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丸の内で働く産廃マンこと、株式会社船井総合研究所 廃棄物ビジネスコンサルティンググループ グループマネージャーの貴船です。日常のコンサルティングを通して、そこはかとなく記していきます!

2022年7月19日 4:35 PM

廃棄物処理業の脱炭素経営⑧「廃棄物処理業の脱炭素経営」1

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 これまで、廃棄物処理業の脱炭素経営のポイントを整理してきましたが、根底に時流適応経営があります。一方で、廃棄物処理業が現在直面している課題は、①インフレ対応②労働力不足③二次処理費負担増といったものではないでしょうか。つまり、この直面している時流と今後来るべき時流の2方向で捉える必要があります。①~③を解決しながら、来るべき脱炭素経営に取り組めるかがポイントでもあります。 
  
1.脱炭素経営で儲ける2つの視点 
 脱炭素経営で儲けるには、①マーケティング②コスト削減と2つの視点が必要です。脱炭素市場はルールと規制が目まぐるしく変化し続ける為に情報の整理が必要であり、またGX、技術開発・スピード市場環境の変化はDX同様の高スピード(水素、CCUS等)でもあり、①②ともに必要なものは「情報量」X「質」の乗数となっていきます。その際には、WITHコロナの現在においては過去の常識やルール等当たり前が覆されていきます。脱炭素時代での時流適応のマーケティングとコスト削減が必要な時代へとなり、これまでの常識や当たり前を見直し、これからの時代に備えた「儲け」の仕組みを講じる必要もでてきます。
2.脱炭素マーケティング
(1)顧客が望んでいるもの
 マーケティングにおいては、当然ターゲティングされた顧客について、顕在的及び潜在的に、現在と将来の視点で望んでいるもの、望んでいくものを捉える必要があります。脱炭素において考えていくと、ライフサイクル的には、導入期:一部の環境意識の高い企業からの需要(需要は少ない)⇒成長期:リーディングカンパニーがコストアップしても導入⇒成熟期:脱炭素且つコストダウンされたもの、と進んでいきます。
(2)現在
 顧客の脱炭素への取組も導入期から成長期へとなっております。折しもプライム上場へ移行した1部上場企業はTCFD賛同にて、SCOPE3となるサプライチェーンでの削減検討について考える機会にもなっています。これも時が進めば、スタンダードやグロース企業は勿論、意識の高い企業から取組むものへとなっていくでしょうう。この時が成長期にもなっていくと思います。顧客が今後望んでいくものは、CO2削減となる廃棄物削減と運搬の低減へと繋がっていきます。それ故にビジネスチャンスとして捉えるならば、CN商品やCNサービス開発とともに、地域や業界でのポジショニングをつくること、また、顧客が望む廃棄物のコストダウン提案を実施していく必要があります
(3)廃棄物処理業が取り組む脱炭素マーケティング
①SCOPE3対応
ⅰ)プライム上場顧客
 先の通り、プライム上場顧客では測定と計画に取り組んでいるのですが、まだまだ具体的なものになっていないケースが散見されます。但し各社での温度差も見られ、廃棄物発生量が多い会社とそうでない会社では、当然意識も違います。先ずは顧客へ短期中期的な方向性と取組についてヒアリングを行って頂ければと思います。
ⅱ)脱炭素提案
①SCOPE3対応
 既にSCOPE3の廃棄物におけるCO2削減計画としての数値目標が確定していれば、ご一緒に取り組んで欲しいと思います。これまでも多量排出事業者程、削減には継続的に取り組んできたこともあり、正直ネタ切れと思われている方も多いものです。リサイクルは当たり前となり、リデュースでの取組として取組み、その効果も生まれてきたことと思います。しかし今回は脱炭素視点での廃棄物削減であり、最もシンプルな視点では運搬削減でもあります。また商流の最後まで追いかけていきながら、CO2が発生しない最終までをご一緒に追いかけて欲しいと思います。その際に重要なことは数値化です。恐らく減りますではなく、どれだけCO2が減るのかを具体的になっている必要があります。
 また一方で目指して頂きたいポジションは、顧客にとって環境企業としての位置づけです。情報提供を継続的に続け、脱炭素への相談ならばと問合せが来るほどのポジションを獲得して欲しいと思います。情報発信について営業マンは当たり前ですが、それ以上に会社としての発信の仕組みを持って欲しいと思います。
②顧客への収集運搬脱炭素提案
ⅰ)物流業界で起こっていること
 既に進んでいる物流業界では、脱炭素の取組の中で脱JIT(JUST IN TIME)も議論が進んでいます。世界的にも優れた看板方式ではありますが、一方で物流頻度が増すことも発生しています。これが廃棄物の収集運搬にも波及することも起こりうると思っています。顧客の都合だけでなく、CO2を起点とした効率性への議論がこれから増していくことも予想されます。
ⅱ)頻度と回収方法
 先の通り、究極は運ばないことが脱炭素にもなっていきます。しかしインフレ下の現在、効率化ダウンによるコストアップは到底受け入れられるものではありません。だからこそ、運搬効率向上させることを顧客と一緒に話し合うタイミングになってくると思います。その際に、面倒くさいのは勘弁、今のままで十分とする顧客についてではなく、真剣に取り組もうとする良い顧客と進めて欲しいと思います。
③顧客への処理方法脱炭素提案
ⅰ)再資源化での数値化
 これまで営業マンのクチからは、リサイクルだからとの言い方で終始することも多く、何故リサイクルすべきかまで真の意義まで言及されていなかったことが多く思われます。述べている脱炭素も、安直なCO2削減されます的な言及とならず、またリサイクル=脱炭素では無いことを営業マンが真に理解できていなければなりません。そのうえでの再資源化提案には、CO2排出量比較が具体的に提案できることも大事になっていきます。見積比較となるコスト追求型営業ではなく、真の提案営業が出来るようになって欲しいと思います。提案営業が出来ない廃棄物営業マンは今後、役割が少なくなっていくでしょう
ⅱ)サーマルでの数値化
 サーマル可も同様です。これまで焼却営業では、発電できることで顧客訴求をすることも多くありました。しかし発電だから、サーマルだから脱炭素ではありません。これはRPFでも同様です。RPFだから脱炭素ではなく、他の処理方法と比較してCO2排出量が具体的にどうなるかが重要となっていきます。 

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