経営者の皆様は考えてきたと思います。
 脱炭素経営こそ地域密着となっていきます。全国の地方自治体はゼロカーボンを迫られており、2050年ゼロカーボン宣言自治体の数は2021年9月30日現在で40都道府県、278市、10特例区、114町、22村となり、表明自治体総人口約1億1157万人となっております。
 政府の「国・地方脱炭素実現会議」2021年6月に、2050年の脱炭素社会実現に向けた工程表をまとめ、今後5年間に政策を総動員し、人材や資金、技術、情報面から自治体を積極的に支援し、2030年度までに少なくとも100カ所の「脱炭素先行地域」をつくる方針を打ち出しました。地域の脱炭素工程表で、国は地域に根差した再生可能エネルギーの導入推進を重点対策に選定し、様々な支援メニューも用意しています。
 既に先行している地域では、企業と地域の有力企業と連携して、地域での地産地消電源の導入等民間活用の事例が多く見受けられます。各自治体ともに多く見受けられることは、民間活用の視点であり、地域に根差す為のゼロカーボン自治体となる為に連携を求めています。国主導だけでなく、各自治体が目指すべき形を模索しているなかで、民間の経営資源は必ず役に立っていくものとなることでしょう。脱炭素こそ各自治体を無視することは出来ず、むしろ地域貢献がビジネス性においても大いに役立つものとなっていきます。
 では具体的に、どのように地域に貢献しながらもビジネスとしても成り立たせていくのかとなった際に、先ず自社が位置する自治体の環境ビジョンを確認して欲しいと思います。先のゼロカーボンシティは勿論、具体的な戦略も構築が進んでいることでしょう。先ずは、そこでの自社の役割、そしてむしろ市町村にとっても脱炭素達成すべき提案をすべきなのが廃棄物処理業でもあると思っています。具体的に進んでいるテーマで代表的なものではバイオマス系があります。平成21年9月に施行されたバイオマス活用推進基本法(平成21年法律第52号)に基づき、平成28年9月に新たなバイオマス活用推進基本計画が閣議決定され、2025年における目標、バイオマス活用推進に関する施策の基本方針、技術開発の方向性等が定められました。都道府県及び市町村は、バイオマス活用推進基本計画等を勘案し、それぞれの地域のバイオマス活用推進計画の策定に努めることとされています。なお、バイオマス産業都市構想の認定を受けている市町村は、この構想をバイオマス活用推進計画として位置づけることができます。農林水産省の「バイオマス産業都市選定地域」では2021年7月現在で94市町村が選定されており、「木質バイオマス」「家畜排せつ物」「食品廃棄物」「下水汚泥の4分野」に分けられ、特に多いものが木質バイオマスとなっております。その中でもバイオガスを除く木質系を抽出するだけでも以下の地域が取り組んでおり、様々な地域の特色を活かしてビジネス性としてもモデルエリアも生まれております。 


 
 しかし一方で課題も多いことも確かです。1997年12月に京都で開催された地球温暖化防止京都会議(COP3)で採択され、2005年2月16日に発効した京都議定書では、バイオマス発電は二酸化炭素を新たに排出しないエネルギーとしての位置づけで、木や植物は光合成により二酸化炭素を吸収し酸素を排出することで、エ
ネルギーを取り出すために木材を燃焼しても、それまでに産出した酸素と相殺されるクリーンエネルギーとされてきました。火力発電に比べ、小規模の地域密着型が多く、更に地域活性として、地域での廃棄物活用等にて自治体でも取り組まれてきました。一方で課題はコストでもあり、そのバイオマス資源の運搬や管理コストからも大規模が難しく、結果としての発電量が小さくなる課題にもなっています。農林水産省ではH24/9に「バイオマス事業化戦略の木質系」として、以下を掲げてきました。
①出口戦略(需要の創出・拡大)
  ・固定価格買取制度の積極的な活用
  ・投資家・事業者の参入を促すバイオマス関連税制の推進
  ・各種クレジット制度の積極的活用による温室効果ガス削減の推進
  ・バイオマス活用施設の適切な立地と販路の確保
  ・高付加価値の製品の創出による事業化の推進
②入口戦略(原料調達)
  ・バイオマス活用と一体となった川上の農林業の体制整備(未利用間伐材等の効率的な収集・運搬システムの構築等)
  ・広く薄く存在するバイオマスの効率的な収集・運搬システム構築(バイオマス発電燃料の廃棄物該当性判断の際の輸送費取扱等の明確化等)
  ・ 高バイオマス量・易分解性等の資源用作物・植物の開発
  ・多様なバイオマス資源の混合利用と廃棄物系の徹底利用
③木質系の重点戦略
  ・FIT制度も活用しつつ、未利用間伐材等の効率的な収集・運搬システム構築と木質発電所等でのエネルギー利用を一体的・重点的に推進
  ・製材工場等残材、建設発生木材の製紙原料、ボード原料やエネルギー等への再生利用を推進
④総合支援戦略
  ・地域のバイオマスを活用したグリーン産業の創出と地域循環型エネルギーシステムの構築に向けたバイオマス産業都市の構築(バイオマスタウンの発展・高度化)
  ・原料生産から収集・運搬、製造・利用までの事業者の連携による事業化の取組を推進する制度の検討(農林漁業バイオ燃料法の見直し)
  ・プラント・エンジニアリングメーカーの事業運営の参画による事業化推進

 課題解決の為に、方向性を定め取り組んできましたが、やはり大きな課題はコストについてとなってきます。次回は、コスト課題と取り組みの方向性について、お伝えさせて頂きます。

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