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丸の内で働く産廃マンこと、株式会社船井総合研究所 廃棄物ビジネスコンサルティンググループ グループマネージャーの貴船です。日常のコンサルティングを通して、そこはかとなく記していきます!

2022年10月25日 10:27 AM

特別編「廃棄物・資源・浄化槽ビジネス研究会10月例会振り返りレポート」

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 今回は10月開催の、廃棄物・資源・浄化槽ビジネス研究会の振り返りレポートをお届け致します。当日の講座のなかで、「サーキュラーエコノミー時代での戦い方」について前半部分を抜粋してレポート致します。 
(1)サーキュラーエコノミーとは
①サーキュラーエコノミー(Circular Economy)
・EUが2015年「European Commission」として公表
・日本語訳として「循環型経済」
・2018年経済産業省が線形経済(Linear Economy)から循環経済(Circular Economy)として発表
・2020年EUにて「製品、素材、資源の価値を可能な限り長く保全・維持し、生産と消費における資源の効率的な利用を促進することによって資源利用に伴う環境影響を低減し、廃棄物の発生ならびに有害物質の環境中への放出を最小限にする経済システム。3R対策の優先順位を適用することを含む。」と定義
・従来の3R(リデュース、リユース、リサイクル)の取組に加え、資源投入量・消費量を抑えつつ、ストックを有効活用しながら、サービス化等を通じて付加価値を生み出す経済活動である(経済産業省)
・廃棄製品や原材料などを新たな資源として経済活動の複層段階で循環させる「クローズドループ型」の経済モデルへの転換を目指す動き
・世界市場としては500兆円の経済効果があると言われている
 
 同語については、数年前から既に拡がっていた言葉ではあったものの、私自身が当時は正直ピンときていない部分があったと思います。日本とEUとの法を含めた廃棄物行政、また歴史を含めた廃棄物文化の違いとして、ガラパゴス型進化をした日本にとっては展開の難しい面が多いと感じていたこともあります。そして「循環経済」の言葉は日本でも定着しており、資源の有効利用や3Rの優先度も随分と進化してきたと思っていたからです。 
 しかし、改めて資料を追い続けていくと見えてきたことは、目的が脱炭素化であったことです。既に多くの方は気付いていたことだと思いますが、カーボンニュートラル化が目的であり、その手段としてサーキュラーエコノミー化を必要としていたのです。そして私が思っていた循環経済は線型経済であり、更に視点を変えて小さな輪が生まれ、その中で経済が新たに動いていくことでもあったのです。点で押さえることが多かったリユースやリペア、そしてリサイクル材の活用も、全てが繋がっていくものでもあります。 
 既にご承知の通り、EUでは1975年の「廃棄物枠組み指令」において「廃棄物ヒエラルキー」の考えがあり、逆三角形の底辺に⑤「適正処分・廃棄(Disposal)」が置かれ、もっとも優先度が低いものとなっています。つまり、ただ捨てるだけは最後の手段なのです。その上に、④「回復・他の再生方法(Other Recovery)」⇒③「リサイクル(Recycling)」⇒②「再利用(Preparing for re-use)」と続き、ここまでが廃棄物(waste)のゾーンとなります。その線引きの上に製品(product)としての①「発生抑制(Prevention)」が存在していました。2010年に公表された以降10年間の欧州の成長戦略「Europe 2020」において、3つの柱のひとつ「sustainable growth (持続可能な成長)」と7つのフラッグシップイニシアチブの一つとして、「資源効率(Resource efficiency)」を推進する方針が示されます。2011年「資源効率」を具体化した「資源効率性のあるヨーロッパに向けたロードマップ」が発表され、生態系サービスの見える化や、市場メカニズムの活用、炭素税など税制面でのアプローチなどとともに、リサイクル率の向上が掲げられました。2014年「EU Resource Efficiency Scoreboard 2014」や「Progress Report on the Roadmap to a Resource Efficient Europe」にて進捗評価が発表され、加盟国の資源効率の進捗度を評価する一方で、廃棄物を資源として捉え直すサーキュラーエコノミーへの移行の必要性が記されます。そして2014年から2020年までの「第7次環境行動計画」でもサーキュラーエコノミーへの移行が明確に打ち出されます。2015年12月、欧州委員会は2030年に向けた成長戦略の核として、サーキュラーエコノミーパッケージを承認し、翌年2016年6月には54の具体的行動を策定し、具体的なアクションプランを採択します。2018年5月、欧州委員会は2015年サーキュラーエコノミーパッケージに基づき廃棄物管理とリサイクルに関する新ルールを決定。廃棄物の発生抑制、及び一般廃棄物と包装廃棄物のリサイクルの大幅な改善を図り、埋立てや焼却よりも発生抑制、再使用、再生利用を優先させる「廃棄物ヒエラルキー」の具体的な措置をEU加盟国に義務付けていきます。2020年3月、欧州委員会はEU全域でのサーキュラーエコノミーを加速する為の新計画「新サーキュラーエコノミー行動計画(New Circular Economy Action Plan)
」を公表しました。「規制」「義務付け」「指令の強化」という言葉が並びますが、「2050年にカーボンニュートラルを実現させ、自然環境を守り、競争力を高めるために完全なサーキュラーエコノミーへの転換が要求されている」と述べた通り、行動計画の目的はサステナブルな社会を実現させるとともに、環境負荷と経済成長のデカップリング(分離)を図ることであり、そのための支援強化策も取り揃えています。
 これらEUの取り組みを見ていると、確かに日本でも進めなければならないテーマが存在していることも分かります。しかし、その為には廃掃法が変わるだけでなく、政治的な動きと企業とが連携をしながら障壁を超える必要もあります。
 そしていま、経済産業省と環境省が連携をして、新たな日本での取組が始まりだしているのです。

 今回は抜粋版として前半の導入部分となっていますが、このようなことが学べる、是非廃棄物・再生資源・浄化槽業ビジネス研究会にもご参加いただければ幸いです。。

  

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