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丸の内で働く産廃マンこと、株式会社船井総合研究所 廃棄物ビジネスコンサルティンググループ グループマネージャーの貴船です。日常のコンサルティングを通して、そこはかとなく記していきます!

2022年8月25日 8:26 AM

特別編「廃棄物処理業のインフレ対策」

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今回は、特別編として「廃棄物処理業のインフレ対策」についてお伝え致します。
1.廃棄物処理業の現状
(1)市場
①産業廃棄物排出量とキーワード
ⅰ)総量
近年減少は進んだものの将来予測推定より下げ止まっている。海外への廃プラ還流、また建設関連の活況が続いていることもあり、市場感として減少感は感じない。製造業も円安と資源高、部材不足の影響が続いており、各種エンドユーザーの生産計画にも支障が出ているが、2022年単年での影響があっても、5年程度のスパンでは大幅減少には繋がらないと見ている
ⅱ)廃プラ
脱プラの方向は続き、商品開発も含め、国としても改善を進めていく意向は強い。しかし廃棄物の特性からも、製造時発生だけでなく廃棄段階まで発生量の減少には時差があり、10~20年程度の緩やかな減少が想定される。
ⅲ)焼却
需要に対する焼却施設不足が2022年現在も続いており、同時に価格高騰も止まっていない。今後の建設見込に対しても、その建設迄の時間軸と施設への障壁からも急激な改善は見込まれていない
ⅳ)最終処分場
管理型最終処分場不足は続いているが、設置量とのバランスによって残余年数に大きな変動は生まれていない。しかし変わらず過多ではなく、需給バランスとしても維持が続くことが見込まれる。それ故に需要側としては価格競争激化を想定して、如何に管理型最終処分場への搬入抑制に努められるかは必要となってくる
ⅴ)サーキュラーエコノミー
循環経済(サーキュラーエコノミー)とは、従来の3Rの取組に加え、資源投入量・消費量を抑えつつ、ストックを有効活用しながら、サービス化等を通じて付加価値を生み出す経済活動であり、資源・製品の価値の最大化、資源消費の最小化、廃棄物の発生抑止等を目指すものである。この考えの広まりは、3R以上に製造過程での減量化が進むことにもなっていく。先ずはプラスチックが主となっていくが、マクロでの減少方向となることを想定しておく必要がある
ⅵ)脱炭素
プライム市場の企業はTCFD賛同をしており、今後もSCOPE3のなかでの廃棄物はテーマとなっていく。その際に①発生抑制②運搬削減の視点があり、運搬では遠方へ運ぶことが懸念点にもなりうる。2030年迄の各社取組には注意が必要となる
②廃棄物処理業
ⅰ)リーディングカンパニー
・これまで業界特性として新たな参入は少なかったが、M&Aを通しての大手参入は続いていくことが見込まれる。
・事業承継難でのM&Aは小規模型が多く、事業者数の減少は緩やかにもなっている。
・大手同士の合併やグループ化も、これまで以上に進み、グループで広範囲をおさえていくことも想定される。
・地域特化型は変わらず強く、他地域からの攻略も上手く進んでいない。この傾向は今後も継続されるが、市場規模縮小されるエリアもあり、今後の事業戦略は注意が必要となる。
ⅱ)設備
・設備投資について、業界上位は各社積極的になっており、売上及び収益向上の為に事業戦略上においても不可欠となっている。
・収益性の高さは施設特性に左右されることは変わらず、また処理方法の大幅な進化が想定し難いことから、今後も水処理、焼却。最終処分場の優位性は高い
・車輛不足が全国的に拡がり、納車待ちは1年を超えることもざらとなっている
ⅲ)組織
・コロナ禍にて、一時的に募集の反応も改善され採用充足感はあったが、再び募集に対する採用難が広がっている。働き方改革から、シフト型や残業対策及び休日の増加にも取り組んできたが人員不足が否めず、仕事の出来る人への負担が増えている
・年齢構成が歪となっていた平均年齢高齢型は悪化が続いている。定年者の再雇用を継続しても、一時的対応であり、変わらず若年層の採用と育成には苦戦が続いている
・この20年程で営業マンとしての活用は定着してきたが、コロナ禍での訪問難や採用難もあり、営業手法も含めて過渡期であることは否めない。新たにABM(Account Based Marketing)にも取り組みが広がりつつあり、時間は掛かるが営業の変化が始まっている
・幹部の力量不足は長く課題であったが、幹部候補の育成への取組を続けた企業では、新卒系の育った会社にて変化も出始めている
・女性活用は、ゆっくりと進んでいるが、現業系では他業界に比べてまだまだ低い状況である。但し、リーディングカンパニーを中心に取り組みは拡がっており、今後に期待
ⅳ)デジタル
・業界全般として遅れていることは否めない。基幹システムも初期設定のままで活用は仕様の半分程度であることや、会計システムとの二重処理やSFAとCRMの活用も苦戦が見られる。マーケティング面でも、WEBマーケやABM等も未成熟である。現業系では、運搬系でのデジタコやドラレコは進んだが、データ分析の活用にはなっていない。中間処理場もIoTが開発と導入も始まりだしているが、その投資コストと効果には今後に期待となっている。
ⅴ)採算性
・焼却を始めとした二次処理費高騰、働き方改革と生産性低下による人件費高騰、燃料費高騰による収取運搬の採算悪化、重油と電気代アップによる中間処理場のコストアップ、そして無理な受注による収益性ダウンと採算性が急激に悪化している
(2)2022年に取り組むべき7つのポイント
①短期的なコスト見直しと改善
②中期的な生産性改善
③営業機会を新たな営業活動で活かす
④DXのバージョンアップ
⑤2022年版採用と育成
⑥事業戦略の再構築
⑦脱炭素経営のスタート

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