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丸の内で働く産廃マンこと、株式会社船井総合研究所 廃棄物ビジネスコンサルティンググループ グループマネージャーの貴船です。日常のコンサルティングを通して、そこはかとなく記していきます!

2022年5月27日 9:41 AM

ブログ特別編「廃棄物・資源・浄化槽ビジネス経営研究会」4月例会の振り返りレポート【抜粋】

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 今回は特別版として4月に開催された、廃棄物・資源・浄化槽ビジネス経営研究会の例会につきまして、振り返りレポートをお届けします。 
 「廃棄物・資源・浄化槽ビジネス経営研究会」は、2006年から開催され17年続く、廃棄物処理業、再生資源業(鉄スクラップ、古紙)、浄化槽業経営者の為の、定期的な勉強会の場となっております。
人口減少に伴い縮小していく市場環境の中で、更なる企業の発展を望む次世代の経営者の方々が入会されており、エリアは全国で規模も中堅・中小と様々となっております
2か月に1回の開催にて東京の弊社丸の内オフィスにて開催されてきました。2020年、2021年は全てリモート開催となりましたが、2022年より、ようやくリアル開催に戻すことができるようになりました。
テーマは毎回異なっており、その時流に合わせた必要な情報を優先しており、戦略面から、運搬や工場の活性化等の現業面、営業やマーケティング面、DXやGX等の活用、組織や採用等の人材マネジメント、事業承継や財務・労務等の経営全般を業界に特化した内容でお届けしています。
ポイントは以下の3つです
1.縮小市場に身を置く企業が更なる発展を遂げるための方法を学ぶ
2.次世代を担う経営者が集まり業界の地位向上を目指す
3.環境に関わるビジネスの最前線の情報を集め、取り入れる

 今回㋃例会は
1.廃棄物市場の最新動向
2.最新採用時流と今取るべき採用戦略
3.最新補助金活用情報
4.ディスカッション「採用改善」
となっております。今回は第一部の「廃棄物市場の最新動向」の抜粋をお届けいたします。

1.廃棄物市場の最新動向
 市場のマクロ数値については、環境省は2022年に発表をした2019年実績を確認している方も多いと思います。御覧になられた方々はご承知の通りですが、正直「この程度か?」と感じたかもしれません。皆さまの記憶にも新しいところで、廃プラの国内還流が発生した当時でもあり、焼却価格も値上がりし始めた時でもありました。一方で逆の見方をすれば、下げ留まりはこの影響でもあり、総量のマイナスは変わらないということかもしれません。一方で数年間減少を続けてきた特管産廃は急増加しており、個別の品目には納得するものの、今後の廃棄物市場を見ていくには減少は当然否めません。そして皆様が一番知りたいのは、この2020年2021年でのコロナ禍の影響ではないでしょうか。これは各処理業者の数値状況から見ていくと、業界環境として経営面ではプラスに働いたことが多くあったと見えてきます。この近年は廃棄物処理業の視点からでは、つまり産廃業が獲得できる産廃の市場では横這い以上の時間であったということです。
 しかし一方将来の産業廃棄物市場で見ると、当社独自の各種データから係数にて導いた結果では今後20年間の減少について、変わらずの数値水準結果となっております。加えて、近年の脱炭素市場加速においては、更なる減少加速も否めないことにもなっていきます。顧客のサプライチェーン変化やゲームチェンジ、そして市場規模としての数値において、物量の減少だけでなく、運搬関連の減少は更に悪化していくことが予想されます。 
 上位企業の経営分析をしていくと更に面白い結果が見えてきました。先ずは商圏の考えにも変化が表れてきております。先ず最低限の売上確保の視点において、廃棄物には発生量としての市場ありきであり、発生面における大商圏立地に存在していることは、戦う為の最低条件となっています。地方部にて一定の上位ポジションを確保している企業では、商圏を大きく拡げ圧倒的なシェアを獲得しています。しかし一方で、当然競争激化となることもあり、収益性をも確保している企業で見ると、それぞれの独自性を持っていることも確かです。上位売上企業を分類していくと、圧倒的に大商圏限定型が強く、且つ関東への集中が目立つ結果となっていました。
 更に分類が幾つかに分かれることが見えてきました。(*企業名はテキスト記載のみ)
A.大商圏限定型:大商圏を主としており、エリア限定しながら展開
B.小商圏拡大商圏型:小商圏を本拠地としながらエリアを他地域に拡大展開(近隣複数県に跨る商圏)
C.大商圏拡大型:大商圏から更に全国的な拡大を目指す
D.地域密着型:一般廃棄物及び収取運搬を主としており、地域密着で安定的な展開
上記に加え、主要顧客分類を総合型、工場型、建設型と分け、また施設種別を焼却、水処理、最終等に分類をしていくと高収益型のモデルが見えてきます。
 更に単体決算だけでなく、グループ企業や大規模資本をバックボーンとしている情報を加えてみたリスト(配布テキストのみ)では、業界関係者の多くが思われた結果となっていると思います。
 特に注目は提携やアライアンスではないでしょうか。この10年程、業界の垣根を越えて、廃棄物と資源大手による合従連衡が続いてきましたが、最近では異業種大手による廃棄物処理業の出資も続いていることです。またインフラファンドの経営参画も続いており、これから数年において業界の地図も変わっていくことが予想されます。そして皆様も幾つか情報が入っている通り、まだまだ設備投資計画を各社(テキスト記載のみ)進めており、これらの稼働によっても収益性や順位も変化をしていくことでしょう。 
 ご承知の通り、売上や収益の限界は施設内容によって定まっており、また商圏の影響が大きい限界でもあります。今後の縮小市場において、そのなかでも勝てる市場に効果的な設備投資を行い、そして集める能力を如何に戦略的に組んでいけるかは大事なポイントになっていくのは間違いありません。