丸の内で働く産廃マンのブログ|産廃WEB|船井総研

丸の内で働く産廃マンこと、株式会社船井総合研究所 廃棄物ビジネスコンサルティンググループ グループマネージャーの貴船です。日常のコンサルティングを通して、そこはかとなく記していきます!

2021年12月8日 3:14 PM

廃棄物処理業の脱炭素経営②「「ウチの会社には関係ない」の間違い」

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①大手企業の取組?
日増しに「脱炭素」のキーワードが、企業の取り組みにおいても報道を賑わすことが増えてきました。国内企業でも目にする多くは世界的企業群であり、ESGの視点にて環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)への取り組みがクローズアップされ、廃棄物処理業の中堅中小企業では程遠いように思われているのではないでしょうか。先ずそれよりも、取り組むべき重要なことが多くあるとしている経営者も多いかもしれません。
先ず、認識頂きたいこととして、中堅・中小企業であっても取り組みが不可欠になっていくことです。
弊社創業者の舩井幸雄は、企業の3つの使命として、「社会性の追求」「教育性の追求」「収益性の追求」を唱えてきました。これは順番も重要であり、先ず「社会性」ありきであり、そして「教育性」を追求していけば、収益性がついてくるとするものです。原理原則であり、一方その社会性とは、当然時代とともに求められていくものも変化をしていきます。世の中の広く社会に貢献することは、各社皆様が日々の経営においても取り組まれていること
ではあると思いますが、その優先度を上げなければならないテーマが脱炭素です。
大き過ぎるテーマのように感じるかもしれませんが、社会性の追求として求められていることであり、全ての企業が取り組むべきテーマなのです。そしてその追求が、企業価値として必ず向上されていき、求められる企業へとなっていきます。だからこそ、更に選ばれる廃棄物処理業になりたい、の中堅・中小企業こそ脱炭素経営に取り組んで欲しいと思います。
②事業や商売に影響する?
 「脱炭素」の取り組みを進めはじめても、余計な工数や手間が増えていくイメージが強く、とてもそこまで手が回らないとも思ってしまうかもしれません。場合によってはISO14001での取り組みイメージが強く、認証取得を目的化したイベント的なものとなっており、経営の仕組みとして機能していないこともあると、余計に億劫になっていることもあるでしょう。どうしても企業力向上と一致しないように思え、目に見える効果を直ぐに求めようとしてしまいがちです。
脱炭素経営には、内部としての取り組みとともに、自社のマーケティング面にも存在しております。商品開発やサービス開発では、新たな経営軸にある「DX」とともに脚光を浴びている「GX(グリーントランスフォーメーション)」が、正にビジネスチャンスの視点です。加えて、既存顧客や新規顧客との出会いや差別化においても、サプライチェーンへの削減要請にもなるSCOPE3対応にて、選ばれるサプライヤーにならなければなりません。
SWOT分析で考えればシンプルであり、機会 (Opportunities)と脅威 (Threats) が自社の置かれた環境下において、表面化されているものと潜んでいるものがある筈です。
経営戦略において外部環境の変化は全ての企業に関係しており、これまでの戦略についても転換が避けられなくなっていきます。全ての企業の事業や商売だけでなく、経営全般に影響すると言っても良いでしょう。
③取り組みが社内組織に影響を及ぼすのか?
前述の通り、取り組みが社内と社員にとっての負担となることを懸念される経営者の方も多いと思われます。「また何かやらされる」「また仕事が増える」「儲からないことをする」とネガティブな意見を想定され、二の足を踏んでしまうこともあるかもしれません。しかしマイナスの意見やネガティブ発想を気にして、本当に良い企業になれるのでしょうか。「自社は、まだそのレベルなので」と肯定することは言い訳でしかならず、創業者舩井幸雄が唱えた成功の3条件「素直」「プラス発想」「勉強好き」のひとつである「プラス発想」とは程遠いものです。
 先ず自社のネガティブ思考に目をとられず、プラス発想の人達に目を当ててください。どのような企業でも組織でも必ず一人はいる筈です。経営者が先ず、最低1名としてその先頭にいます。いなければ継続をしていないからです。そして、他にもそのような素直・プラス発想・勉強好きの社員がいれば、もっとそのような社員が増えることを望んでいると思います。
 それが脱炭素経営です。
 働く価値として、スタートはマズローの欲求階層からも「生理的欲求」としてからとなることでしょう。食べる為に働かねばならない、所謂「生活の為」に働くとなっているでしょう。そして、「安全」「所属」「尊敬」「自己実現」と昇華していく際には、自らの自己実現が会社の自己実現と一体化していくタイミングが存在しています。社会の中で、他とは違う企業でありたい、価値ある存在として認められ求められる企業でありたい、その一員でいたいと、自己実現が会社の自己実現になっていくのです。ぞれを願う社員と一緒に会社を前に進めることが出来れば、どれだけ楽しいことでしょうか。目指したい会社に近付ける為にも脱炭素経営に取り組む必要があります。
 

2021年11月11日 3:31 PM

廃棄物処理業の脱炭素経営①「廃棄物処理業こそGXに取組まねばならない」

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 DXとGXが全ての企業にとって経営には不可欠となりつつあります。そのようになる未来とともに、既に2つの本取組を進めている企業は増えつつあり、その差が企業力としての差を大きくさせつつもあります。本ブログでもDXは多くお伝えしてきましたが、GX(グリーントランスフォーメーション)については、お伝えできておりませんでした。所謂「緑転」となるわけですが、温室効果ガスを発生させず最新技術にて転換させて産業構造や社会経済を変換させてていくものです。それはビジネスチャンスは勿論のこと、企業価値向上の為に、また企業の責任として脱炭素を軸とした経営転換を迫られています。 
 では、廃棄物処理業がGXを如何にビジネスチャンスとして活用していくべきかとなると、具体的な取組にクエスチョンマークがつく方も多いことと思われます。環境保全企業として常に地域と社会貢献に取組んでこられてきましたが、いざカーボンニュートラルや脱炭素のキーワードを聞いても、自らの企業活動とも遠いように感じているかもしれません。上場企業や大企業のゾーンであり、自社とは程遠いとも思っているのではないでしょうか。しかし廃棄物処理業こそ、GXに取組んでいかねばなりません。今から20年程前に環境ビジネスが注目を浴び始めた頃を思い出している方もいるかもしれませんが、あの当時よりもその潮流は深く広範囲へと、そしてライフサイクルにおいても導入期から成長期へと向かいつつあり、ビジネスチャンスとしては無視できないものへとなっております。そしてその転換点までが2050年近くまで続くことが想定されており、ポジショニングを創る数年間になっているのです。 
 廃棄物処理業は既に転換点を過ぎて時間も経ております。思いかえしてみると、3Rを謳っていた時には、それが出来ていなかったからでもあるのです。しかし、リサイクルもリユースも進み、リデュースは当たり前のように取り組まれて10年以上も経ています。ライフサイクルで言えば、過去の大量生産大量消費の後始末をつけてきた成長期から、人々の意識が変わることで発生抑制が進むことで転換点を過ぎていきました。マクロ的にも産業廃棄物の減少量から見れば、その結果は一目瞭然でもあります。業界内でもトップ企業群の合従連衡も進み、各種の層が明確に分かれつつあります。本業を続けていきながらも、新たな軸の準備は不可欠となっており、そのトップ層でさえも取組スピードが加速していることを感じます。第二本業が迫られているのは、いかなる業界でも同じことではあるのですが、経営資源の有効化からは、その上流と下流もしくはその横の市場であることが望ましいのですが、加えてブルーオーシャン且つ伸びていく市場でなければなりません。だからこそ、GXについては無視できない市場でもあり、そして自社が勝ちにいけるポジション参入は不可欠でもあるのです。 
 GXは流行りだから取組むのではなく、廃棄物処理業こそ絶対に取組むテーマであると思っています。一方、廃棄物処理業がGXへの取組むに当たっては、市場環境と今後の動向を冷静に見極めていかねばなりません。脱炭素の市場環境と動向とともに、自社の経営資源を活かせる戦略を持たねばなりません。 
 先ず一つ目に自社としての脱炭素経営、そしてビジネスとしてのGXと分けて考えていきたいと思います。 
 今回、おさえて頂きたいことは、廃棄物処理業はGXのど真ん中にいて、そしてそれを今後の廃棄物処理業経営に活かしていかねばならないことです。決して遠い話ではなく、直ぐ目の前にいる潮流であることを再度認識して頂ければと思います。

2021年10月20日 4:04 PM

収集運搬のDX⑦最終回「DXで勝ち残る収集運搬」

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 これまで6回と続いてきた収集運搬のDXについて、最終回となります。今回は「DXで勝ち残る収集運搬」となります。
 遡ること十五年以上前の時に、私は「収集運搬のみでは生き残れる会社は数少ない」とまで、断言していました。今更ながら、私が間違っていた面は多いにあったと思います。申し訳ございませんでした。言葉に付け足さなくてはならなかったことは、「儲かる収集運搬にならなければならない」ということでした。
 当時から産廃の収集運搬は儲からなくなっていました。中間処理が主の会社にとっては、収集は中間処理に入れる為の手段であり、顧客サービスのひとつとして捉えることも多かったものです。結果として、見積内でも本当に分割した積上げではなく、合算して幾ら残るかが設定金額にもなっていたものです。それ故に独立採算で管理をし始めると、収集運搬が別の会社ならば赤字会社になる程でした。一般廃棄物のケースは少し違いますが、グロスで儲かっているか否かでしか見れておらず、しかし月極料金の恩恵にて利益が出ているといなることが続いていました。勿論、その一般廃棄物の収集もルート管理が進み、原価管理も可視化とともに不採算ルートの改善も出来るようになっています。しかし過去は、売上が上がれば利益が上がる時代もあり、結果としての売上至上主義にもなることも散見されました。とにかく売上が増えればと遠方でも収集に行くことや、赤字が見えていても受注して稼働を優先することでさえもあったものです。これが収集運搬の問題でもあったのですが、更に言えば進んでいた物流業との比較にもあります。当時から物流業もギリギリの採算で戦っており、倉庫活用や3PL等の業態転換も進み、管理手法も進化をしたものです。しかし、相次ぐ顧客獲得競争が響き、また顧客からの原価低減要望からも採算改善は常に経営課題にもなり続けています。近年は同業界も値上げが進み、多少は改善されているものの、人手不足とともに撤退や縮小も増えていることも確かです。廃棄物の収集運搬も同様に、経営課題としての改善は不可欠なのです。
 儲かる収集運搬」を目指す為のDX活用とは、これまでの各回を纏めていくと可視化の手段が鍵になってます。当たり前のことではあるのですが、やり切っていないことではないでしょうか。基幹システム導入の際に可能なことを実装されていても、導入当初の移行時からデータ入力がされていなかったり、1~2ヶ月程度の数値把握をしても、その工数からも多忙になると続かなかったり、何よりも経営者の興味が薄れている時が問題でもありました。これではDXを導入しても同様のことが想定されてしまいます。先のように継続できない理由が、手間や工数であるものを継続させる為にDXにて効率化をしていても、経営者の意識が薄れていけばそこで終わってしまいます。「やり切る」というよりも、本来の目的から目をそらさず、ゴールの為に改善を進めることが可視化の目的でもあります。そうなってくると、以前の回でもお伝えしました通り、トップ自らがデジタルから逃げず、むしろ敏感にアンテナを伸ばし続けることが必要なのでしょう。私のご支援先の経営者で、自らも一緒にBIやRPAを学び、最低限の使いこなしまでは出来るように取り組んでいる方もいます。勿論、その道のエキスパートになる必要もなく、ましてや社内No1の使い手になる必要はありません。しかし、この経営者の方は自らが使えることによって、更に改善を考えられるようになり、そしてまた新たに誕生するツールを見極めるようになりたいとも仰っています。 
 経営戦略にDXがひとつの軸となり、マネジメント戦略やマーケティング戦略と同様に考えなければならない時代でもあります。収集運搬の改善も中間処理場改善同様に廃棄物処理業にとっては、当然重要なテーマでもあります。収集運搬の改善に終わりはなく、そしてそれは新たなツールを探し続けるべきであり、現在はDXが有効になっているだけです。儲かる収集運搬業、諦めず追い掛けるからこそ、上手くDX活用にて改善に取組んで頂ければと思います。

2021年10月5日 6:34 PM

収集運搬のDX化⑥「収集運搬のKPIと見える化」

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 前回から続く、収集運搬のDX化についてです。今回は「収集運搬のKPIと見える化」となります。 

 収集運搬の効率化を図りたい方にとって、何をKPI(Key Performance Indicator)化すべきかは考えてきたことだと思います。  
 過去から数値化は課題ではあったのですが、デジタコやドラレコ、そして各種端末の導入にて数値が取れるようにもなってきました。しかし、その数値が活かされていないことが散見されます。数値化は進んでいるものの、日常に忙殺されて改善が進んでいないことは多いのではないでしょうか。
以前の当ブログ(2020年3月1日「収集運搬費の改善について2」)でもお伝えさせて頂きました通り、先ずは時間当りの原単位を押さえて欲しいと思います。時間当り原価の感覚を持ち、時間当り粗利の月次と顧客別のチェックが必要となっていきます。この数値を分析していきながら、何を変えていくべきかを見つけ、更に言えば配車マンの通信簿にもなっていくと思います。数値の可視化は必ず効果を生み出すもので、今までの曖昧さから脱することで改善は進むものです。しかし一方、各社で展開をしていると現場からは、この数値反映や分析に莫大な時間と工数が掛かり、堪らないとの声もありました。効率化の為に進めていることなのに、それが別の業務として負荷が掛かると本末転倒にもなりかねません。その為にもDX化させる必要があるのでしょう。
 この改善には、RPA(Robotic Process Automation)とBIツール(Business Intelligence tools)を上手く組み合わせて頂くことをお薦めします。BIツールについては、各社も導入が始まっていますが、まだまだ現状のシステムから引っ張ってくるケースが多いように思います。または本来押さえるべきKPI数値でないものが引っ張られており、見てくれは格好良いものの、そこから導かれるものが解決されていないことも見られます。BIはツールであるのに、目的化している際に生まれてしまうことなのでしょう。またKPIは重要業績評価指標の筈なのに、それが間違ったKPIになっていれば、結果は生み出されません。収集運搬でのKPIを経営者がリアルタイムで押さえる為に、どのように可視化させるBIとなって貰えればと思います。そうなると経営側と配車マンや運搬部門の責任者では、おさえるべき視点も変わっていくことにもなっていきます。
 経営側として、要は「儲かっているか」です。正直不効率に見えることも多く、夕方に遊んでいる社員を見ると過去に比べた違和感しか感じないものです。収集運搬の独立採算を実施しているならば問題無いのですが、それが見えていなければ収集運搬の非効率化を疑ってしまうかもしれません。各人の細かい稼働状況については不要です。今日の回収は儲かっているのか?今月の累計は?昨年に比べ、5年前に比べて儲かっているのか?その欲しい数値がBI化される数値となっていきます。しかし一廃の月極やハウスメーカーの㎡単価では、リアルタイムでの採算性の可視化ができません。だからこそ先ずは大きな視点での原単位確認となります。毎日見ていくことで、必ず数値は答を導くものです。
 配車担当も同様に原単位を毎日見るべきです。しかしそれは短期的な安心でしかならず、やはり月次で最終的に見ていくべきでしょう。配車を調整した結果は一日で見ることは出来ず、その積み重ねを見るべきとも思います。
 しかし、この原単位確認に時間を取られていてはなりません。その為のRPA活用にもなっていきます。ドラレコデータやデジタコデータをスプレッドシート等に入れれば、後はRPAに任せることが出来れば良いだけとなります。この程度のRPAは簡単に出来ますので、是非取り組んで欲しいと思います。RPAについては難しく考えがちですが、触れてみると簡単なことに気付きます。これまでシステム会社にプログラミングを依頼して、そこそこの費用が掛かったものが、驚くほどの安価で組み立てることができます。そしてこのRPA活用にて抽出されたデータを同様にBIにて確認できれば、直ぐに課題発見と取組確認も早まる筈です。 
 繰り返しますが、RPAやBIはツールです。大切なことは必要となるKPIであり、そこから答を導き改善を進めることが目的です。しかし、それに時間を掛けていてはデジタルによる効率化と逆方向に向いてしまいます。その為のRPA活用でもあるのです。上手くデジタルツールを活用して、収集運搬の効率化を目指して欲しいと思います。

2021年9月21日 11:02 AM

収集運搬のDX化⑤「ドライバー育成のデジタル活用」

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 前回から続く、収集運搬のDX化についてです。今回は「ドライバー育成のデジタル活用」となります。 

 先ず誤解を生んではいけませんので最初にお伝えしますが、デジタル活用でドライバーが育成されるというわけではありません。最優先は安全であることは変わらず、安全教育が育成の第一でもあります。ドラレコ導入もデジタルと言えばデジタルですが、導入による効果は間違いありませんので、未だ導入していない会社は是非ともと思います。また技能というものも、勿論経験が主にはなりますが、その方本人が持つ反射神経や空間認識、更に所謂運動神経と呼ばれるものや、体力等各種身体能力にも左右されていきます。そして性格も影響されていくものです。
 ドライバー育成においてのデジタル活用としては、一人前達成させることをデジタルで管理していくことに取り組んで貰えればと思っています。以前の回で配車効率化の話をしましたが、配車マンの悩みのひとつに配置の問題があります。全ての人が、どこでも回収に行っても問題も無く、更に効率も変わらなければ、どんなに楽でしょうか。「ここは、あの人しかいけない」「あの人では任せられない」「あの車輛を遣える人が少ない」等によって、任せられる人には負荷が掛かり、危ない人には楽な仕事しか任せられない等の不公平も生まれていきます。全ての人とは言いませんが、そのどのような仕事も可能となる一人前のドライバーが全体の何人となるかが配車効率向上も可能とさせていくことでしょう。つまり、ドライバーの一人前化が収集運搬の収益化では大きな鍵を握っていると言っても構わないと思います。前回の顧客情報管理も一人前を早期化させるひとつのツールであり、覚えられない、解らないではなく、解るようにする仕組でもありました。ドライバーの早期一人前化は廃棄物収集運搬業では避けて通れない経営の重要課題であり、それを可能にすることにはチャレンジしていかねばなりません。
 その為には、先ず自社のドライバーの一人前基準を明確にすることとなります。しかし、この「一人前」が難しいものです。それぞれの会社で基準は違うと思いますが、理想的なドライバーを捉える会社もあれば、今は出来ていないものの将来目指したいカタチを考える会社、そして現在いる自社ドライバーの優れている人を基準にする場合もあります。ここでは、経営戦略に基づき、自社が目指すドライバーの姿と現実のギャップを冷静に見つけなければなりません。あまりにもかけ離れていれば、2段階3段階でのカタチを明確にしていくべきでしょう。そして、その最初の到達点に向けての各項目についての計測と可視化をデジタル活用していって欲しいと思います。例えば、業務知識と言っても幅広いと思います。廃掃法の知識だけでも、マニフェスト等ドライバーとして最低限求める同法の知識もあれば、品目も自社搬入物から禁忌品までと拡がっていくと思います。それが、どこまで理解しているかテスト等も実施していき、各人の到達点を一目瞭然にしていくべきでしょう。そこで活用していくのが、BI(Business Intelligence)ツールにもなっていきます。既に経営指標をBI管理にて進めている企業も多いと思いますが、HR(Human Resources)テックとしても有効です。これも一種の評価制度の一種かもしれませんが、大きな違いは完全オープン化で全員が見えるようになることです。ドライバー同士が誰が優れている、自分は何が不足している等が見えることで、またその上長も本人の伸ばさなければならない要素も見えていきます。そして評価と違い、頻度はリアルタイムでチャレンジさせたい、チャレンジしたい人にはどんどん取組むことができます。所謂仕組化ですが、先の通り育成の骨格が基礎にあり、それを導入だけでなく目的を達成させる為でのツールとなっていきます。つまり、一人前のドライバーを早期に多数作ることが目的ならば、如何に各人が取り組めるかが重要になっていきます。制度があることが重要なのではなく、制度が如何に効果を発揮するかの手段も忘れてはなりません。それ故に、デジタルツールを使わざるとも早期育成が制度だけで効果が発揮できる会社には不要でしょうが、しかし工数を考えてもデジタルを上手く活用することは有効でもあると思います。 
 育成には目的が重要で、それを実現させる制度と活用の為のツールをデジタルでも実現させていって頂ければと思います。

2021年9月8日 9:23 AM

収集運搬のDX化④「ドライバーの顧客情報管理」

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前回から続く、収集運搬のDX化についてです。 

今回は「ドライバーの顧客情報管理」となります。
 産廃でも一廃でもドライバーが収集運搬に伴う顧客情報に関して、過去から情報活用は各社取り組まれてきました。一般廃棄物ではルート回収のなかでコース設定されてしまうと、その担当者以外では顧客ルールの継承が難しいことも多かったものです。時間指定だけでなく細かいところでは、サイン有無、声掛け有無、倉庫の鍵、伝票のサイン、車輛停車位置、スーパーでの計量や伝票発行、等々と個別ルールがあるものです。更に言えば、月極として設定している重量も各社にあり、その重量違いは採算面の生命線でもあります。結果、複数ルートを走れる人が重宝されるものの、一方で大都市圏での夜間回収等では、その特殊性からも代替され難く固定化しがちとなります。そういったルート別の顧客情報を搭載したソフトもあったのですが、先の配車システム等との連動が悪く、また端末も含め煩雑になりがちでした。
 産業廃棄物では、箱の設置等では情報の一元化し易かったのですが、液モノやスポット等での注意事項は多岐に渡り、また数年に一度の仕事等ではその情報を遡ることも煩雑になることも発生しています。また、地図情報も欲しいのは、構内での案内や目的地近隣での地図が必要であり、営業が取得した地図では不十分であること、ドライバーが替わる度に調べなすことや周囲の人に確認をすることも多いものです。
これらの顧客情報が紙やドライバー間でのやり取りで行われていること、これも隠れたリスクでもあると思います。

 先ず、これらの対応するソフト環境が大きく変わっていることを認識して欲しいと思います。
これまでは、展示会等や業界誌での情報や同業他社情報等でしか知らなかった、運搬関連のソフトですが、DX化によって、それがもっと身軽に安価なものへと変わっています。専門のソフトでしか検討できず、また新たに構築を依頼すると莫大な費用となっていたものが、既存の組み合わせだけでも出来るようになっています。解り易く言えば、スマートフォンのアプリ同様に、既存のERPやCRM、SFA等パッケージに幾つかのアプリと無料ツールを組み合わせるだけでも、前述の一廃や産廃のドライバーが使う顧客情報管理も入れることが可能になりました。勿論最後の遣い易さのみは、そのアプリメーカーを得意とするベンダーに開発を依頼すべきですが、それでも僅かな価格で構築ができてしまいます。 
 また、どれだけの精度を求めるかの視点も重要となっていきます。あれも欲しいこれも欲しい、これがあると便利等が浮かぶことは良いことなのですが、それをソフト会社に依頼すれば「できます」の返事とともに高額の見積が上がってくるでしょう。場合によっては、更に便利な付加機能も提案してくれるかもしれません。この精度の深さは再考して頂きたい部分でもあります。苦労をして時間を掛けて作り込んだものが、このIT技術スピードは恐ろしく早く陳腐化してきたものです。数年も経たずに既存のフリーソフトやアプリでも可能になることが増えており、一方でソフト会社と自社構築したものは手間の掛かるものへと変わっていることが散見されます。そして保守料と更新の費用と見えない工数が、却ってコスト増になることもあります。だからこそ、100%を求めないで欲しいと思います。今の市場にある技術を遣い、開発面を極力少なくして出来る方法を見つけることが重要でしょう。ハードも同様で、例えば過去は専用端末をドライバーに持たせるケースが多かったのですが、ご承知の通り今はスマホや市販のタブレット活用が主流となっております。これによって、バージョンは直ぐに更新も出来て、情報管理やセキュリティ面でも容易となっていきました。ソフト面でも無料のgooglemapだけでも進化しており、過去に出来なかった活用が容易になっていることも増えています。いまの技術で求めたいことにどれだけ近づけるかが重要となっていくでしょう。費用を掛けずとも、何もしないことよりも大きな改善が生まれることも認識ください。 
 一方で取り組みには、注意が必要となります。これはデジタル化の大原則でもあるのですが、既存の「やり方」をベースに構築をしないことです。デジタルは業務改善の手法でもあり、業務改善を進めるなかでのツールでもあるのです。それ故にドライバーの顧客情報管理には、本来不要な取り決めやルールの見直しが大前提となっていきます。取引開始の際には必要であったが不要になっていること、いつの間にかルール化されていることもあるのではないでしょうか。配車の時と同様に、その見直しが最優先となります。業務を改善する為での取組であり、それによる費用対効果が当然求められます。その際にドライバーの引継のし易さや、経験年数の浅いドライバーでも早期に対応できることは大きなメリットではありますが、仕事のやり方が変わっていなければ、まだまだ無理が潜んでいるものです。究極は顧客情報がゼロでも可能にすることであり、その過程での最低限の情報に絞り込むことが目指すことでもあるでしょう。顧客との取り決めだから変えられない、は瞬間に思考を失う恐れもあります。何故それが必要であったのか?今でもそれが本当に必要か?代替する方法は無いのか?営業だけが考えるのではなく、顧客と確認しながら改善を考えねばなりません。それが収益を生み出すものになっていき、また競合との差にもなっていくことでしょう。  
 ドライバーが知るべき顧客情報管理について、費用を掛けずともデジタルでの改善が可能です。是非、取り組んで頂きたいと思います。

2021年8月16日 9:20 PM

収集運搬のDX化③「配車のデジタル化の可能性」

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前回から続く、収集運搬のDX化についてです。
今回は「配車のデジタル化の可能性」となります。
配車システムの可能性については、これまで私も何度か追い掛けてきたものの、その難しさを痛感してきました。その生み出す効率性の結果からも、また費用対効果からも独自開発とせず、既存パッケージでのカスタマイズを考えてきました。
 進んできた物流業界からのソフト転換を検討しても上手くいきませんでした。その理由は明確で、配車のシステム化を必要とする規模での廃棄物処理業各社は、小さく業態が分かれているからでした。例えば①一般廃棄物の定期(更に可燃や不燃、瓶缶ペット)②建廃(コンテナ回収、box回収、袋回収)③工場系(建廃同様にboxやコンテナだけでなくドラム、液モノの際の引き抜き作業や清掃もあり)④感染性(エリアによる違いがあれど保冷車等車輛指定や、ペールでの積載容量あり)、更にこれに発生頻度や時間指定、顧客毎のシステム活用での発注ルール、また処分場での待ち時間もルール化し難くなっている原因でもあります。
先の物流業界では3PL(Third(3rd)Party Logistics)が脚光を浴びた際にも、静脈型3PLを模索したもの廃掃法の縛りはどうしても上手くいきません。運搬の効率化では積載効率は不可欠な要因ながら、自社独自で組み立てざるを得ないことも課題ではあったのです。
 しかし振返ってみると、経営者にとって大きな問題としてきた収集運搬効率の課題は、緊急性では小さな問題となっており、後送りしてきたことも確かでした。結果、小さな課題は時間軸とともに蓄積されて見逃せない課題となり、採算という面で大きな経営課題にもなっています。
 今の収集運搬はベストなのだろうか?その際に先ず配車の適正さに疑問が浮かびます。配車マンは一生懸命やっている、それを責められないと解っていても、適正性を検証する術も無いままになっていることは多いものです。検証方法は以前の本ブログでも記してきましたが、配車のデジタル化については可能性が拡がりつつあります。そのキッカケはAIです。今までの配車システムでは一定条件をINPUTすることで適正さを導いていましたが、現在は学習する機能が廃棄物処理業各社の①~⑤の幾つかを解決できるようになってきました。所謂機械学習では、各社の条件が学習され、蓄積されていきます。①の一般廃棄物は定期の為に、AIでの活用よりも他の新規や閉店情報でのルート最適化を一定タイミングで見ることとなりますが、②~④までは全てではないものの幾つかの配車効率改善が可能となってきています。顧客特性、つまり発生頻度の予測は大きな進歩だと感じます。数百件程度ならばExcelレベルでも可能でしたが、課題を抱える企業は数千件の顧客を抱えているからでもあります。目で全て追いかけること、また一元管理にし難いからこそ、配車効率が必要なのです。それを様々な条件を加味して管理するには、もしExcel管理でするにはそのデータ量からも処理速度も落ちてしまい、使い難いものになってしまいます。その各種条件をシステムで組んできたのが、自社独自の運行管理システムでもあるのですが、それに数千万円以上を掛けるよりも簡単に出来るようになったことが、AIならではと思っています。 
 しかしAIが進歩したからと言って、それだけで簡易に安価に出来るわけではありません。例えば運用の際にGooglemap活用にてとなれば、都心部等の道路が複雑な際はエラーが続出する筈でしょう。解り易く言えば、大型車両専用のナビソフトが存在していること同様に、道路付は大きな障壁でもあります。地図上では近い地点でありながら往復6車線の道路で交通法規上で行けば随分と遠回りになる場合もあります。また車幅と車長に交通法規を加味すれば、通れない道も多く発生するものです。だからこそ、それを踏まえて開発が進んできた、物流業界のベンダーと構築していくことが無駄も無いでしょう。積載の特性となる容量設定も可能であり、且つ道路はその車輛設定にも準じていきます。既存にあるものを使い、容易に安価に進めることが可能になってきたことを先ずは知って頂ければと思います。そして何よりも重要なことは、100%を組み上げるのではなく、80%~90%が組みあがることを目指し、更に言えば前述したあらゆる配車形態を網羅しようとせず、可能なものから運用することからが重要となるでしょう。システム会社の「できます」は「費用を掛ければできます」の場合もあり、むしろ一番簡単に安価に、そして要望の80%が出来るようなことを提案してくれることが常ではありません。要望を伝えるだけでなく、自らがシステム構想を持って話をすることも重要となっていくでしょう。 
 皆様には、配車システムの可能性が数年前よりも大きく進化していることは知って欲しいと思います。過去の上手くいかなかった時から大きく変わっているのです。是非、諦めずに取り組んで頂ければと思います。    

2021年8月3日 10:34 AM

収集運搬のDX②「デジタルツールに踊らされていないか?」

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前回から続く、収集運搬のDX化についてです。
 今回は「デジタルツールに踊らされていないか?」となります。 

最初に考え方を再確認しますが、DXは手段でありツールであるということです。つい間違ってしまうことは、DX導入を目的化することでしょう。 

 DXが毎日のように新聞でも目にすることは増え、書店に行けば更に平積みコーナーが目にとまります。同業他社の導入も聞こえ、社員の一部から声も上がることもあるでしょう。そのような時に出入りのOA商社から、DX化としてのソフトを提案されることもあれば、DMやメルマガで情報が届くことがあります。初めて知ったソフトやツールであり、詳しくは解らないものの何か便利になりそうな気がする、また初期コストはそこまで掛からない、とのことで社内のITに詳しそうなメンバーに相談をするも経営判断として明確に答を出せないままになっていることは無いでしょうか。
DXが目的化している時でもあるのでしょう。勿論、経営者のITリテラシ―の課題も問題として潜んでおり、そのリテラシーのレベルに比例して会社のデジタルレベルとなっていることが多いものです。 

 本当のDX化はビジネスモデル全般を変えていくものにもなっていきますが、多くの中小企業にとっての現在DX化で取り組むべきことは業務改善です。シンプルに業務改善を進める手法として、DXが遣われることもあるということです。
つまり、たまたま知ったソフトやツールについて導入検討をしようとしても、それでは答が出ないとなるわけです。
そして収集運搬を効率化したい、利益改善をしたいとなった際では、最初から収集運搬関連のツールを探してはいけません。業務改善をするのですから、どのような場合も共通していることは、無理無駄ムラの改善でもあるでしょう。業務フローから見つめ直し、ECRS(Eliminate(排除)、Combine(結合と分離)、Rearrange(入替えと代替)、Simplify(簡素化))の視点で課題解決を図ることでもあるのです。 

 先ず現在のやり方の課題について、気付かないうちに蓄積している筈です。例えば、過去の価格設定と契約内容が現在のやり方では赤字となっていること、ハウスメーカーの㎡単価設定がそのままであることや当初想定エリア外が増えていること、また回収ロッドがいつの間にか小さくなっていること、boxやコンテナの設置料やリース料が有耶無耶になっているもの、酷いものでは想定量を前提に見積したものが実績ではかけ離れているケースも見られます。これらは顧客側との交渉も可能で、むしろ気付いた段階で即の行動が無ければ収益性を失い続けてしまいます。 
 一方で厄介なことは自社に潜む課題ではないでしょうか。多くは氷山のように隠れてしまっているケースです。営業担当も知らぬ間に、また配車担当もいつの間にか、ドライバーにしてみると先輩や同僚から聞いたことや引き継いだことが、意図せぬ方向になっている時でしょう。ある時、顧客から現場で要望のあったことが、営業も介さずにルールとなっていること、また配車の都合で先方に依頼したことがいつの間にか当たり前になっていたこと、ドライバーが良かれと取り組んだこと、また最悪のケースではドライバーが自身の判断にていつの間にか法に触れるようなことを実施しているケースもあります。 
 これらのように、やり方の課題が整理や解決しないなかで問題点を見ようとすると、無駄な解決方法へと辿り着きかねません。その課題を解決するシステム開発や、ツールやソフトを導入する際にマッチするものが見つからない、またカスタマイズが必要となることです。 
 残念なことは、経営側がドライバーを楽にしてあげたいとの思いで取り組むデジタル化が、問題の解決にならないことではないでしょうか。つまりデジタルから入るのではなく、業務の根本となる課題解決が先ずありきとなるわけです。 
 DX化はとても必要な発想でツールでもあります。しかし、表面上のDX化には問題が多く潜んでおり、その進むべき正しいプロセスを積んで頂きたいと思っております。DXは重要な経営判断となっています。システム担当者に任せるものではなく、経営者自らが取り組むテーマとなっているからこそ、是非正しいDX化に進んで欲しいと思います。
 次回の収集運搬DX化に続きます。

2021年7月16日 12:45 AM

収集運搬のDX①

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 収集運搬の効率化については、この数年各社取り組んできたことだと思います。非効率な回収について顧客との交渉、難しい場合に他社への移管やバーター、そして運賃の値上げも進めてきました。再生資源業では、運賃請求も増えております。物流業界ではこの数年で、宅配業者は勿論、一般物流でも運賃値上げは当たり前にもなっています。値上げは勿論最終手段かもしれません。しかし、この数年間での最低賃金の上昇は、どうしても自社で負担できなくなっています。折しも2021年の最低賃金は全国平均で28円引き上げの930円になろうとしています。最も低い県での792円は820円となりますが、20年前の2001年は663円と28.7%アップ、2011年は737円と20.7%アップとなります。では、これが価格に転嫁されているのでしょうか?余程、多く貰い過ぎていた会社でもない限り、この数値は吸収できていない筈です。更に燃料コストも下がり続けているとは、とても言えません。過去から言われてきたように、サーチャージ的なベースが必要になっているとも思えます。 

 一方でやはり無理な仕事の獲得は、皆が限界を感じた数年でもあったのでしょう。粗利が出ている時は仕事を増やせば利益となる時でしたが、収益が落ち始めて過ちに気付く時になったのです。
いよいよ収集運搬のビジネスモデルについて、転換の時はきているのかもしれません。それは顧客の注文での配車では無くなる時、また一般廃棄物では月極回収も無くなることを前提にする必要もあるのでしょう。
コロナ禍において、様々なビジネスモデルは変化しました。既存のビジネスモデル型が苦境に追いやられ、新たな業態が成長を進めています。解り易いところでは、各種小売りはネット企業に引き離され、飲食も食べに行くことからテイクアウトや配達されるものにも変化しているのです。営業であっても、リアル営業からインサイドセールス化していき、リアルの必要性が限定されつつあります。
 リモート格差としての現業系は、この1年で少しも変えられなかった時でもあったと思います。先の進化した業界と格差が広がったことも確かです。我々の仕事は仕方がない、リモートできないではなく、リモートすることは目的ではありません。運ぶことの事業が今後どのようになっていくべきか、あらゆる想像力も働かせて考え、そしてその後にきたる世界を前提に備えなければならない時ともなっています。  

 だからこそ過去の成功モデルの否定ともに、抜本的なビジネスモデルの改善に取り組む時にもなっているのでしょう。そして直面している、DX時代の収集運搬を更に高速化すべき時となっているのでしょう。究極は自らのビジネスモデルを否定するところから始まるものです。 
 例えば製造業で言えば、検査や品質管理は不要な業務であるものです。究極の業務改善は自社の部門を無くすこと、つまり検査や品質管理不要となる「ものづくり」となることでもあります。運搬の究極は運ばないことかもしれません。運ばない収集運搬、つまり自らを否定するカタチがゴールとなるのかもしれません。しかしそれは最終型であり、それを埋める為のものがサービス業でもあると思います。運搬というものが、無駄かサービス付加なのかの議論を最終型として念頭に置きながら、自らの業務を見直すこともスタートであると思っています。最終形を念頭に置けば、必要な要素や段階的なステップも見えやすくなるものです。短期的に取組むこと、しかし中長期的には縮小しながらも本来目指すべきカタチに持っていくこと、忘れてはなりません。 
 脱収集運搬、しかし先ずは効率化が最初のステップにもなっていきます。 

 上記を念頭に、収集運搬のDX化について、幾つかのポイントを纏めていきます。
次回に続く

2021年5月13日 11:35 AM

新型コロナウィルス出口戦略での廃棄物処理業経営8

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 今回は、⑥エンゲージメントの後編となります。 
 会社に対する愛着や思い入れ、また個人と組織が一体となり貢献しあうこと、働くことに対するモチベーション等、自社で働く意義を従業員が持てるようになる状態を目指すこと、何かをすれば劇的に変わるという特効薬もないものの、絶対に諦めず取組続けなければならないことでもあります。 
 前編にて「仕事好き」と「会社好き」での外部評価把握に続き、「会社好き」のなかで押さえて戴きたいポイントとして、会社においての自分の「存在意義」と「必要性」となります。社員として与えられた役割を担っているということは、不要の人などは当然いないものです。各人が貢献をしてくれているから、会社も価値を果たし社会に貢献をしています。しかし、そこにおいての自分の必要性認識を常に持ち続けることは難しいものです。トップ営業のように数値の貢献、社内で自らを除き誰にもできないことで成果の上がる貢献等が解り易いもののポジションならば良いのですが、そこに該当する人は限られてしまいます。工場での選別やドライバーとなると、個別には必ず違うものの、担当が変わっても上手くまわっていくことは多いもので、自分の必要性は見失いがちになってしまいます。ましてや多忙な毎日に忙殺されていると、益々存在意義が見えなくなっていくものです。その日を終えることに一生懸命であり、他のことを考えていられないのが本音でもあるのでしょう。 
 先ず見直して頂きたいことに、個々の目標設定です。目標管理は昔から取り組まれていることは多いと思いますが、これにどれだけの時間を掛けて、目的を達成できているでしょうか。人によっては高い目標や逆のケース、数人が同じような目標、前年と変わらず形骸化した目標、達成して当たり前の目標、達成しても何も反映されない目標、達成しても会社ビジョンには影響しない目標、更に言えば多くの人が忘れてしまうような目標になっていないでしょうか?この精査を失敗すれば、目標管理は形骸化され、ただ制度として表面化されているだけの、やっているだけのものとなります。つまり目的が見失われているのです。目標達成において、先ずその職務においてビジョン達成の為、真に追求されることが明確でなければなりません。ジョブ型雇用という言葉が最近耳にすることも増えていると思いますが、ある意味では人に職をつけてきたこれまでと違い、職に人をつけるとも言えます。廃棄物処理業においてジョブ型が適しているや否や云々ではなく、ここで考えて戴きたいことに、ジョブディススクリプションと言われるものです。それは、職務のポジション名、目的、責任、内容と範囲、求められるスキルや技能や資格が明確化されているものです。同様のものが、それぞれの職務に設定されており、達成することで会社のビジョンに近付くものとなっているでしょうか。これを現在の個々にあわせ、目標に近付ける為の作戦が明確になっていることが、目標管理のスタートでもあります。そして何よりも重要なことは、それを達成する為の援助であり、会社と上司がその人の為に真剣に追いかけ続け、達成の為のPDCAが正しいことです。目標は作ったけれどそのまま、そして時期が来た際に達成したか否かでは、とても重要には思えません。それ故に先ずその目標達成の重要性を共有化していき、その動機付けが高まるまでは何度も繰り返して話合わなければなりません。真剣に目指そうと火が灯された時からがスタートです。そして大きな目標を達成する為の月次のマイルストーンを共有し、毎月必ず一緒にそれを見る時間を持ち、次のPDCAへとまわす時間の機会をつくりましょう。1ON1 MEETINGの制度も拡がりつつありますが、そこでの機会の精度が個々の目標達成と成長を決めるといって良いでしょう。達成を真に願うようになった人にとって、その達成は本当に嬉しいものとなり、会社への貢献も認識できます。そして何よりも、真剣にそれをサポートしてくれる会社と上司への信頼は当然に厚いものでもあります。これを全社員が出来るようになった時こそ、エンゲージメントが高い組織に近付いていると思います。 
 個々の人生目標は様々で、更に働くことへの目標は少ない人の方が多いのが現実でしょう。そのなかで、そもそも論となる会社が良くなれば個人も幸せになれるだけを伝え続けても、正しくても響かないものとなってしまいます。会社を好きになれ、と言い続けることで好きになってくれれば簡単ですが、人の恋愛同様に片思いに終わってしまうものでしょう。正しい動機を前提とした達成の為の支援が、最終的に会社好きへと昇華していけると思います。しかし、これはあくまでスタートであり、心が変わり始めた段階でしかありません。しかし聞く耳を持てば、納得スピードも速まっていきます。今まで上滑りになっていたこと、また右から左へ抜けていったことが、ひとつひとつを受け容れられることも増えていくでしょう。その小さなスタートが、社内に拡がっていく筈です。理解を間違って捉える人、正しくない考えの人、それらを翻訳や変えていく役割にもなっていくのです。それが大勢になった時が文化となった時です。多くの人が会社好きになれば、逆の人よりも多ければ、会社好き社員の会社へと変わります。変わらない人には居心地の悪い場となり、またそうすることで新たに入社した人には当たり前となり、更に言えば採用の段階から変わってくることでしょう。 
 会社好きにおいて、ついつい福利厚生や条件面に待遇と目に見える要因解決にいきがちだと思います。しかしその解決は、先ず心の面の解決が終わってから効果も発揮するものとなるでしょう。勿論これらも同時進行で取り組んでいかねばならないのですが、表面的なものだけに囚われることなく、急がばまわれで取り組んで貰えればと思います。 
 そのうえで、仲間好きなのです。仲間は好きだけど会社は好きではないというのは、本来ありえないことです。それは間違った仲間好きであり、単なる仲良しの感覚だけでしょう。会社としてのフィールドありきの一緒にやっていく仲間なのです。プライベートでの仲間ではなく、一緒にビジョンを達成する為での仲間が会社での仲間好きです。野球に例えるならば草野球ではなく、プロ野球で一緒に優勝を目指す仲間なのです。この仲間と一緒ならばビジョンが目指せる、尊敬する先輩やお世話になった先輩、超えていきたい仲間、刺激を受ける仲間、前向きな姿勢に引っ張られる仲間、これは偶然に揃ったわけでなく、仕事好きと会社好きが大勢となることで醸成されていったものでしょう。 
 繰り返しますが、これまでのことは簡単にはいかないものです。しかし、絶対に諦めず取組続けようとするからこそ、一歩でも二歩でも近付いていけるのだと思います。折れずにブレずにやり続けられること、大切ですね。 
 
 
 
で、ルナです。気候も温かくなってきて、ようやく少々の散歩もできます。直ぐにバテますが。。。